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ロシアによる軍事的な緊張が続くウクライナ情勢をめぐり、地政学リスクが一段と高まっています。
米国の国務省は1月23日、ウクライナに駐在する大使館職員の家族に出国を命じたことを発表。24日には、英国外務省が英国大使館の一部職員と家族らを退避させたことを明らかにしました。さらに、日本政府も24日、現地の大使館関係者を含む在留邦人の国外退避に関する検討に入ったと報じられています。
また、米国や欧州はウクライナに対して軍事支援を強化。ウクライナに輸送した救援物資の一部には、ウクライナ防衛に使われる弾薬なども含まれているようです。
このように、ウクライナ情勢に関しては、一段と緊張感が高まっていることは間違いありません。
ウクライナ情勢への高まる警戒感から、
「防衛」関連銘柄の石川製作所が乱高下
そんな情勢のなか、北京オリンピック2022が2月4日~20日、パラリンピックが3月4日~13日の日程で開催されます。世界平和を願うスポーツ大会を意識していったんは「オリンピック休戦」という形が取られ、ウクライナ侵攻が起こるとしても北京オリンピック後になると見る向きもあるようです。もし、ロシアが北京オリンピック中にウクライナ侵攻を開始すれば、緊密だった中ロ間の友好関係が崩れる可能性もあるからです。
ただし、米国の大使館職員の退避など、このところの報道の慌ただしさを見ると、オリンピック期間中に関係なくウクライナ侵攻があってもおかしくないと考えられます。
万が一、北京オリンピック期間中にロシアによるウクライナ侵攻があった場合、金融市場全般の混乱に繋がる可能性は十分にあります。そのため株式市場でも、地政学リスクへの警戒として現在のリスク回避の動きをさらに強めてくることが考えられます。
また、ここ数日は「防衛」関連の中核的な銘柄とされる石川製作所(6208)の株価が上昇しています。石川製作所は、北朝鮮による飛翔体発射の報道が出る度に短期的な資金流入が見られる銘柄で、今回もあくまでも短期的な売買にとどまっていました。
ただ、株価が昨年1月4日につけた1950円を高値にこれまで調整を見せていたとはいえ、石川製作所の急騰に対して注目が集まっていることから、今回は改めて「防衛」関連銘柄を取り上げてみました。
具体的な銘柄としては、市場全体が下落している影響を鑑みて、インデックス売買の影響を受けやすい三菱重工業(7011)など主力大型株は避けて、材料系の中小型株のなかから直近で株価が上昇した銘柄を選定しました。
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【石川製作所(6208)】
防衛関連機器では海上自衛隊向けのシェアが高い
石川製作所(6208)は、段ボール印刷機やボール製函機、繊維機械のほか、防衛関連機器を手掛けています。防衛関連機器では海上自衛隊向けのシェアが高く、機雷など弾薬を供給しているようです。「防衛」関連として、有事の際にはいち早く株価に反応を見せてくる銘柄のひとつで、今回も1月19日に昨年来安値1293円をつけた後に急騰し、1月25日には一時1715円を回復しました。
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【帝国繊維(3302)】
子会社が防衛省向けの大型天幕やトラックの幌を製造
帝国繊維(3302)は、子会社のテイセン産業が防衛省向けの大型天幕やトラックの幌(ほろ)を製造しています。株価は、年明けの1月4日に2337円の戻り高値をつけた後は調整が続き、1月21日には一時1847円まで下落して昨年来安値を更新しました。しかし、その後リバウンドの動きを見せていますので、出遅れ感のある銘柄として注目を集めそうです。
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【細谷火工(4274)】
火薬や爆薬を使用した「火工品」を幅広く提供
細谷火工(4274)は、官公庁や大学・研究所、航空関係、警察・消防、一般企業や消費者などに火薬や爆薬を使用した「火工品」幅広く提供しています。株価は、2020年11月半ばから1000円近辺の底値圏での推移が続いていました。しかし、直近で強いリバウンドを見せ、一時は52週移動平均線を突破してきましたので、目先の目標として2020年12月末につけた高値1756円が意識されます。
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【豊和工業(6203)】
自動小銃や反動砲などを防衛省や自衛隊に提供
豊和工業(6203)は、2020年に部隊使用が承認された自動小銃(20式5.56mm小銃)や120mm迫撃砲RT、84mm無反動砲など、さまざまな製品を防衛省・自衛隊向けに提供しています。株価は、切り下がる25日移動平均線に上値を抑えられる形での下落が続き、1月19日には一時729円まで下落して昨年来安値を更新。しかし、その後はリバウンドを見せ、一時は25日移動平均線を突破してきたため、ここからのさらなる株価上昇が期待できます。
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【旭精機工業(6111)】
小口径銃弾を製造する国内唯一のメーカー
旭精機工業(6111)は、プレス機械や自動車業界向けの精密金属加工品などを手掛ける企業で、防衛省向けの小口径銃弾を製造する国内唯一のメーカーでもあります。2021年7月以降は2000円を挟んだもち合いで推移しているので、1900円~1950円水準での押し目買いが狙い目でしょう。ただし、名証2部銘柄で流動性が低いため、大きく上昇した後の反落には注意しましょう。
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【日本毛織(3201)】
グループ企業が危険物防護マットなどを手掛ける
日本毛織(3201)は、グループ企業のナカヒロ(旧社名:ニッケプロテクティブマテリアルズ)が、超高強力耐切創保護カバーや耐水・耐刃・耐熱防護衣、防護エプロン、耐切創防刃ブルゾン、防刃ブルゾン、危険物防護マット、防刃インナーなどを手掛けており、防衛関連の一角と位置づけられています。株価は、今年に入って75日移動平均線との攻防を見せています。直近では市況の影響で下落しましたが、今後、リバウンドをして75日移動平均線を突破してくるようだと上昇トレンドへの転換が期待できます。
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以上、今回はウクライナ情勢に関わる地政学リスクの高まりから、「防衛」関連銘柄を発掘しました。
なお、「防衛」関連は短期的な値幅取り狙いの動きとなる可能性があることから、資金の逃げ足の速さには注意する必要があります。一方で、台湾や北朝鮮を取り巻く緊張感も高まっており、その周辺の関連報道には投資家も敏感に反応してくると思われるので、関連するニュースは常にチェックしておくといいでしょう。
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