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海外送金支援アプリを運営する「レミットリー」が、
9月23日にナスダックにIPOすることを発表!
今回は、9月23日にナスダックに新規株式公開(IPO)する予定のレミットリー(Remitly、ティッカーシンボル:RELY)を紹介します。レミットリーは、アメリカやEUで働いている新興国出身のエクスパトリエット(海外在住者)が、祖国の家族や親戚に海外送金するのを支援するスマホアプリの会社です。
IPOの幹事証券はゴールドマンサックスとJPモルガンで、売出し株数は1216万株、価格設定は38〜42ドルです。
「レミットリー」は、出稼ぎ労働者を支援する送金サービスを
新興国でも普及しているスマホ向けアプリで展開
世界には祖国を離れて海外で働いている移民や季節労働者が約2.8億人おり、1年間に約1.5兆ドルを祖国に残した家族や親戚に送金しています。
しかし、往々にして海外送金手数料は高く、送り先によってはインフラが未整備なことから、お金が着かなかったり、送金の一部が中間搾取されたりなどの問題が起こることもあります。実際、海外送金手数料だけで1年間に400億ドルものフィーが発生しています。
レミットリーは労働者の味方として、リーズナブルな手数料で確実に海外送金を行うサービスを提供し、コアなファンを掴んでいます。
新興国ではパソコンを持っている人が少ないので、スマホ向けアプリをサービスの基盤としています。レミットリーのアプリは、iOSとアンドロイドのどちらにも対応しており、初心者にもわかりやすい画面となっているので操作を間違えることはほとんどありません。
お金の送り手側と受け手側が同じレミットリーのアプリでやり取りをするので安心感があります。また、送金の状況はリアルタイムで追跡でき、いつ着金したかもすぐにわかります。
頻繁に海外送金が行われている1700のルートを研究し、
もっとも利用されている銀行をバンキング・パートナーに
レミットリーは、それぞれの国にバンキング・パートナーを持っており、ユーザーが地元の銀行の口座情報をアプリに登録すれば、すぐに送金や受け取りが可能になります。そして、一度登録して送金すれば、2回目からはほんの数回スマホをタップするだけで簡単に送金することができるようになります。そのためレミットリーのユーザーは、1カ月に何回も送金するケースが多いです。
レミットリーは、頻繁に海外送金が行われている1700のルートを研究し、その送り手側と受け手側でもっとも利用されている銀行と提携し、バンキング・パートナーとしています。お金の受け取り方法としては、受け手の銀行口座に加算することもできますし、紙幣や貨幣などの現金を直接届けることも可能です。
送金元は米国やカナダ、英国、EU、オーストラリアが多く、受取先はインド、フィリピン、メキシコなど115か国に渡ります。現在、レミットリーは14言語に対応しており、その国の習慣や生活様式にピッタリ当てはまる受け手の立場に立ったサービスを提供しています。
なお、レミットリーのシステムは、マーケティングテクノロジースタック、送金エンジン、為替取引管理、ユーザー・エクスペリエンス管理、払い出しシステム、KYC(本人確認手続き)、マネー・ロンダリング防止、その他のリスク管理ならびにコンプライアンス機能を備えています。
新規ユーザー獲得のために必要なマーケティング費用は、
約10カ月ですべて回収し、5年後には6倍の売上を上げる見通し
レミットリーの2021年6月30日で締めた過去1年間における送金額は、161億ドルでした。これは、先ほどに挙げた世界のマーケットシェア・約1.5兆ドルのほぼ1%にすぎず、まだまだ成長の余地があると言えます。
2020年の1年間の海外送金回数は3100万回でした。レミットリーのユーザーの多くは祖国の家族や親戚に生活費を送っているため、送金は毎月コンスタントに行われる場合が多いです。つまり、売上高予想が極めて立てやすいと言えます。
2019年は売上高が1.27億ドルで利益が-5140万ドル、2020年は売上高が2.57億ドルで利益が-3260万ドルでした。なお、2020年の営業キャッシュフローは、業務拡大に欠かせない支払い預託金(disbursement prefunding)が約7000万ドル発生したため、-1.14億ドルでした。
現在は積極的にマーケティングして顧客を獲得している段階なので、多くの費用が出ていく構図になっています。しかし、レミットリーの場合は大体10カ月でマーケティング費用の元を取ることができ、5年後にはその6倍の売上が上がる計算になっているので、現時点での赤字はそれほど心配しなくていいと思います。
競合他社との競争やパートナー企業との関係悪化、
米国財務省の厳しい監督などがリスク要因に
レミットリーを巡るリスクですが、まず、海外送金の分野は競争が激しい点が挙げられます。レミットリーの競合他社は、ウエスタンユニオン(ティッカーシンボル:WU)、マネーグラム(MGI)、ペイパル(PYPL)、リア、ズーム(XOOM)、ワールドレミット、XE、スクリル、OFX、カレンシーディレクトなどになります。
次に、レミットリーは送金先のそれぞれの国で銀行などのローカル・パートナーと組んでいますが、それらの金融機関との関係が悪化するリスクがあります。
また、送金アプリの分野には今どんどん斬新なサービスが登場しており、レミットリーがイノベーションの面で立ち遅れるとマーケットシェアを失ってしまう可能性があることもリスクです。
さらに、海外送金のビジネスは、米国財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)などから監督されており、もしルールを順守できなければ処罰されてしまうというリスクもあるでしょう。
【今週のまとめ】
海外送金市場で熱烈な支持を集め始めている
「レミットリー」のIPOに注目しよう!
レミットリーは、海外送金の市場でユーザーの熱烈な支持を集め始めているベンチャー企業で、スマホアプリに主眼に置いたサービス設計をしています。
手数料はリーズナブルで透明性が高いため、一度レミットリーを使ったユーザーはリピートユーザーになりやすいのが強みです。また、生活費を定期的に送金するユーザーが多いため、将来の売上高の予想が立てやすいのがメリットです。
シェアの面から見るとまだまだ成長余地は大きいので、レミットリーには注目しておくといいでしょう。
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