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FRB高官の発言や米・雇用統計の結果などから、
FRBは積極的な金融引き締めを継続する見通し
6月に入ってから、FRB高官による金融引き締めに積極的なタカ派寄りの発言が相次いで出ています。
セントルイス連銀のブラード総裁は6月1日、「FRBはインフレ期待の制御を失う危機にひんしている」と発言しました。また、ブレイナードFRB副議長は2日、「FRBが利上げを一時停止するのは難しいだろう」と述べ、需要が減退しなければ、9月も0.5%の利上げを続ける可能性を指摘。そして、クリーブランド連銀のメスター総裁は3日、「9月のFOMCまでに説得力のある証拠が見られなければ、0.5%の利上げを支持する」と述べました。
なお、6月3日に発表された5月の米国の雇用統計では、非農業部門の就業者数の増加幅が4月の43万6000人から縮小したものの、前月から39万人増えました。失業率は3.6%と前月から横ばいで推移。そして、市場が注目していた平均時給上昇率は、前年同月比5.2%と市場予想と同じでした。雇用の伸びは鈍化したものの、依然として労働需給の逼迫が示された形です。この結果を受け、市場では、FRBの積極的な金融引き締めの方針は変わらないとの見方が広がりました。
このような状況下、先週(5月31日~6月3日)のNYダウは2週ぶりに下落し、週末6月3日は前週末比313.26ドル安でした。また、ナスダック総合株価指数も2週ぶりに下落し、週末6月3日は前週末比118.40ポイント安でした。一方、米国10年債の価格は5月31日~6月3日の4日続落し、米国10年債利回りは前日比で0.02%高い2.93%に上昇しました。このように、6月3日までは「米国株安・債券安」でした。
しかしながら、週明け6月6日の米国株式市場では、NYダウが小幅反発し、前週末比16.08ドル高の3万2915.78ドルでした。また、ナスダック総合株価指数も反発し、同48.64ポイント高の1万2061.37ポイントでした。
中国での新型コロナウイルスに関する規制緩和を受け、経済正常化への期待が広がり、NYダウは一時、前週末比335.67ドル高まで上昇する場面がありました。しかしながら、長期金利の上昇が嫌気され、高PERのハイテク株への売りが膨らんだことで、NYダウは伸び悩みました。
ちなみに、6月6日の米国10年債利回りは前週末比0.11%高い3.04%と、5月11日以来、1カ月ぶりの高水準でした。それでも、NYダウとナスダック総合株価指数は前週末比プラスで取引を終えています。
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したがって、米国の株式市場はすでに「FRBの積極的な金融引き締め」への耐性ができており、上値が重くとも、下値も相当堅い(すでに当面の底入れを果たした)と考えています。また、6月14日~15日にFOMCを控え、金融政策の関係者が対外発信を控える「ブラックアウト期間」に入ったことで、FOMCが終了するまではタカ派的な高官発言で米国の株式市場が大きく動揺することはないでしょう。
今後は「円高」や「インバウンド需要の増加」、
「自社株買い」などが日本株にとって押し上げ材料に!
ところで、6月6日ののNY外国為替市場では、ドル/円相場が一時、1米ドル=132円台を記録し、2002年4月以来およそ20年2カ月ぶりの円安・ドル高水準を更新しました。
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FRBは、このまま金融の引き締めを続ける見通しです。FRBが国債などの保有資産を減らす「量的引き締め(QT)」も始まりました。一方、日銀の黒田東彦総裁は6月6日、日本経済について「金融引き締めを行う状況にはまったくない」などと述べました。このような日米の金融政策の違いを手掛かりに、外国為替市場では、米ドルを買って円を売る動きが加速しています。
エネルギーを輸入に頼る日本では、原油高の局面で貿易赤字が膨らみやすいことも、円安要因として意識されています。なお、この円安は、我が国の輸出企業の収益にポジティブに作用するため、日本株にとっては追い風です。
さらに、政府内で、観光需要喚起策「Go To トラベル」が6月末~7月にも再開する案が浮上してきたと、6月4日付の日本経済新聞などが報じました。また、6月からは入国者数の上限が1日1万人から2万人に拡大。さらに、6月10日には外国人観光客の受け入れが再開されます。
今後、徐々にではありますが、旅行やインバウンド需要の増加が期待できます。これは、関連企業の収益の押し上げ要因であり、日本株にとっても押し上げ材料と言えるでしょう。
これらに加え、需給面では「自社株買い」と「配当の再投資」の資金が市場に流入しています。4~5月の2カ月間で企業が発表した2022年度の自社株の買い入れ枠は計4.2兆円となり、前年同期の約2倍でした。また、大和証券のレポートによれば、「TOPIX 構成銘柄の6月配当合計額は7.0兆円で、昨年の5.7兆円を上回る」「決算発表後~株主総会前は自社株買いが進むケースも多い」と指摘しています。これらの買い需要は、日本株の需給面での「サポート」および「押し上げ」要因です。
つまり、日本株に関しては、外部環境も内部環境も、そして需給関係も大幅に改善していると見てよいでしょう。
日経平均株価は当面の間「バンドウォーク」で推移!
ボリンジャーバンドが収縮するまでは「上昇トレンド」が続く
それはさておき、6月7日の日経平均株価の終値は2万7943.95円でした。5日移動平均線(7日時点で2万7698.64円)、25日移動平均線(同2万6870.51円)、75日移動平均線(同2万6821.95円)、100日移動平均線(同2万7008.83円)、200日移動平均線(同2万7939.72円)をすべて上回っています。
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今後の日経平均株価は、25日移動平均ベースのボリンジャーバンドプラス1σ(6日現在2万7311.03円)とプラス2σ(同2万7813.85円)の間を推移する「バンドウォーク」を続ける展開を想定しています。
なお、ここにきて、ボリンジャーバンドが「エクスパンション(上部と下部のバンドが上下に拡散)」してきています。このボリンジャーバンドが「スクイーズ(バンド幅が狭く収縮)」するまでは、現在進行中の「上昇トレンド」が継続する見通しです。
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久しぶりに「買いエントリー」で儲かりやすい相場環境に!
「ゲーム」「メタバース」「インバウンド」などのテーマに注目
最後に、注目している物色テーマは、以下の通りです。
・ゲーム
・メタバース(仮想空間)
・NFT(非代替性トークン)
・ブロックチェーン(分散型台帳)
・原発再稼働
・原油・資源高
・インバウンド(小売・飲食など)
・Go To トラベル(旅行・観光・ホテルなど)
・円安メリット
・中国経済正常化
・防衛
これらのテーマ株に当てはまる銘柄群が、日替わりで順番に物色(循環物色)されると見ています。
日本株は、「サマーラリー(夏にかけて株高が続く状態)」開始への助走が始まったようです。久しぶりに「買いエントリー」で儲かりやすい環境になったと感じています。
ですから、当面の日本株については強気スタンスで相場に臨み、夏休みのレジャー資金を東京株式市場から上手に調達してください。健闘を祈ります。
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