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世界の人口は2022年11月に80億人を突破!
急激な人口増加に伴う食料需給の逼迫が世界的な課題に
国連が2022年7月に発表した「世界人口推計2022年版」によると、世界の人口は2022年11月15日に80億人に達したそうです。今後の見通しとしては2030年に約85億人、2050年に97億人に増加。そして、2080年代中に約104億人でピークに達し、2100年までその水準が続くと予測されています。
ちなみに国別で見ると、2023年にはインドが中国を抜いて世界で最も人口が多い国になると見込まれており、また、2050年までに増加する世界人口の過半数は、コンゴ民主共和国、エジプト、エチオピア、インド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、タンザニアの8カ国が占めると予想されるとのことです。
こうした世界の人口増加と切り離せないのが食料問題です。2019年に農水省が発表した「2050年における世界の食料需給見通し」では、人口増加と経済発展によって2050年の世界の食料需要量は2010年比で1.7倍となり、特に低所得国の伸びが大きいと予測されています。アフリカや中東では、経済発展に伴う農業投資の増大で主要作物の生産量は増加するものの、人口増加などによる需要量の増加がそれを上回る見通しです。
なお、2019年時点で、1970年に比べると人口は2.1倍に倍増しており、食料の需要量も小麦が2.4倍、コメが2.4倍、とうもろこしが4.2倍、大豆が7.9倍に増えているとのことです。
食糧問題や畜産業の環境問題の解決策として期待される
“植物代替肉”や“培養肉”などの「代替タンパク質」に注目!
将来的な需給の逼迫が懸念されるのは農産物だけではありません。
人口増加に合わせて食肉生産体制を拡大すると、畜産業における温室効果ガスの排出量の増加や、飼料生産のための広大な農地利用、さらには大量の水資源の利用や糞尿による環境汚染など、新たな課題が出てきます。実際、現時点で地球上の農地の約75%は畜産用であり、温室効果ガスの総排出量の約14%が畜産由来となっています。
また、国内の畜産業については、高齢化による働き手の不足という問題も深刻化しています。
こうした状況を背景に、肉の消費量を減らすために大豆由来などの「植物代替肉」や人工培養細胞を用いた「培養肉」など、「代替タンパク質」への取り組みが急ピッチで進められています。
「代替タンパク質」とは、牛肉や豚肉、鶏肉など従来の肉の代替として人工的につくられるタンパク質のこと。種類としては、大豆などからつくる「植物由来」、動物から採取した細胞を培地で生育する「細胞培養」、微生物や菌糸の働きを用いてつくる「発酵由来」、コオロギやイナゴなどの昆虫を使った「昆虫食」などがあります。
近年、こうした「代替タンパク質」をはじめとしたフードテック分野への投資が活発化しており、世界の投資額で見ると2013年の23億ドル(約2990億円)から2021年には517億ドル(約6兆7300億円)へ拡大しています。
そこで今回は、世界的な人口増加による食糧需要の増大や、畜産業の環境負荷などへの関心の高まりを背景に注目を集める「代替タンパク質」の関連銘柄に注目しました。
具体的な銘柄は、「代替タンパク質」に関連する事業を展開している企業のなかから、株価やテクニカル面などを考慮して選定しました。
【日本ハム(2282)】
白身魚やエビをイメージした「代替シーフード」を3月から発売
日本ハム(2282)は、大豆ミートを使用した「ナチュミート」シリーズなどの代替肉を展開しています。また、大豆などを使った「代替シーフード」として、白身魚をイメージした家庭向けのフィッシュフライと、エビをイメージした業務用のポップコーンシュリンプを開発し、2023年3月にからの販売開始を予定しています。株価は、1月16日につけた安値3555円をボトムにリバウンドが続いています。1月30日には決算内容を受けて大きく売られたものの、その後は急速な切り返しを見せており、“悪材料出尽くし”からの上昇が期待できます。
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【良品計画(7453)】
「コオロギチョコ」や「コオロギせんべい」を手掛ける
無印良品を展開する良品計画(7453)は、徳島大学の研究をベースに量産された食用コオロギを使用し、「コオロギチョコ」や「コオロギせんべい」を販売。「コオロギせんべい」は、エビのような香ばしい風味が特長のようです。昆虫は牛や豚といった家畜と同じく主要な栄養素を体内に多く含むため、必要な栄養素を効率よく摂取することができます。株価は、1月16日につけた安値1321円をボトムにリバウンドが続いています。このまま25日移動平均線を捉えてくるようだと、1月10日の急落局面で空けたマド(1485~1558円)を埋める上昇が意識されるでしょう。
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【昭和産業(2004)】
「たっぷり大豆ミートのボロネーゼソース」などを販売
昭和産業(2004)は、肉の代わりやフライの衣、お菓子などに幅広く利用できる大豆ミート「まめたん」や、ひき肉の代わりに大豆ミートを使用した「たっぷり大豆ミートのボロネーゼソース」、大豆ミートが具材として入ったコーンポタージュ「美活ポタジェ」などを販売しています。株価は2022年9月以降、2400~2550円辺りのレンジでの推移が継続。足元では1月10日のレンジ下限からのリバウンドが継続しており、このままレンジ上限を突破してくるようだとさらなる上昇が期待できます。
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【スターゼン(8043)】
大塚食品と共同で、畜肉不使用の「ゼロミートシリーズ」を展開
食肉処理や加工食品などを手掛ける食肉卸大手のスターゼン(8043)は、大塚ホールディングス(4578)傘下の大塚食品と共同で、大豆を使った畜肉不使用の「ゼロミートシリーズ」を展開。2022年6月には「ゼロミート ハムタイプ」「ゼロミート ソーセージタイプ」「ゼロミート ハーブソーセージタイプ」の3品が、「大豆ミート食品類JAS」の認証を取得しました。株価は足元で上昇トレンドが継続しており、2022年11月の高値2139円を突破。2022年8月につけた高値2186円が射程に入ってきました。
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【ジェイテクト(6473)】
グリラスと共同で「コオロギの自動飼育システム」を開発
ジェイテクト(6473)は、徳島大学発のフードテックベンチャー企業であるグリラスと2020年5月に業務提携を実施。ジェイテクトの自動化技術やデジタル技術とグリラスの飼育技術を組み合わせることで、高品質なコオロギを生産できる自動飼育システムを開発しました。飼育システムの外販も目指しているようです。株価は、2022年9月の高値と11月の高値で「ダブルトップ(二点天井)」を形成後、調整が続いていましたが、1月16日の安値873円をボトムにリバウンドの勢いを強めています。直近で75日移動平均線を捉えてきたことから、本格的な上昇トレンドへの転換に期待したいところです。
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【日揮ホールディングス(1963)】
培養肉「クリーンミート」の技術開発を行う新会社がスタート!
日揮ホールディングス(1963)は、傘下の日揮が、動物細胞を培養して食肉を生産するクリーンミートの商業生産を目指して技術開発を行う新会社を2022年1月に設立しました。食肉組織から特定の幹細胞を取り出して培養し、「食肉オルガノイド」と呼ばれる組織体を作成する手法を世界で初めて適用しています。株価は、2023年1月の安値1578円と2022年7月の安値1566円の「ダブルボトム(二点底)」を形成後にリバウンドが継続しています。足元では25日移動平均線が下値支持線として意識されており、75日移動平均線突破からの本格的なトレンド転換が期待されます。
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以上、今回は「代替タンパク質」の関連銘柄を発掘しました。
なお、1月29日にロシアは、北方領土周辺における日本の漁船の安全操業を定めた漁業協定に関する協議を拒否する方針を発表しました。日本は、北方領土の周辺海域でホッケやスケソウダラなどの漁を行っていますが、このまま状況に変化がなければ漁獲量の減少が予想されます。こうした地政学的リスクからも「代替タンパク質」への関心が高まりそうです。
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