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9月3日の11時55分頃、昼休み中の東京株式市場に「菅義偉首相が辞任の意向 総裁選も不出馬」という衝撃的なニュースヘッドラインが伝わりました。
このニュースを受け、日経平均株価は後場の寄付き直後から急速に上げ幅を広げ、取引時間中としては6月下旬以来、約2カ月ぶりに2万9000円を突破。終値は前日比584.60円(2.05%)高の2万9128.11円と、およそ2カ月半ぶりの高値となりました。なお、日経平均株価は5日続伸となり、今週の上昇幅は1486.97円(5.38%)と、2020年5月以来の大きさを記録しました。
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同様に、TOPIXも菅首相辞任のニュースで上げ幅を広げ、一時は取引時間中としては約30年ぶりの高値となる2018.57ポイントまで上昇。終値も大幅に続伸して、同31.88ポイント(1.61%)高の2015.45ポイントと1991年4月17日以来、約30年4カ月ぶりの高値で取引を終えました。
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菅首相の不出馬により自民党総裁選の先行きは不透明に!
投資家としては、各候補者の政策を見極めることが重要
もともと菅首相は、9月17日告示、29日投開票の自民党総裁選を前に、政治的に追い込まれていました。党内では首相の求心力の低下により「菅降ろし」を求める声が収まらず、再選戦略が揺らいでいたため、この不出馬は政治的に妥当な決断と言えるでしょう。
菅首相の不出馬により、自民党総裁選には多くの人が出馬することになると見られます。
すでに自民党総裁選への立候補を表明している岸田文雄前政調会長は9月3日、菅首相が辞意を固めたことについて「状況がまだ把握できていないので、よく確認してから改めて話す」と述べました。一方、高市早苗前総務相は「日本のトップの発言が毎日変わり、あきれた。私は総裁選を戦い抜く」と強調しました。
また、下村博文政調会長は、自身の対応に関して「状況が変わった。改めて仲間と相談したい」と語りました。総裁選の対応を巡り「白紙」と説明してきた石破茂元幹事長は「まったく新しい展開になった。何が日本、自民党のために取るべき道か、同志とも相談しながら、しかるべき時に結論を出したい」と述べました。
さらに、河野太郎ワクチン担当相や野田聖子幹事長代行も出馬する可能性があるようです。
いずれにせよ、執筆時点(9月3日夜)では、いったい誰が正式に自民党総裁選に出馬するのか確定していません。このため、投資家サイドからすれば、候補者が確定した後、各候補者の自民党総裁選における政策論争を見極める必要があるでしょう。
過去30年に10回の解散総選挙が行われたが、
そのすべての選挙期間中で日経平均株価は上昇!
ところで、日本経済新聞は9月2日付けの朝刊に「選挙が大好きな日本株 解散は買い、再評価の引き金」と題した記事を掲載していました。この記事によれば「海部俊樹政権が実施した1990年1月以来、過去約30年で衆院解散総選挙は10回実施され、解散実施日から総選挙の投開票日までの選挙期間中に株価はほぼ間違いなく上昇してきた」とのことです。
データを見ても、過去10回の解散総選挙における解散実施日から総選挙の投開票日までの株価指数を見ると、日経平均株価は10回すべて、TOPIXは10回中9回が上昇。さらに10回の同期間中の日経平均株価の平均上昇率は4.2%、2005年以降の直近5回に限れば7.3%にも達しているといいます。
現時点において、自民党総裁選は9月17日告示、29日投開票のスケジュールで実施され、そこで新総裁が選出される予定です。
一方、衆議院議員の任期満了は10月21日です。衆議院選挙のスケジュールに関しては、これまで任期満了前の10月5日公示、17日投開票が有力でした。しかし、菅政権の退陣により、下手をしたら11月にずれ込むのではないかとも言われ始めています。公職選挙法の例外規定により、衆議院選挙は最も遅いケースで11月28日投開票もあり得るそうです。
ただ、このように実施時期に多少のぶれはあるものの、10月~11月中に解散総選挙が行われることには変わりありません。
今回も「解散実施日から総選挙の投開票日までの選挙期間中に、株価はほぼ間違いなく上昇する」という「アノマリー」が当てはまるなら、今年の秋の日本株は非常に強い動きになるはずです。
日経平均株価は、衆議院選挙まで堅調に推移する見通し!
新総裁によっては、年初来高値3万714.52円を目指す可能性も
内閣支持率の低迷に苦しんだ菅首相が自民党総裁を自ら退くことで、自民党の党勢は大幅に回復し、次期総選挙での議席数の減少は最小限に抑えられる見通しです。新政権の政治基盤が安定し、政権与党の政策が実現しやすくなる状況の継続は、日本株にとって非常にポジティブなことです。また、投資主体別では、政治に敏感な外国人投資家による日本株の大量買い越しが期待できるでしょう。
テクニカル的には、9月3日の日経平均株価は2万9128.11円と、75日移動平均線(3日現在2万8311.14円)、200日移動平均線(同2万8321.59円)の両線を大幅に上回ってきました。
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ここ最近まで75日・200日移動平均線の2本が強力な上値抵抗線となっており、おそらく両線付近で日経平均先物を売り建て(ショート)している投資家は多かったはずです。しかし、9月1日の上昇(前日比361.48円高)で75日・200日移動平均線を上抜いて以降、売り方の手の内は大幅に悪化していることでしょう。それに追い打ちをかけたのが、菅首相の突然の辞任を受けた3日の584.60円高です。
ちなみに、9月10日は9月物の先物・オプションのメジャーSQです。こうなると、少なくともSQまでは、売り方の敗戦処理(主に先物の買戻し)が加速することでしょう。そしてSQ通過後は、自民党総裁選絡みのニュースに一喜一憂しながら、日経平均株価は堅調に推移する見通しです。海外投資家の買いが入ることを前提にすれば、75日・200日移動平均線の両線が日経平均株価の“押し目限界”でしょう。
また、衆議院選挙を前に、新政権は新型コロナで疲弊した経済へのテコ入れ策として、大規模な経済対策を策定するはずです。そうなると、景気敏感株が物色の柱になる見通しです。
したがって、日本株については、衆議院選挙の投開票日まで「強気一択」で良さそうです。おそらく、当面は「押し目待ちに押し目なし(上昇相場で一時的な下落を待っているのに、なかなか下がってくれないこと)」の相場が継続すると見ています。
日経平均株価に関しては、もし自民党の新総裁に積極財政派が選出されれば、2月16日の年初来高値3万714.52円を目指すというのがメインシナリオになります。
こうした状況を踏まえ、国内外の機関投資家の買いが見込める好業績で大型経済対策のメリットを享受できる大型株のうち、「低PER・低PBR・高配当利回り」の3拍子揃った銘柄群を積極的に「買い」で攻め、収益獲得を目指しましょう。
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