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原油と小麦の先物が約14年ぶりの高値をつけるなど
エネルギーと食料品の価格が高騰して世界同時株安に!
エネルギーと食料品の価格高騰による今後の景気悪化を織り込むべく、世界同時株安となっています。もちろん、きっかけはロシアによるウクライナ侵攻です。この侵攻に対して、西側の欧米諸国は厳しい経済制裁を打ち出しており、さらに踏み込んだ制裁も検討しています。このため、供給不安から商品市況が高騰しているのです。
3月7日のWTI期近4月物は、前週末比3.72ドル(3.2%)高の1バレル=119.40ドルでした。時間外取引では一時130.50ドルと期近物として2008年7月以来の高値をつける場面もありました。
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NY金先物4月物は前週末比29.3ドル(1.5%)高の1トロイオンス=1995.9ドルでした。一時は2007.5ドルと、中心限月として2020年8月以来の高値をつけました。
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また、3月7日のロンドン金属取引所(LME)では、ステンレス鋼やEVのバッテリーなどに使われる希少金属のニッケルの3カ月先物が一時、前週末比90%高の1トン=5万5000ドルを付け、過去最高値を更新しました。なお、ニッケルに関しては、ロシアの資源大手ノリリスクが高純度品で高い世界シェアを握っているそうです。
一方、穀物は、3月7日のシカゴ市場で、トウモロコシが先週末に約9年ぶりの高値をつけた反動から利益確定の売りが出て反落したものの、小麦5月物は値幅制限いっぱいまで上昇しました。小麦の5月物終値は前週末比85セント高の1ブッシェル=12.94ドルと、中心限月の終値ベースで2008年3月以来、14年ぶりの高値でした。ちなみに、穀物の主産地であるロシアとウクライナは、小麦の世界輸出の3割、トウモロコシの2割を占めるそうです。
米欧とロシアが原油や天然ガスを巡って牽制し合う状態に!
イラン核合意がまとまれば、原油の需給逼迫が和らぐとの期待も
現在、米欧がロシア産原油の輸入禁止の検討に入っているようですが、国際エネルギー機関(IEA)の推計では、ロシアの西側諸国向け輸出が3月からすべて途絶えた場合、2022年の平均で日量400万バレル程度の不足に陥るとのことです。
一方、ロシアのノワク副首相は3月7日、「欧州がロシアの原油を輸入禁止にすれば、原油価格は1バレル=300ドルになるかもしれない」と警告しており、すでに稼働中の欧州へのガスパイプラインについても経済制裁への報復として遮断する選択肢をほのめかす発言が伝わっています。これに対して、英国のフィナンシャル・タイムズ電子版は日本時間の3月8日朝、「欧州連合(EU)が1年以内にロシアからの天然ガス輸入を3分の2に削減する計画だ」と報じています。
このように、経済制裁を科す西側にも強烈なインフレ圧力がかかっています。
なお、3月3日、イラン核合意が近くまとまる可能性があり、イラン産原油の禁輸が解除されて需給の逼迫が和らぐとの期待が浮上していると報じられました。ただし、イラン核協議に参加しているロシアが6日、西側諸国がロシアに発動した制裁がロシアとイランの貿易には悪影響を及ぼさないという保証を米国に求めました。これに対して、イラン政府高官は、協議の最終段階におけるロシアの「妨害」を批判しました。しかしながら、協議を巡る不透明感の高まりで、イラン産原油の輸出再開が遅れる見通しとなっています。
ロシア・ウクライナ両国の停戦協議が前進すれば
強烈な巻き戻しが起こって「商品相場急落+株式相場急騰」に!
このような状況のため、株式市場は、インフレと景気停滞が併存する「スタグフレーション」が引き起こされることへの警戒感が強まっています。
しかし、ロシア・ウクライナ両国の停戦協議が前進すれば、景色は一変します。そのケースでは、強烈な巻き戻しが起こり、商品相場急落+株式相場急騰ということになるでしょう。
逆に言えば、それまで株式市場は「スタグフレーション」を恐れ、下げ続けることになると見ています。もしくは、誰もが呆れるような安値まで株式が叩き売られ、最悪のシナリオを織り込み切ってから、ロシア・ウクライナ両国の停戦協議とは無関係に、底入れすることもあり得ると考えます。
なお、日経平均株価は3月4日に2万5774.28円をつけ、2月24日の2万5775.64円を割り込んでチャート的に底割れしました。そして、7日の日経平均株価は前日比764.06円(2.94%)安の2万5221.41円と、大幅続落。さらに、8日は前日比430.46円(1.71%)安の2万790.95円と、3日続落しました。
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5日移動平均線(8日時点で2万2793.63円)、25日移動平均線(同2万6800.49円)、75日移動平均線(同2万7903.65円)、200日移動平均線(同2万8397.89円)をすべて下回り、5日・25日・75日・200日移動平均線が「下降のパーフェクトオーダー」を実現しています。よって、日経平均株価は、短期・中期・長期の下落トレンドが発生中と認識しています。
高水準を保つ「信用買い残」が大幅に減るタイミングこそ
来たるべき「セリングクラマックス」となる可能性が!
今後に関しては、3月4日の2万5774.28円や2月24日の2万5775.64円あたりが、日経平均株価の戻りメドとして意識されそうです。
一方、下値に関しては、60カ月移動平均線(3月8日現在2万3475.48円)程度までのオーバーシュートは想定しておく必要があると見ています。日経平均株価自体が、5日移動平均線と25日移動平均線を上抜き、かつ25日移動平均線が上向きに転じてこないと、自律反発期待が盛り上がることもないと考えています。それまでは、25日移動平均線が強力な抵抗線として機能する見通しです。
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ただし、現在は、ロシアを西側経済から突如切り離すという異常事態ですし、ロシア・ウクライナ両国の停戦協議が進展すれば、売り方の買い戻しで所謂「踏み上げ相場」となるはずです。そのケースでは、25日移動平均線なんて、あっさりと上抜くでしょう。
このため、今の相場水準で安易に個別銘柄を空売りしたり、株価指数先物やオプションでショートポジションを組むのは躊躇されます。よって、買いからしかエントリーしない多くの個人投資家としては、「セリングクライマックス」を待つしかありません。
それにしても、2月25日時点の信用買い残は3兆2379億円と、2月18日申し込み時点に比べて278億円減りました。6週連続の減少となったとはいえ、依然として3兆円を上回っています。この下げ相場でも、信用買い方は投げずに耐えているのでしょう。この高水準の信用買い残が大幅に減るタイミングが、「セリングクラマックス」になるかもしれませんので、注目しておきましょう。
とくかく、現在のように投資環境が非常に不透明な時期には、無理して相場に参加せず、虎視眈々と「バーゲンハンティング」のタイミングを待ちましょう。そう、「休むも相場」です。
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