「夢の配当金生活」実現メソッド

「高配当株」と「増配株」では、どちらに投資すべきか?
「増配」は業績やビジネスモデルの“裏付け”があるが、
「高配当」は株価や配当額に左右される不安定なもの!

【第22回】 2020年1月8日公開(2020年3月25日更新)
ザイ・オンライン編集部
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 こんにちは、個人投資家の立川です。

 最近はさまざまなメディアで「高配当ランキング」などが掲載されるなど、日本株の配当利回りが高いことが注目されています。「株主還元」が重要な施策として日本企業にも広まりつつあるうえに、個人投資家から注目されている「JT(日本たばこ、2914)」も一時的に配当利回り7%を超えたり、米国株でも「アルトリアグループ(MO)」が一時的に配当利回り8%を超えたりして、「高配当株」への注目度が上がっているようです。

 確かに、配当利回りが高い「高配当株」は投資金額に対してたくさんの配当がもらえるので、非常にわかりやすくて有利に見えます。

 今回はこの「高配当株(=高利回り株)への投資」についてじっくりと考えてみたいと思います。
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サラリーマンが「株式投資」をする際に
気をつけるべき“大切なこと”とは?

 サラリーマンが「株式投資」で資産形成をする際、忘れてはいけない大切なことがあります。この連載でも何度も書いていることですが、もう一度、復習しておきましょう。

【サラリーマンが「株式投資」で気をつけるべき大切なこと】
①リスクを最小限に抑えて、できれば“ゼロ”にすること
②手間や時間をかけなくても実践・継続できて、リターンも得やすい手法を使うこと

 「株式投資」をすることで、預貯金だけでは到底貯められない資産を築いているサラリーマン投資家はたくさんいます。「株式投資」は、資産を爆発的に増やすことも可能で、上手に活用すればとても有利な資産形成の方法になります。

 しかし、「株式投資」によって資産を形成するには、預貯金とは異なり、投資する銘柄を分析したり、投資した銘柄の動向をチェックしたり、関連するニュースを確認したり……と、手間や時間がかかります。とはいえ、サラリーマンが株式投資に多くの時間を費やして、仕事や生活に支障をきたすのは考えものです。サラリーマンが「株式投資」を継続するには、過度に時間や手間がかかる投資手法は避けなければいけないのです。

 そのため、私はこの連載で、リスクと手間を最小限にしつつ、それなりのリターンも得られる「増配株投資」こそ、サラリーマンにとって継続しやすい投資手法であると紹介してきました。「増配株投資」なら、増配傾向がある銘柄を見つけて投資するだけで、ある程度、優良な銘柄に投資することができて、しっかりと配当を得ることができるからです。

 一方、同じように“配当”に注目する方法としては、配当利回りが高い「高配当株」への投資が昔から人気を集めていました。

「高配当株投資」は、投資した金額に対して高い利回りで配当が得られるのが魅力です。例えば、配当利回りが7%を超えるような高利回りの株に投資すれば、預貯金の利息とは比べものにならない配当金を受け取ることができます。さらに、7%の高利回りが継続すれば14年半で「配当でモトを取る」ことが可能です。

 何も考えずに「高配当株」に投資して保有しておけばいいのでは……と考えることもできそうです。このように、「高配当株投資」はとてもわかりやすいので、投資に関係がない雑誌などでも「配当利回りランキング」などが掲載されることもあり、紹介されたJリートやインフラファンドが大きく買われたこともありました。

 「高配当株投資」をするためには“配当利回り”を調べる必要があります。配当利回りは配当金額と株価で計算ができますが、自分で計算しなくても、証券会社やYahoo!ファイナンスなどに掲載されているので調べるのは簡単です。つまり、「高配当株投資」は「手間や時間をかけなくても実践・継続できて、リターンも得やすい手法」のように見えます

 しかし、「サラリーマンが『株式投資』で気をつけること」には、もう一つ大切なことがあります。「リスクを最小限に抑えて、できれば“ゼロ”にすること」ことです。さて「高配当株」投資は「リスクが最小限」になる投資手法でしょうか。

どうして「高配当株」は存在しているのか?
「高配当株」は将来のリスクを織り込んでいる可能性も!

 まずは、なぜ「高配当株」が存在するのかを考えてみましょう。

 例えば、Aという会社の株価が1000円だったとします。その会社は、中間と期末の配当の合計が「30円」という予想を出していたとします。この場合、配当利回りは「配当30円÷株価1000円×100%=3%」となります。一方、Bという会社は株価が1000円で、配当が「60円」の予想を出している場合、「配当60円÷株価1000円×100%=6%」となります。

 AとBという会社の業績や将来性は考慮されず、投資家全員が「配当利回り」だけに注目して投資をすると仮定した場合、配当利回りが高いB社の株が買われて株価が上がり、B社の配当利回りが下がる、もしくはA社の株が売られて株価が下がり、A社の配当利回りが上がる、という現象が起こって、2社の配当利回りは近づいていくはずです。

 しかし、実際には配当利回りが「3%」の銘柄と「6%」の銘柄が同時に存在しています。あるいは、もっと高い銘柄、低い銘柄、さらに配当を出していない「無配」の銘柄すら存在しています。これはどういうことでしょうか。

 簡単な例として、“創立〇周年”などの「記念配当」を実施したり、保有していた不動産の売却益が発生した場合に配当を増やしたり、一時的に配当利回りが高くなるケースがあります。このようなケースでは、翌年以降は従来の配当利回りに戻ることが多いので、当然ながら「高利回り」は継続しません。
(※ただし、業績が好調な場合などは、翌年以降の普通配当として、前年の記念配当を含めた金額を出すこともあります)

 また、最近は企業業績が好調なことに加えて、企業が株主還元に積極的になって配当額を増やし、「高利回り」になるものの、多くの投資家が日本企業に対して懐疑的な見方をしているせいか、「高利回り」に見合うほど株が買われずに配当利回りが「高利回り」のままで放置されている銘柄も散見されます

 実際のところ、「高配当株」として存在している銘柄の多くは、実は将来のリスクを多くの市場参加者が危惧している結果であることが多いようです。配当利回りが高かった大企業が業績予想の下方修正や大幅な減益決算を発表することもよくあります。2019年5月には配当利回りが6%近くまで上昇して「高配当株」として注目されていた「日産自動車(7201)」が、その後に業績不振を理由に2019年3月期の57円から2020年3月期は40円に減配することを発表。さらに2019年11月12日には2020年3月期の配当予想を「未定」に修正しています(中間は10円)。

 「日本たばこ産業(JT、2914)」なども「高配当株」として常に個人投資家の注目を集めていますが、「高配当」になっているのは世界的な嫌煙の流れや「ESG投資(環境・社会・企業統治の要素で企業の価値を測る投資のこと)」の流れなどを受けて、株価が低迷しがちなことが要因と考えられます。銀行なども「配当利回りランキング」で上位にランクインしていますが、金利や景気の影響を受ける業種のため、将来的に安定的な成長が期待できないと考えられているのでしょう。

一見すると似ている「高配当株投資」と「増配株投資」だが、
両社を比較すると「増配株投資」のメリットがよくわかる!

 確かに、増配を毎年している配当利回りが「2%」の銘柄と、増配をほとんどしていない配当利回りが「6%」の銘柄では、後者の利回りが前者の3倍もあるので投資したくなるでしょう。

 しかし、ここまで説明してきたように「高配当株」はリスクと“表裏一体”です。なぜなら、配当額が下がっていたとしても、配当額の下落率以上に株価が下がれば配当利回りは上がるので、「高利回り」の理由をしっかりと調べなければなりません。いくら「高利回り」でも、その理由が事業内容や財務などに問題があって株価が下落している場合、その後の業績低迷や減配・上場廃止のリスクの高い銘柄を掴んでしまうかもしれないのです。つまり、どうして「高利回り」なのか、「高利回り」を維持できるのかを調べるには、投資の知識が必要で、調べる手間もかかるのです。

 一方で、「増配株投資」で注目する“増配傾向の株”は、その企業が「増配」する余裕があること、「増配」できるビジネスモデルを持っている可能性が高いことを端的に示しています。なぜなら、会社のビジネスが上手くいっていなくては「増配」はできません。また、一度「増配」をすると、なかなか「減配」しにくいので、「増配」を継続しているということは、経営者が会社の先行きに自信を持っていることの表れとも言えます。

 そして、「増配株投資」は手間が少なくて済むだけでなく、分散投資によって一段とリスクを下げることが可能です。何年か保有すれば、「増配」によって、投資元本に対して自然に高利回りな「高配当株」になりますし、配当で投資元本を回収して「リスクフリー」とすることができるのです。しかも、株を売らなければ、元本を回収した後も配当を受け取ることができます

 「増配株」は長期的に保有したままでも、倒産する可能性が低い銘柄が多いのも特徴です。もし仮に、保有銘柄の中で倒産したり、不祥事で株価が大幅に下落したりしても、「増配株」に分散投資をしておけば、損失は他の「増配株」銘柄の配当で充分カバーできます。
【※関連記事はこちら!】
増配株への分散投資は、預貯金よりもリスクが低い?配当金だけで投資元本を回収できる期間が短くなり、元本回収後はリスクフリーで高い配当金がもらえる!

 つまり、個人投資家が時間をかけて「高配当株」の先行きを予想するより、「増配株」を投資先として選ぶほうが、「手間や時間をかけなくても実践・継続できて、リターンも得やすい手法」だと考えられるのです。私が配当利回りは多少低くても「増配株」への投資を推奨する理由は、ここにあります。

「増配株」も「高配当株」も永久には続かない!
それでも「増配」傾向が続く銘柄なら低リスクでリターンが得られる!

 ここまで「高配当株」と「増配株」の違いなどを説明してきましたが、一つ、心に留めておいていただきたいことがあります。それは、「高配当株」も「増配株」も、その状態が永久に続くとは限らないということです。「高配当株」は株価や配当金が変動すれば簡単に利回りが低下してしまいます。また、「増配株」も連続増配が長期間続く銘柄はそもそも少なく、増配傾向が続いている銘柄でもそれが永久に続くという保証はありません。

 一つ、具体的な例を挙げてみましょう。

 2011年、私は「CDS(2169)」という銘柄に投資しました。「CDS」は、製品の取扱説明書やサービス手順を説明する仕様書(マニュアル)の作成などを始めとして、企業のモノづくりや販売・プロモーションをサポートする会社です。

 私が投資した当時、「CDS」は業績が好調で、毎年のように増配していました。しかし、投資した2年後の2013年からは業績が伸び悩み、「減配」にはなりませんでしたが、「増配」もされずに配当額は横ばいで推移しました、そして、株価が下がった結果、「CDS」は配当利回りが高利回りの「高配当株」になりました。しかし、最近は再び業績が好調になり、2018年には「増配」を実施し、2019年12月期も「増配」予想となっています。ただし、現在の予想配当利回りは3%程度に下がっています。つまり、「高配当」も一時的で、「増配」も毎年実施しているわけではありません。

 この「CDS」は増配傾向ではあるものの、「連続増配銘柄」ではないため、メディアで取り上げられる「連続増配ランキング」などに掲載されることもなく、あまり注目度は高くありません。そのため、株価が割高になることもなく、前述のとおり、現在は3%程度の配当利回りで推移しています。

 しかし、私はCDS」を株価600円前後(分割考慮後)で買っているので、2019年12月期の予想配当「48円」で配当利回りを計算すると「8%」程度の高利回りになります。また、今までに1株あたり284円の配当を受け取っているので、2011年に投資してからの8年間で、投資元本の約半分が配当で回収できていることになります。今後も少しずつ増配してくれれば、これまでの投資期間の2倍となる16年はかからずに、投資元本をすべて回収することができそうです。投資元本の回収が実現すれば、あとは「リスクフリー」で配当を受け取ることができます。

「増配株」と「高配当株」を組み合わせて、
分散効果が高い強固なポートフォリオをつくろう!

 私はポートフォリオの大部分を増配傾向がある日本の「増配株」数十銘柄に分散投資しています。同時に、安定的な収入が得られる事業を営んでいる「Jリート」や「インフラファンド」、日本株とは異なる資本政策や事業展開をする「米国株」にも投資しています。

 この連載でも何度か紹介してきましたが、「Jリート」や「インフラファンド」は通常、普通の個別株に比べて利回りが若干高く、営業収益のほぼ100%が賃料収入と、事業内容がはっきりしているため、減配のリスクは普通の個別株より小さいと考えられます。

「増配株」をメインにしながら、「Jリート」や「インフラファンド」のように、減配リスクが小さい「高配当」の銘柄を組み入れることで、安定的な配当(分配金)収入が得られますし、資産の一部を「高配当」な銘柄に投資することによって、ポートフォリオが「増配株」だけに偏るリスクを分散しています

 それでは、今回のまとめです。

【ポイント①】
「高配当株」は“高利回り”というわかりやすさで、簡単に儲かりそうに思えるが、実際には投資する前に「高利回りの理由」や「高利回りを維持できる銘柄なのか」をしっかりと調べる必要がある。
【ポイント②】
「増配株」は、「増配」する余裕があること、「増配」できるビジネスモデルを持っている可能性が高いことを端的に示していて、手間が少ない割にリターンが得やすく、リスクも抑えやすい。
【ポイント③】
資産が増えてきたら、「増配株」に加えて、「高配当」でありながら減配リスクも少ない「Jリート」や「インフラファンド」を組み入れて、一段と安定的なポートフォリオを構築しよう!

 この連載では、サラリーマンが株式投資で資産形成する際に、できるだけ手間のかからない手法として「増配株投資」を推奨しています。しかし、どんなに手間がかからなくても、手間を「ゼロ」にはできません。そこで、次回は「増配株投資にかける手間や時間は、本当に得られるリターンに見合っているのか」を考えてみたいと思います。お楽しみに!

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※手数料などの情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。※1 投資信託の取扱数は、各証券会社の投資信託サーチ機能をもとに計測しており、実際の購入可能本数と異なる場合が場合があります。

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