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日経平均株価とナスダック総合株価指数は、
「5月12日に短期的な底入れを果たした」と判断
日経平均株価に関しては、5月12日の2万5688.11円、ナスダック総合株価指数に関しては、5月12日の1万1108.76ポイントで、それぞれ短期的な底入れを果たしたと見ています。
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5月12日、米国では株価の大幅下落により、信用取引の買い主体にマージンコール(追証)が発生したことで、損失覚悟の投げ売りが出たと観測されています。5月12日の我が国も同様でした。つまり、日米の株式市場で「セリングクライマックス」が発生し、それにより需給が大幅に改善したと考えています。
ナスダック総合株価指数は、高値から30%以上は下落したので、
相場格言からもいったん下げ止まっても不思議ではない
ナスダック総合株価指数の史上最高値は、取引時間ベースで2021年11月22日の1万6212.23ポイント、その後の安値は、2022年5月12日の1万1108.76ポイントです。また、史上最高値からの20%下落水準は、1万2969.78ポイントで、5月16日終値は1万1662.79ポイントです。
つまり、ナスダック総合株価指数は、現在も「弱気相場」入りとされる「最高値から20%超下落」した水準での推移となっています。
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しかし、日本には「三割高下に向かえ」という有名な相場格言があります。これは、ある日を基準に株価が3割上昇したところが売り場で、3割下降したところが買い場であるという意味です。
この格言に当てはめれば、ナスダック総合株価指数の史上最高値から30%下落した水準は1万1348.56ポイントなので、5月12日の1万1108.76ポイントで「三割高下に向かえ」が当てはまる水準まで値幅的には調整済みと言えます。このため、ナスダック総合株価指数は、いったん下げ止まっても不思議ではないと考えています。
現時点における「目先1~2カ月の短期なシナリオ」は、
2万5688.11円~2万7580.64円での「横ばいトレンド」!
一方、日経平均株価については、テクニカル的に見て、3月25日、3月29日、3月30日にそれぞれ200日移動平均線に抵抗されて調整入りしました。その後、4月21日には100日移動平均線に抵抗されて調整入り。そして、5月6日には75日移動平均線に抵抗されて調整入りしました。
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なお、5月17日時点では、25日・75日・100日・200日移動平均線がすべて下向きかつ、下から順番に並んだ状態の「弱気のパーフェクトオーダー」となっています。また、3月25日以降、上値・下値ともに切り下がる「下降トレンド」が継続中です。
5月12日の2万5688.11円で短期的に底入れしたと見てはいますが、それは「上昇トレンド」に転換したという意味ではなく、「下降トレンド」から「横ばいトレンド」に転換した可能性が高いと判断したという意味です。
今後に関してですが、現時点でのメインシナリオは、2万5688.11円~2万7580.64円での「横ばいトレンド」の継続です。そして、4月21日につけた直近高値2万7580.64円を上抜くことが「横ばいトレンド」から「上昇トレンド」に転換する第一条件です。逆に、2万5688.11円を割り込むことが、「横ばいトレンド」から「下降トレンド」に転換する第一条件となります。
なお、この予想はあくまでも目先1~2カ月程度の短期の話です。基本的には、25日・75日・100日・200日移動平均線がすべて上向きで、かつ上から順番に並んだ状態の「強気のパーフェクトオーダー」が実現するまでは、中長期の上昇トレンドへの転換はないと見ています。そして、余程の腰を抜かすようなビッグサプライズがない限り、「強気のパーフェクトオーダー」の実現は期待薄でしょう。
今は買いエントリーだけで儲けるのは非常に難しい局面!
資金ロットを落として、時間軸を短くすることが重要
市場関係者へのヒアリングのなかで、ある投資顧問の社長は「今は買いエントリーだけで儲けるのは非常に難しい局面。できれば投資資金の1割、多くても4分の1くらいで相場を張ったほうがいいでしょう。“ポジポジ病(ポジションを持っていないと落ち着かない状態)”に罹患して、資金を溶かすことは絶対に避けるべきです。いずれ発生するであろう大暴落のときに種銭がないという状況にならないためには、それくらい慎重であったほうがいい。想定通りに大暴落が来たとき、全力で買い向かえた人が次の金持ちになるのだから」と言っていました。
また、ある専業の友人は「スイング系の投資を好む投資家は大苦戦している。今儲かっているのは、売り屋とデイトレの達人だけです。つまり、大多数の個人投資家は大苦戦していて、ごくごく一部の人だけが儲けています」と言っていました。
大暴落が来るか来ないかは別として、現状の相場で儲けるためには、資金ロットを落として、時間軸を短くすることが重要だと思います。また、「順張り」で買うのではなく、「逆張り」で急落時に買う(突っ込み買い)ようにしないと厳しいと見ています。
また、個人投資家の関与率の高い銘柄には近付かないことです。具体的には、小型材料株でマネーゲームの対象となるような銘柄は避けましょう。つまり、機関投資家の参入が見込める大型株だけを触るようにしましょう。
さらに「高配当利回り」「低PER」「低PBR」「高ROE」「キャッシュリッチ」「アクティビストの保有が明らかになっている」などの条件を満たす銘柄に投資しましょう。
「ウクライナ戦争」や「金融引き締め」がすでに株価に織り込まれた今、
市場の最大の関心事は「中国の経済成長鈍化への懸念」
5月12日までの下落で、いったんはウクライナ戦争やFRBの金融引き締めは織り込んだと見ています。現在の市場の最大の関心事は、「ゼロコロナ」政策を強烈に推し進める中国の経済成長鈍化の世界景気への影響だと思います。
中国国家統計局が5月16日に発表した4月の工業生産は、前年同月比2.9%で、市場予想の平均値である1.0%増に反して減少しました。約2年ぶりの減少で、2020年1~2月(前年同期比13.5%減)以来の落ち込み幅でした。また、小売売上高も11.1%減少と、3月の3.5%減から落ち込みが拡大し、市場予想の6.1%減をも下回りました。さらに、失業率は6.1%と、6カ月連続で前月を上回りました。
このように中国は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた行動制限により、消費、鉱工業生産、雇用が大きな打撃を受けています。
上海市は5月16日、現在実施している都市封鎖を、6月中に解除する方針を示しました。これはポジティブ材料です。
しかし、習近平指導部はゼロコロナ政策を堅持する方針です。このため、感染が再拡大したら、また厳しい行動制限をかける可能性が高そうです。よって、当面の間、中国経済の成長鈍化の懸念が「世界の株式市場の上値圧迫要因」として意識され続けると見ておく必要がありそうです。
繰り返しとなりますが、今は買いエントリーだけでは、なかなか収益を獲得することが難しい相場局面です。くれぐれもポジポジ病に陥ることなく、種銭を大事にしてください。
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