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政府が日銀次期総裁に植田和男氏を提示したことで、
日銀発の「日本株急落リスク」はほぼ消滅!
政府は2月14日、日銀の黒田東彦総裁の後任に元日銀審議委員で共立女子大学教授の植田和男氏を、副総裁に前金融庁長官の氷見野良三氏と日銀理事の内田真一氏をそれぞれ起用する人事案を国会に提示しました。
市場の最大の関心事のひとつだった日銀人事に関しては、すでに2月10日に「政府は日銀の次期総裁の方針を固めた」と一斉に報じられていました。この報道が出るまで、市場では副総裁の雨宮正佳氏が次期総裁の本命と見られていたことから、正直な話、植田氏の指名は「サプライズ人事報道」でした。
ちなみに、これまで日銀総裁には日銀出身者と財務省出身者が就任するのが慣例となっており、今回の人事案を衆参両院が同意して植田氏が正式に任命されれば、戦後初の学者出身の日銀総裁となります。
今後のスケジュールとしては、2月24日に衆議院で所信聴取を実施、27日に参議院の議院運営委員会で所信聴取と質疑を実施する方向で調整しているようです。
日銀総裁候補の植田氏は、1998年から日銀審議委員を7年間務めており、政策の実務に対する理解も深く、審議委員時代には2000年8月のゼロ金利政策の解除に反対票を投じたことで知られています。
その植田氏は2月10日夜、記者団に対して「金融政策は景気と物価の現状と見通しにもとづいて運営しなければいけない。そうした観点から現在の日本銀行の政策は適切であると思います。現状では金融緩和の継続が必要であると考えています」と述べたそうです。
この発言を聞く限り、植田氏は急速な金融引き締めに慎重である可能性が高そうです。これは「次期総裁が脱アベノミクスを強く意識させる人物になること」を強く警戒していた株式市場にとって、安心材料と言えるでしょう。
また、副総裁にはマイナス金利政策や長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)導入に携わった内田氏と、バーゼル銀行監督委員会や主要国の金融当局でつくる金融安定理事会に勤務したこともある氷見氏が起用される見通しです。金融政策や金融制度のプロである副総裁2人が学者出身の新総裁を支えることも、我が国の金融市場にとってポジティブ材料だと思います。
以上のことから、金融政策の急激な変化は当面起こらず、そして日銀発の日本株急落リスクはほぼ消滅したと見ています。
日経平均株価やTOPIXの上値は重い状況が続くものの
国内要因により日本株が大きく崩れる可能性は低い
ただ、日本株全体に関して言えば、企業業績面から判断すると上値は限定されそうです。というのは、2月11日の日本経済新聞が「企業業績の先行きに対する市場の見方は、足元で悪化傾向にある。東証株価指数(TOPIX)構成銘柄について、2023年度業績予想の上方修正の割合から下方修正の割合を差し引いた週次の『リビジョン・インデックス(RI)』は先週まで13週連続でマイナス圏。とりわけ1月以降はマイナス幅が25~56ポイントにのぼっている」と報じていたからです。先行きの企業業績に明るい兆しが出てくるまで、日経平均株価やTOPIXといった日本株の代表的な株価指数の上値は重い状況が続くでしょう。
ただし、前述した日銀総裁人事に関するリスクの大幅低下に加え、ゼロコロナ政策を放棄した中国の経済正常化の加速、さらに日本のコロナ政策の変更による人流正常化など、好材料も多数あるため、現時点にはおいては内部要因から日本株が大きく崩れる可能性は低いと見ています。
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2/14発表の米・CPIが市場予想より大きく上振れした場合、
米国株の急落&長期国債の利回り急上昇が発生するリスクも
しかしながら、欧米、とりわけ米国発の悪材料の発生に端を発した、日本株の連れ安リスクは警戒しておく必要がありそうです。というのは、1月の非常に強い内容の米・雇用統計が発表された後、FRBの高官から、より厳しい金融引き締めを示唆する「タカ派発言」が相次いでいるからです。
具体的に挙げると、ウォラーFRB理事は「想定より高い水準の政策金利が、より長い期間続く可能性がある」と述べました。また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「もっと引き締めをやる必要がある」と発言。そして、NY連銀のウィリアムズ総裁も「物価上昇率を目標の2%にするには、金融政策を十分に引き締め的にして、それを数年間は維持する必要がある」と語りました。彼らのタカ派発言を受け、市場では、6月のFOMCまでにさらに3回利上げが続く確率が高まったと見られています。
たしかに、NY連銀が2月13日に発表した1月の消費者調査で3年先の予想物価上昇率の中央値が2.7%と2年3カ月ぶりの低水準となったことが好感されて、同日のNYダウは続伸し、前週末比376.66ドル高の3万4245.93ドルに。ナスダック総合株価指数も4日ぶりに反発し、同173.669ポイント高の1万1891.789ポイントと、米国の株式市場は堅調でした。
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2月14日には、市場が最も注目している物価指標のひとつである米国の1月のCPIが発表されます。
ブルームバーグの集計によれば「1月総合CPIの市場予想は、前年同期比6.2%上昇への減速が見込まれています。また、食品とエネルギーを除いたCPIコア指数は前月比0.4%、前年比5.5%上昇の予想」とのことです。
ここ最近、CPIの発表日に米国の株式相場が大きな値幅を伴って乱高下することが多発しています。今回発表されるCPIが市場予想より大きく上振れするケースでは、米国株の急落と米・長期国債の利回り急上昇の発生を一応想定しておく必要がありそうです。
「低PER・低PBR・好業績・高配当・高ROE・良好なチャート」の
内需系大型バリュー株を探して投資するのがおすすめ!
FRBがタカ派的なため、当面の間、世界的に不安定な相場が続く見通しです。なお、米国の長期金利が上昇するケースでは、日米のグロース株が再び売り叩かれる可能性が高いと見ています。このため、小型グロース株に投資する際には、今まで以上に資金管理を厳格にして慎重に相場に臨むことをおすすめします。
一方、国内要因に不安材料が特に見当たらないため、内需系の大型バリュー株は安心して投資できると見ています。決算発表もほぼ一巡したので、最新の企業業績をじっくり精査したうえで「低PER・低PBR・好業績・高配当利回り・高ROE・良好なチャート(5日・25日・75日移動平均がパーフェクトオーダーなど)」といった条件を満たす内需系大型株を狙ってみてはいかがでしょうか。
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