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5月18日の日経平均株価は2万8406.84円と、前日比で582.01円(2.09%)上昇しました。とはいえ、先週11日~13日の急落と、前日17日の弱さを覆すほどの勢いはありません。
日経平均株価は5月11日~13日までのわずか3営業日で、終値ベースで2070.33円(7.01%)も急落しました。その後、週末14日は636.46円(2.32%)高と4日ぶりに反発したものの、週明けの17日の日経平均株価は前週末比259.64円(0.92%)安の2万7824.83円と再び下落。わずか3日で2070.33円も下落したのに、636.46円しか戻すことができず、すぐに再下落してしまいました。
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週明けの5月17日の日経平均株価の冴えない動きには、多くの投資家が失望したように感じます。というのは、前週末の14日の米国株式式場が強い動きだったため、多くの投資家は、日経平均株価が続伸して堅調に推移することを期待していたはずだからです。
しかし、残念ながらその期待は裏切られ、5月17日の日経平均株価の4本値は、始値2万8310.46円、高値2万8312.78円、安値2万7632.53円、終値2万7824.83円と、ほぼ「寄り付き天井」となりました。
5月18日の日経平均株価は反発し、582.01円(2.09%)高の2万8406.84円となりました。これは18日に発表されたGDP速報値の影響がありそうです。
内閣府が5月18日に発表した2021年1~3月期GDP速報値は、実質で前期比1.3%減、年率換算で5.1%減と、3四半期ぶりにマイナス成長でした。2020年度も前年度比4.6%減で、落ち込み幅はリーマン・ショックがあった2008年度の3.6%減を超えて、戦後最大となりました。
このGDP速報値の発表を受けて、市場で「日銀による金融緩和が長期化し、うまくすれば政府による景気テコ入れ策(追加の財政出動)も期待できる」との思惑が浮上したことが、日経平均株価を押し上げたと見られます。
テクニカル的には、5月17日の終値は2万7824.83円と、75日移動平均線(17日現在2万9235.43円)と25日移動平均線(同2万9090.15円)はもちろん、5日移動平均線(同2万8022.68円)すら下回り続けました。しかし、18日の反発で5日移動平均線については上回ってきました。これは自律反発を期待させるポジティブな兆候です。ただし、終値で25日移動平均線を超えてこないと、今回の調整は一巡しないとも見ています。
日銀は、先週の急落場面でもETFの買い入れを見送り!
日本株は以前よりも「下がりやすく、上りにくい」状態に
ところで、日銀は3月18日~19日に開いた金融政策決定会合で、年間6兆円程度としてきたETF買い入れの目安を撤廃する一方で、12兆円程度の上限を維持し、必要に応じて買い入れを行うことを決めました。そして、新基準が適用された4月1日から、買い入れるETFの対象を、日経平均型の購入をやめてTOPIX型に一本化しています。
【※関連記事はこちら!】
⇒日経平均株価は日銀の“ETF購入方針の変更”で下落! 「TOPIX買い+日経平均売り」の相場では、内需中心の景気敏感株の中で“好業績+割安+有配”な銘柄を狙え
ちなみに、4月1日から5月17日までの間は、4月21日に1回だけ701億円分の買い入れがあっただけです。つまり、新基準では、5月11日~13日の急落場面でもETF買い入れが見送られたのです。
日銀はETF買い入れの要件を明らかにしていませんが、4月21日前場のTOPIXの下落率が2.17%だったことから、新基準は「前引けのTOPIXの下落率が2.0%を超えたら行う」のではないかとの推測も市場の一部で囁かれています。
しかし、3月19日に公表された「より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検 【背景説明】」の中で、日銀は「市場参加者に対するサーベイ結果をみると、株価が下落し、ボラティリティが高まるなど、市場が不安定な局面では、日本銀行によるETF買い入れが市場で注目され、また、それは株式市場に対してプラスの要素と評価されている。一方、株式市場が落ち着く局面では、注目度は下がり、プラス要素との評価は低下している」と述べています。よって、TOPIXの下落率ではなく、ボラティティに重きをおいた買い入れ基準に変更された可能性が高いと見ています。
いずれにせよ、今後市場が相当混乱しない限り、日銀は買い入れに動くことはないのでしょう。これは売り方にとって追い風であり、TOPIXのみならず、日経平均株価も新基準導入以前よりは「下がりやすく、上りにくくなった」と言えるでしょう。
東証マザーズ指数は、テクニカル的に見ると、
中期的な下値サポートゾーンを割り込んで「底割れ」へ
日経平均株価よりも酷い状況になっているのが東証マザーズ指数です。5月17日の東証マザーズ指数は、前週末比41.72ポイント(3.85%)安の1042.82ポイントでした。
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実は東証マザーズ指数は、5月14日に前日比19.16ポイント(1.80%)高と9日ぶりに反発したものの、4月28日~5月13日まで8日も続落し、その間に156.27ポイント(12.79%)も下落したのです。8日続落した後、14日に1日だけ反発し、またすぐに大幅に反落しました。18日に大幅反発したとはいえ、日経平均株価と比較して非常に厳しい調整局面が続いています。
テクニカル的には、5月17日の東証マザーズ指数は1042.82ポイントと、5日移動平均線(17日現在1081.18ポイント)、25日移動平均線(同1190.10ポイント)、75日移動平均線(同1216.58ポイント)のすべてを下回っており、日経平均株価同様、短期・中期の下落トレンドが発生中と見ています。
また、5月12日に、「2021年3月9日の1113.58ポイント」と「2020年12月22日の1125.60ポイント」に挟まれた「中期的なテクニカル上の下値サポートゾーン」を割り込んだことで、チャート的には「底割れ」したと考えています。このため、今回の調整は長期化する可能性が高いと思われます。
マザーズ市場は、信用取引を行う個人投資家が多いため、
下落局面になると売りが売りを読んで急落しやすい傾向に
マザーズ市場は、個人の関与率が高く、かつ信用取引を活用した買いの比率が高いことが特徴です。また参加者も、短期売買を好む個人が多いと見られます。さらにマザーズ市場は、買いの回転が効いていると買いが買いを呼び、過熱感を伴いながらバリュエーションを無視するかのように上がる傾向があります。しかし、ひとたび買いの回転が鈍ると売りが売りを呼び、「そこまで売り叩くのか」と呆れるようなピッチで下落する傾向があります。
その理由は大きく2つで、「個人主体で機関投資家の関与率が低いこと」と、「多くの個人が借金して株を買う(信用買い建て)こと」です。
機関投資家はバリュエーションを重視するため、バリュエーション面で割安水準になれば買いを入れてきます。しかしながら、高バリュエーション銘柄の多いマザーズ市場にはそのような買いは期待できません。投資環境が悪化するとすぐに買い手が不在となり、下落局面では一方通行になりがちなのです。
また、5月6日~7日の個人の信用取引数値を見ると、「買い」では現金が27.6%、信用が72.4%でした。これだけ信用取引を積極的に活用してレバレッジを効かせたトレードをすると、「上昇相場では信用買い方の資産が昇り龍の如く大膨張するが、下落局面では青菜に塩、ナメクジに塩の状態になる」のは当然です。
マザーズ市場が低迷している最大の理由は、信用需給の悪化!
海外投資家が買い越しに転じてこない限り「反転底打ち」は厳しい
足元のマザーズ市場が低迷している最大の理由は、信用需給の悪化だと考えています。東証マザーズ指数の2020年10月の高値は1368.19ポイントでした。この高値の制度信用の期日が今年の4月でした。4月に入って期日到来を受け、値上がりを諦めた買い方の手仕舞い売りが加速したと推察されます。
なお、今年に入ってからの東証マザーズ指数の高値は、2月16日に付けた1340.38ポイントです。この高値期日は今年の8月ということになります。このため、信用買い残の整理が進み、マザーズ市場の信用需給が改善するのは、8月以降ということになるでしょう。
なお、マザーズ市場での投資部門別の数字を見ると、足元では「個人の買い・海外投資家の売り」という構図が続いています。具体的には、以下の通りです。
【4月5日〜9日】個人は120億円買い越し/海外投資家は100億円売り越し
【4月12日〜16日】個人は92億円買い越し/海外投資家は147億円売り越し
【4月19日~23日】個人は274億円買い越し/海外投資家は295億円売り越し
【4月26日~30日】個人は118億円買い越し/海外投資家は190億円売り越し
【5月6日~7日】個人は113億円買い越し/海外投資家は80億円売り越し
こうなると、海外投資家が買い越しに転じてこない限り、マザーズ市場の”底打ち反転”は厳しいと考えておく必要があります。
東証マザーズ指数が“底打ち反転”するまでは、
個人投資家好みの値動きの激しい銘柄には近づかないのが吉
ところで、マザーズ銘柄を保有していない人であっても「東証マザーズ指数の動向なんて興味ないし、関係ない」と思わないほうがいいでしょう。というのは、マザーズ銘柄を手掛ける個人は、ジャスダック銘柄はもちろん、東証1部、2部銘柄のうち、値動きの激しい銘柄も手掛けるからです。もしマザーズ銘柄が下がれば、彼らのリスク許容度が下がり、マザーズ銘柄以外の彼らが弄っている銘柄にも換金売りが波及することになる、つまり、連れ安しがちなのです。
結論として、東証マザーズ指数が底打ち反転するまでは、個人投資家好みの値動きの激しい銘柄には近づかないことです。だからこそ当面の物色対象は、好業績の低PER・低PBRの大型株に狙いを絞るべきだと考えます。
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