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岸田総理が「第3回 物価・賃金・生活総合対策本部」を開催し、
「食料品」の価格高騰にきめ細かな対策を講じるよう指示
岸田総理は8月15日、総理大臣官邸において「第3回 物価・賃金・生活総合対策本部」を開催し、物価の動向やその対応策などについて議論を交わしました。首相官邸の公式サイトによると、岸田総理は足元の物価や景気の状況に速やかに対応すべく、「食料品の価格高騰への対応策」「エネルギー問題への対策(燃料油価格の負担軽減や原子力発電所の稼働再開など)」「1兆円の地方創生臨時交付金の増額」の3つについて指示したそうです。
このうち「エネルギー問題」に関しては、当コラムでもこれまでに「再生エネルギー」や「原発」「化石燃料」の関連銘柄などを取り挙げてきました。
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そこで今回は「食料品」に関する施策によって株価上昇が期待できる関連銘柄に注目したいと思います。
岸田首相の指示により、政府から製粉会社への小麦の売渡価格が
国際価格の高騰に反して10月以降も据え置かれる可能性が浮上!
岸田総理は「第3回 物価・賃金・生活総合対策本部」で、日常の生活に欠かせないパンや麺類などの製品価格の高騰が切実であるとの現場の声を受け、食料品全般の価格上昇にきめ細かく施策を講じるよう、野村農水大臣に指示したとのことです。
国内で消費される小麦のうち、およそ9割が海外から輸入されたものですが、各製粉会社などが自社で直接小麦を輸入しているわけではありません。最初に政府が一括して大量の小麦を海外から買いつけ、それを各製粉会社などに売り渡す「国家貿易制度」という仕組みを採用しています。「国家貿易制度」には、政府がまとめて小麦を買いつけることで、品質を確保しながら安定的な調達を実現するという狙いがあります。
政府から各製粉会社に売り渡す際の売渡価格は、半年ごとに見直しが行われます。そのため現在の売渡価格はウクライナ侵攻以前を反映した水準に据え置かれていますが、10月以降は国際価格の高騰を反映して20%程度、売渡価格が上昇する可能性があると言われています。
こうした状況に対して岸田総理は、10月以降も政府から各製粉会社への売渡価格を据え置くよう、野村農水大臣に指示しました。
製粉会社は、これまで適正価格での販売に努めて値上げを実施するものの、原料穀物相場の高騰や円安ドル高の進行、さらにエネルギーコスト上昇といった急激な製造コストの上昇を、すべて吸収しきることができない状況でした。しかし、政府からの小麦の売渡価格が安定すれば、粗利率の改善が見込めるようになります。小麦価格の上昇を見込んで値上げを計画していた企業も値上げを行わずに済み、消費者の買い控えの緩和にもつながりそうです。
政府からの小麦の売渡価格の据え置きが現実のものとなるかは現段階で不透明ですが、もし実施されることになれば、こうした「小麦」関連の企業にとっては強い追い風になることでしょう。そこで今回は、「小麦」関連銘柄をピックアップしました。
具体的な銘柄については関連銘柄の範囲が広いため、今回は製粉会社のほか、小麦を大量に使用する食品や外食の代表的な銘柄を取り挙げています。
【昭和産業(2004)】
「52週移動平均線」突破からのトレンド好転に期待!
昭和産業(2004)は小麦、大豆、菜種、トウモロコシなどの穀物を、小麦粉やプレミックス、植物油、糖化製品、配合飼料などに加工して販売しています。最近は過去に例のない頻度で価格改定を実施してきましたが、原材料コストがピークアウトする可能性が高まったことで業績の改善が期待できます。株価は2020年9月の高値3645円をピークに長期的な下落が続いていましたが、足元でリバウンドの動きを見せ、上値抵抗線として意識されている52週移動平均線が射程内に入ってきました。このまま同線を突破すれば、本格的な上昇トレンドへの転換も期待できます。
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【山崎製パン(2212)】
小麦の「売渡価格」の据え置きが「製品価格」にも直結!
山崎製パン(2212)は、製パン業界では国内最大手の企業です。主力の「ロイヤルブレッド」などに関し、2022年1月から実施した価格改定が浸透してきたことで、売上が順調に回復。また、低価格帯食パンの売上も大きく伸びています。小麦価格が製品価格に直結するので、政府からの売渡価格が据え置かれるようだと当面値上げが行われないと見られ、価格上昇に対する買い控えの懸念が後退しそうです。株価は、7月7日につけた高値1799円をピークに調整を見せているものの、足元では切り上がる75日移動平均線が下値支持線として機能しているため、ここからのリバウンドを狙いたいところです。
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【日清食品ホールディングス(2897)】
ボックス相場の上限である「1万円」を突破してからの一段高に期待!
日清食品ホールディングス(2897)は2022年6月、「カップヌードル」や「日清のどん兵衛」など即席麺の希望小売価格を値上げしましたが、株価は6月13日につけた直近安値8250円をボトムに上昇トレンドが続いています。ブランド力のある商品の場合、値上げが販売減に繋がりにくいことも要因のひとつだと思われます。とはいえ、原料の小麦価格の安定が追い風になることは間違いないので、利益改善への期待が一段と高まると見られます。株価は、8月5日に1万円の大台を回復した後は、9500円~1万円辺りでボックス相場を形成。押し目を狙いつつ、1万円突破からの一段高が期待できます。
⇒日清食品ホールディングス(2897)の最新の株価はこちら!
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【東洋水産(2875)】
切り上がる25日移動平均線を下値支持線としたトレンドを形成
東洋水産(2875)は、袋麺の「マルちゃん正麺」や即席カップめんの「赤いきつね」のほか、チルド麵などを手掛けています。小麦価格の値上がりでカップ麺、袋麺ともに製造コストが上昇したことから、2022年6月に価格改定を実施。2023年・第1四半期の決算を見ると、即席めん事業全体では増収でしたが、カップ麺カテゴリーが減収になるなど値上げの影響が見られました。今後、政府の狙い通りに小麦の売渡価格が安定した場合、コスト負担減少から業績改善期待が高まるでしょう。株価は8月1日に高値5870円をつけたあと、一時調整を見せましたが、足元で切り上がる25日移動平均線を下値支持線としたトレンドを形成しているため、リバウンド狙いのスタンスがおすすめです。
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【トリドールホールディングス(3397)】
マーケティング戦略の成功により好決算を発表!
トリドールホールディングス(3397)は、讃岐うどんの「丸亀製麺」や天ぷら定食の「まきの」、とんかつ・かつ丼の「豚屋とん一」などをチェーン展開しています。2021年1月から一部商品の値上げを実施しましたが、季節に合わせたフェア商品を続々投入するなどのマーケティング戦略が成功し、8月12日に発表された2023年3月期・第1四半期の業績は予想を上回る進捗でした。株価は決算内容が評価されて急伸し、8月17日には一時2995円まで買われました。このまま2021年11月の高値3050円を捉えてくるようだと、上昇トレンドが強まりそうです。
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【ホットランド(3196)】
「築地銀だこ」「銀のあん」など、多くの「粉もの」を扱う
ホットランド(3196)は、たこ焼チェーンの「築地銀だこ」やタイ焼きの「銀のあん」、江戸前天ぷらの「日本橋 からり」などを運営しています。2022年12月期・第2四半期の業績については、「鬼滅の刃」とのコラボ企画が売上・集客の回復に大きく寄与しました。粉ものを多く扱っていることから、小麦価格の安定が一段の利益拡大への期待に繋がりそうです。株価は足元で調整が続いており、7月につけた安値1286円を目安に押し目を狙いたいところです。
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以上、今回は「小麦」関連銘柄を発掘しました。
足元では原油相場が調整を見せています。各社とも、これまでの価格改定によってコスト増加分はおおむね吸収してきたと見られるため、今後、小麦価格の安定に加えて燃料コストも落ち着いてくることになれば、より「原料安」の恩恵が意識されてくる可能性は十分にあると見ています。
なお、食品や外食業界全体に対して業績改善期待が高まる可能性もあるので、今回紹介した銘柄だけではく幅広く関連銘柄を探ってみるのもいいでしょう。
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