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政府が、クリーンエネルギー社会を目指す「GX実行会議」を開催し、
150兆円規模の投資を進めるためのロードマップ作成を表明
政府は7月27日、岸田首相を議長とする「第1回GX実行会議」を開催しました。
「GX」とは「グリーントランスフォーメーション」の略で、産業革命の時代から続く化石燃料中心の経済・産業の構造を、クリーンエネルギー中心のものに移行させるため、社会全体を変革することを意味します。
政府のGX実行会議は、資源・エネルギーの安定的な確保を前提として、脱炭素を加速しながらエネルギー自給率を向上させることなどを目的としており、年内には、150兆円規模の投資を進めるための今後10年のロードマップ(工程表)を取りまとめるとしています。
具体的には、今後「GX」を進めていくにあたり、再生エネルギーや水素、アンモニア、蓄電池、省エネ性能の高い住宅、次世代自動車、充電・水素ステーションなどのインフラ整備、パワー半導体の製造拠点、リサイクルといった分野に投資を行っていくことが見込まれます。
LNGの需給逼迫による足元の電力危機の克服のため、
岸田首相が「最大9基の原発再稼働」を指示
一方、連日の猛暑により、電力需給のひっ迫が改めて問題視されています。
電源構成の約40%を占めるLNG(液化天然ガス)については、ロシアのウクライナ侵攻によって世界的に供給が不足した状態が継続。日本のロシアからのLNG輸入比率は、2021年時点で8.8%とそれほど高くはありませんが、世界的に需給がひっ迫していることから代替は簡単ではありません。この問題に関して現時点で影響を大きく受けているEUだけでなく、消費するLNGの約9割を海外に依存している日本にとっても、ロシアからLNGの供給が途絶えた影響は甚大でしょう。
こうした状況を踏まえ、岸田首相は7月14日、電力需給のひっ迫が懸念されるとして、これまでの脱原発の流れを反転させ、冬には最大9基の原子力発電所の再稼働を進め、日本全体の電力消費量のおよそ1割に相当する電力を確保するよう指示したことを明らかにしました。
7月27日にGX実行会議を開催した際も、「まず、足元の危機の克服が最優先です。この危機の克服なくして、2030年、2050年に向けたGXの実行はありえません」と強調し、将来的には原子力発電所の新増設も視野に入れていることが伝えられました。
「最大9基の原発再稼働」については既定路線であり、岸田首相が新たに命じたわけではないといった見方はあるものの、政府が次世代軽水炉や小型原子炉、核融合といった技術の研究開発などに取り組む姿勢を見せていることは間違いないでしょう。
そこで今回は「原発」関連銘柄に注目しました。
この冬に再稼働が計画されている9基の原子力発電所があるのは、関西電力(9503)と四国電力(9507)、九州電力(9508)の3電力管内で、いずれも西日本エリアとなります。これら3電力については、原発再稼働による業績改善が期待されます。
「原発」関連銘柄としては、一般的に三菱重工業(7011)、日立製作所(6501)、日本製鋼所(5631)、横河電機(6841)、日立造船(7004)などが取り上げられますが、今回はそういった大型株は避け、個人投資家主体の材料株として資金が向かいやすいと見られる銘柄を中心に選定しました。
【木村化工機(6378)】
核燃料の輸送容器や濃縮関連機器など、原子力装置を手掛ける
木村化工機(6378)は、核燃料輸送容器や核燃料濃縮関連機器、放射性廃棄物処理装置などの原子力装置を手掛けています。そのほか、発電所内の空気を吸引し、大気中の放射能を測定する装置や、医療用洗浄装置などの製造をもっています。株価は、5月19日につけた安値621円をボトムにリバウンドを見せており、13週移動平均線が下値支持線として意識されています。押し目を狙いつつ、26週・52週移動平均線を捉える局面では、やや強気のスタンスで臨みましょう。
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【明星工業(1976)】
原子力発電所の建設やメンテナンスの実績も有する
明星工業(1976)は断熱分野の事業を手掛けており、原子力発電所の建設やメンテナンスの実績も有しています。原子力発電所の断熱には、一般的な断熱技術だけでなく、着脱が容易で放射能汚染が除去できるタイプや、放射線の遮蔽と断熱を兼ねたタイプなど、特別に設計された材料と工法によって施工されます。株価は、直近で13週・26週移動平均線を下回ってきました。直近安値となる690円辺りでの底堅さを見極めつつ、押し目買いを狙いましょう。
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【助川電気工業(7711)】
原発の小型炉や核融合炉に関する試験を受託
助川電気工業(7711)は産業システム機器の製造を手掛ける企業で、原発関連としては、タンク内や容器内の液体残を確認する液面計や、流体の流れを測定する電磁流量計、電磁ポンプ、制御装置などを扱っています。また、原発の小型炉(SMR)や核融合炉に関する試験の受託および関連機器の開発も進めています。株価は、切り上がる13週移動平均線に沿った強い上昇トレンドを形成しており、直近の調整は押し目買いのチャンスと言えそうです。
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【高田工業所(1966)】
原発のステンレスライニングや大型貯槽、配管などを扱う
高田工業所(1966)は、高度なエンジニアリングと建設技術により、原子力発電所のステンレスライニングや大型貯槽、配管などの建設を行っています。また、産業プラントの敷地内で、建屋や機械などの製造設備の新設・増設工事などを手掛けています。株価は、足元で強い値動きを見せてきましたが、短期的には過熱感が警戒されます。足元で急ピッチの上昇に対する調整を見せているところなので、1000円辺りでの底堅さを見極めつつ、押し目買いを狙いましょう。
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【岡野バルブ製造(6492)】
原子力発電所向けの高温・高圧バルブの大手
岡野バルブ製造(6492)は、火力発電や原子力発電所向けバルブの大手で、高温・高圧バルブの製造とメンテナンスを主力事業としています。株価は、7月半ばに急騰を見せたものの、その後の調整によって週足では長い陰線を残す格好となっています。これまで下値支持線として機能していた26週・52週移動平均線まで調整しつつあるので、押し目買いのスタンスで臨みましょう。
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【帝国電機製作所(6333)】
キャンドモータポンプを原子力発電所に納入
帝国電機製作所(6333)は、モータコイルを缶詰状に密閉し、ポンプと一体化した構造であるキャンドモータポンプを手掛けており、原子力発電所のほか、石油化学プラントやファインケミカル、医薬・食品業界、変電所などの分野で活用されています。株価は強いトレンドを形成していますが、直近で利食いの動きを見せているので、13週移動平均線辺りでの押し目買いを狙いたいところです。
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以上、今回は「原発」関連銘柄を発掘しました。
今回紹介した銘柄は、どれも個人投資家による資金が集中しやすい銘柄である一方、テーマが一巡すると流動性が低下することも多いので、積極的な上値追いよりは、押し目を拾うスタンスをおすすめします。
もし、流動性の低さが気掛かりな場合は、物色状況などにもよりますが、前出の三菱重工業や日立製作所、日本製鋼所、横河電機、日立造船などが手掛けやすいでしょう。
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