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「ユニティ・ソフトウェア」は、IPOしたばかりのIT企業で、
独立系のゲーム開発者には欠かせない無料ゲームエンジン企業の最大手
2020年9月に新規株式公開(IPO)を果たした無料ゲームエンジンのユニティ・ソフトウェア(UNITY SOFTWARE、ティッカーシンボル:U)が、第4四半期決算を発表した後、急落しました。今日はそのユニティ・ソフトウェアについて解説したいと思います。
【※関連記事はこちら!】
⇒米国のIPO株「ユニティ・ソフトウェア」を詳しく解説! ゲーム開発者に「ゲームエンジン」を無料で提供するITベンチャーは、売上も顧客数も右肩上がりで急増中
ゲームエンジンとは、独立系のゲーム開発者がスマホやデスクトップPC向けのネットゲームを開発する際に利用する、グラフックのレンダリングや音の合成といったゲーム制作に必要とされる基本的なシステムのことです。
つまり、ネットゲームの創作において、ゲーム開発者が登場するキャラクターやストーリー、世界観といった最もクリエイティブな部分に集中できるよう、退屈で反復的な作業をゲームエンジンに任せてしまうわけです。
ユニティ・ソフトウェアは、そんなゲームエンジン企業の中で最大手であり、モバイルゲームにおいて71%のマーケットシェアを占めています。ユニティ・ソフトウェアのゲームエンジンは、アップルのiOSにもマイクロソフトのウインドウズにも対応しています。
「ユニティ・ソフトウェア」の第4四半期決算は、
EPS、売上高ともに予想を上回る好決算
2月4日に発表されたユニティ・ソフトウェアの第4四半期決算では、EPSが予想-15セントに対して-10セント、売上高が予想2.04億ドルに対して2.2億ドル、売上高成長率が前年同期比+39%でした。つまり、EPSの面でも売上高の面でも、予想を上回っています。
「ダラー・ベースト・ネット・エクスパンション率の悪化」や
「アップルの個人データ管理強化」など、いくつかの懸念点も
一方で、ノンGAAP営業マージンは-9%と、第3四半期に比べると悪化しました。
さらに、2021年の第1四半期のノンGAAP営業マージンのガイダンスも-19〜-14%ということで弱いです。これが今回の決算の最初の懸念点です。
次にユニティ・ソフトウェアの顧客動向ですが、年間売上高で10万ドルを超える大口顧客数は793社でした。
しかし「既存顧客がより沢山サービスを購入しているかどうか」の尺度であるダラー・ベースト・ネット・エクスパンション率(ドルベースの膨張率)が、今回、初めて下がりました。
これが、ユニティ・ソフトウェアの今回の決算における2つ目の悪い点だったと思います。
さらに、アップル(AAPL)が、2020年9月から配信を始めたiOS14以降、ユーザーの個人データの管理を強化する方針を発表しました。実は、アップルの個人データ管理強化は、iPhone向けスマホ・ゲームを開発している独立系ゲーム開発者にとっても頭の痛い問題です。これが今回の決算で明らかになった3つ目の懸念点です。
ユニティ・ソフトウェアのゲームエンジンに基づいたすべてのネットゲームのうち、iOS上での広告のインプレッション(表示)の割合は、30%前後です。その30%のうち少なからぬゲームが、すでに広告のトラッキングなどをオフにしています。
今回のアップルの変更がユニティ・ソフトウェアのすべてのビジネスを直撃するわけではありませんが、ある程度の影響は避けられないでしょう。実際、ユニティ・ソフトウェアは、2021年の売上高ガイダンスを提示するにあたり、アップルの個人データ管理強化からくるマイナス効果は3000万ドルと見積もっています。もちろん、その数字はガイダンスから外してあります。
「ユニティ・ソフトウェア」は、売上高ガイダンスとして、
予想2.14億ドルに対して新ガイダンス2.10億〜2.2億ドルを提示
ユニティ・ソフトウェアのガイダンスを見ると、第1四半期の売上高は、予想2.14億ドルに対して新ガイダンス2.10億〜2.2億ドルが提示されました。この売上高ガイダンスに従うと、売上高成長率は+26〜+32%ということになります。そして、前述のように、第1四半期のノンGAAP営業マージンは、-19〜-14%が提示されました。
また、2021年の売上高は予想9.55億ドルに対し新ガイダンス9.5億〜9.7億ドルが提示されました。この売上高ガイダンスに従うと、売上高成長率は+23〜+26%ということになります。また2021年のノンGAAP営業マージンは-11〜-9%が提示されました。
【今週のまとめ】
「ユニティ・ソフトウェア」の決算内容は良好!
懸念点もすでに織り込み済みなので、今後の株価見直しに期待!
ユニティ・ソフトウェアの第4四半期決算は、EPS、売上高、ガイダンスすべての面でOKでした。
細かい点を見ると、ノンGAAP営業マージンが悪化傾向にある、ダラー・ベースト・ネット・エクスパンション率が弱含んでいる、アップルのiOSの個人データ保護の強化がユニティ・ソフトウェアの顧客であるゲーム開発者をしてゲーム・デザインやマネタイズの難易度を上げた、などの懸念点が存在します。
しかし、それらはほぼ株価に織り込み済みであり、株価はここから出直してくると予想されますので、要注目です。
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