これまでの話で、確定拠出年金制度やNISAについて納得した周ちゃんは、いよいよ確定拠出年金の具体的なポートフォリオを組むことに。例によって、えーちゃんを居酒屋に呼び出した。第2話。
[前回の記事]
確定拠出年金について考える
●第1話 資産運用とアベノミクスについてまずは考えてみた
●第2話 そもそも確定拠出年金ってなに?
●第3話 「日本の年金制度について知らないと!」
●第4話 確定拠出年金は「想定利回り」が大事!
●第5話 税制優遇を利用して資産運用の練習をしよう!
サラリーマンとNISA
●第1話 いちばん分かりやすいサラリーマンのためのNISA講座
●第2話 NISAの口座開設はギリギリまで待て!って本当?
●第3話 NISAの効果的に使い方と改善してほしい点とは?
サラリーマンの資産運用を考える
投資額の当初の元本が複利運用でどれだけ増えるかというのと並行して、確定拠出年金を考える場合には、積み立て投資の運用利回りを見てみる方がいいかもね。
計算するとこんな感じだね(下の表組参照)。
毎月5万円を積み立てるとすると、年間60万円だから、10年間積み立てると積立元本は600万円だけど、5%複利で回ったとしたら、元本の1.29倍で約774万円になる。
長くやるほど効果が出てきて、25年続ければ積立元本は1500万円になって、5%複利で回ったとしたら、元本の1.99倍で約2985万円になるってことだね。
積み立て投資は元本を時間の経過とともに増やしていくから最初から元本を複利で運用していくよりは資産の増加率は大きくならないけど、うまくやれるんなら、何もしないで預金で眠らせておくよりはずっと良いでしょ?
そっかそっか、最初に元本ドカってやるのに比べると増加率が小さくなるのね。それでも5%だったら25年後に約2倍になるんだね。
(※関連記事はこちら!)
⇒iDeCoでは投資信託を買うべき3つの理由とは?節税効果だけでなく、長期の積立メリットで得する投資初心者必見の正しい運用商品の選び方を伝授!
25年って気が遠くなる話に聞こえるかもしれないけど(笑)、ここで分かってもらいたいことは、真っ当にやって5%くらいの利回りを目指せれば、長くやっていければ、それなりに資産は増やしていけるということ。
経験を積んだら、さらに頑張って、より高いリターンを狙っていくのも良いけど、最初から欲張りすぎない。投資の失敗ってのは、だいたい、欲張りすぎが原因で起こるからね。
それ分かる~。はじめっから大物狙いする時とか、ちょこっとうまく行きだして「もうちょっと、もうちょっと」と思ってる時に一番足をすくわれる気がするよ。5%の利回りがあれば十分じゃないか、と今は思うけどね。
それと、一言付け足しておかないといけないことは、現実には長期間にわたって同じ利回りで運用し続けられるということはあり得ないから、あくまでも計算上のイメージのための参考だって思っておいてね。
利回りが良い時も悪い時もあるってことでしょ。あれ? でもさ、前に話してた時に、積み立て投資は、投資信託の価格が変動すると口数が変動して、結局、平均価格を安定させながら運用できるって言ってたじゃん?(サラリーマンと確定拠出年金 第5話)
利回りが変動する時って投資信託の価格が変動する時だから結局長期間にわたって、あんまりブレなく同じ利回りで運用できる、っていう感じがしたんだけど違うの?
ドルコスト平均法を使っても利回りが安定するわけではない
毎月定額を積み立てていくドルコスト平均法は、確かに、金額を分けて定期的に投資することによって投資額全体の価格変動を抑制する効果があるんだけど、そこまで「ブレなくなる」ってほどではないよ。
過去の年間の日経平均なんかの株価変動率を標準偏差という統計手法で見ると、平均的に20%くらいの変動率なんだよね。
持続的に利益成長していく企業や、インフレで経済成長している国の株式市場の株価ってのは長期的には上昇していくはずだから、仮に価格が上がったり下がったりして「後から振り返ったら5%で回ってました」ってなっても、その間での年間変動率は20%位あるわけで、場面場面では利回りより変動率がはるかに大きい。株価は、100→80→110→130→100→120、みたいに動いていくから。
ドルコスト平均法では、一度にバンと投資した時と比べて、投資資金の変動率が確かに抑制される効果があるけど、それでも数%くらいの効果だから、そんなに単純な話でもないわけよ。
平均5%の利回りはなかなか簡単ではない!
そういうことか。じゃあ5%の利回りを継続していくのもなかなか大変ってことなんだね。人生山あれば谷あり、だもんな。
あと、たまに10%とか20%とかいう利回りを目指したいって言う人もいるけど、フツーの人が簡単に継続的に実現出来るもんじゃないし、本当にそこまで必要なのかってことだよね。価値観の個人差はあると思うけど。そういうの出来ますよという話は、一時のまぐれか、投資詐欺みたいな怪しいものも多いわけで。
そういうのって、徐々に運用に慣れていくと、「これくらいの利回りが普通」「こんなうまい話があるわけがない」っていう肌感覚が身についていくんだろうな。だってやっぱりたまに短期的にとは言え、株で30%くらい上がったりするじゃん? そうするとうまくそういう銘柄を渡り歩く人は継続して高い利回りを取れるのかと信じ込まされちゃう(笑)。
お、何か失敗した経験があるね?
ひとつの銘柄に集中投資するのはリスクが大きすぎる!
あるよ~。株を始めた当初なんかは、どういうふうに銘柄を選べばいいかなんか全くわからなかったから、ちょこちょこといろんな株に分けて投資してたんだけど、そのうちの一つがすっごい高騰して、「あ~、全部をこれにつぎ込んでおけば」って後悔したわけ。そんでその後、高騰した銘柄と同じ業種の結構いいと思った銘柄にまとまったお金をつぎ込んだら、上がるどころか倒産しちゃったんだよね……。同じ業種でも、その良し悪しを見分けるのは難しかったわ。そん時、もしかしたら見極め力が身についてる人にとってはある程度高値の利回りキープで運用し続けられるのかなって羨ましく思ったんだよね~。
実際にマーケットの動きを読んで利益を上げ続ける、そういう再現性を持つスキルのある投資が出来る人は確かにいるけど、マージャンみたいな、ギャンブルに通じる能力だよね。
だいたいの人は一回30%とか勝っても、次も同じようにやろうとしたら負けて元に戻っちゃったりすることになる(笑)。
フツーの人が高い利回りを目指してハタからは単にギャンブルやってるように見えるのも、本人が楽しんでるなら他人がとやかく言うことはないんだけど。
ごく一部の卓越した能力を持つ投資家でもない、フツーのビジネスマンにとっては、本業をしっかりやりながら着実に資産形成していくのが望ましいように思えるんだよね。仕事は頑張って成果を出せば基本的には儲けられるし、お金を取られて減るなんてことはないけど、投資は時間を掛けて頑張れば着実に儲けられるってわけじゃないしね。
なんか常識人じゃん。でも俺とかはまさにそうだな。本業を頑張って突き詰めながら、将来にむけた資産形成を真剣に始めるタイミングなわけで。とは言え資産運用だけで生きてくわけじゃないしな。本業やりながらギャンブル的なドキドキはよろしくない。ギャンブルやりたいときはしっかりベガスに行きましょうと。
こういうニーズの人も多いと思うんだけど、なかなか広がらない現実もあるんだけどね。
もっと長期的な資産形成に取り組む同年代の若い層が増えてくれれば、ニーズに合わせるために金融機関のサービスも向上していくわけで、自分にとってもメリットあるし嬉しいんだけどなー(笑)。
次回、「周ちゃんのポートフォリオを考えよう!」に続く
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