「アニメ」関連銘柄に注目！ 映画「スラムダンク」や「ワンピース」の世界的大ヒットで売上アップが期待できる「東映」「KADOKAWA」など関連株を解説！

映画「THE FIRST SLAM DUNK」が中国で大ヒットし、
江ノ島電鉄の駅も外国人観光客の「聖地巡礼」で人気化

　人気コミック「スラムダンク」をアニメ映画化した「THE FIRST SLAM DUNK（ザ・ファースト・スラムダンク）」が4月20日に中国本土で公開され、大人気となっています。

　初日の前売り券の販売額は約22億円に達し、中国で上映された海外アニメ作品の過去最高額を更新。北京市内の多くの映画館では、公開日の午前0時からライブ会場のような雰囲気のなかで映画が上映されたようです。また、中国国内での上映回数は、初日だけで13万回以上。公開から4日間での興行収入は約73億円を超え、観客動員数は1000万人を突破しました。

 「スラムダンク」の人気は映画だけにとどまりません。「スラムダンク」に登場する江ノ島電鉄・鎌倉高校前の踏切は観光スポットになっており、連日、多くの外国人観光客が訪れているそうです。人気アニメの舞台となった地域を訪れる「聖地巡礼」の観光需要は、かなり大きいでしょう。

訪日外国人の増加に加え、日本アニメの人気化を背景に
「聖地巡礼」による観光需要や関連グッズの売り上げの増加に期待！

　厚生労働省は、5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しますが、これにより訪日外国人観光客が一段と増加すると考えられます。

　また、コロナ禍前に日本を訪れた外国人観光客の滞在期間は1週間程度の場合が多く、浅草や新宿、京都、北海道といった定番の名所を訪れるのにとどまっていました。しかし、コロナ禍でテレワークでの業務が一般的となったことで、日本に来てテレワークで働きつつ、1カ月程度をかけてさまざまなスポットを巡る外国人観光客も増えているようです。こうした状況も外国人観光客の「聖地巡礼」を後押ししているのでしょう。

　外国人に人気のアニメは「スラムダンク」だけではありません。米国では、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン（都市封鎖）で自宅から出られない状況が続いたことで、日本アニメの視聴者数が相当に増えたようです。こうした日本アニメの人気によって「聖地巡礼」による観光需要の増加や関連グッズの売り上げアップなども見込まれます。

　そこで、今回は「アニメ」関連銘柄に注目しました。具体的な銘柄は、アニメ制作に係る企業や、聖地巡礼による観光需要の恩恵を被る企業、アニメ関連のイベント・グッズなどを手掛ける企業のなかから、テクニカル面やバリュエーション面を考慮して選定しました。

【東映（9605）】
映画「ONE PIECE FILM RED」のヒットで今期業績への期待が高まる

　東映（9605）は映画大手で「THE FIRST SLAM DUNK」を配給しています。2022年8月公開のアニメ映画「ONE PIECE FILM RED」が、2022年末時点で国内興行収入188億円を記録するなど国内外でヒットしたことも影響し、2023年3月期は過去最高益を更新する見通しです。「THE FIRST SLAM DUNK」の熱狂ぶりから、2024年3月期に対する期待も高まりやすいでしょう。なお、5月6日と27日には、1994年に制作された「スラムダンク」の劇場版シリーズ第1作と第2作が有料サイトの東映チャンネルで放送予定です。株価は、足もとで強い上昇が続いており、2022年7月の高値2万140円が意識されます。

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【壽屋（7809）】
人気アニメのキャラクターのフィギュアを数多く手掛ける

　壽屋（7809）は、プラモデルやフィギュア、雑貨などのホビー商品の企画・製造・販売が主力事業で、「チェンソーマン」や「僕のヒーローアカデミア」「SPY×FAMILY」「盾の勇者の成り上がり」など、さまざまなアニメキャラクターのフィギュアを手掛けています。また、自社オリジナルIP（キャラクターなどの知的財産）の創出にも注力しています。株価は、2月7日につけた高値1万3880円をピークに調整していましたが、足元では52週移動平均線が下値支持線として機能する形でリバウンドの動きを見せています。13週・26週移動平均線を突破してからの一段のリバウンドに期待したいところです。

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【共同印刷（7914）】
「週刊少年ジャンプ」を創刊号から印刷する老舗印刷会社

　共同印刷（7914）は、集英社の「週刊少年ジャンプ」を1968年の創刊号から印刷しています。また、共同印刷の情報コミュニケーション部門は、雑誌や書籍、コミックス、教科書、辞典、美術本、絵本、年史、電子書籍、カタログ、ポスター、パンフレット、カレンダー、POP、ノベルティなどを手掛けています。株価は、2022年11月の高値と2023年2月の高値で「ダブルトップ（二点天井）を形成後は調整していましたが、足元で52週移動平均線辺りでの底固めからリバウンドの動きを見せています。13週移動平均線近辺での攻防を見せていいるので、同線の突破を想定した「押し目狙い」のスタンスになります。

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【IGポート（3791）】
「SPY×FAMILY」のオリジナル劇場版が12月に公開予定

　IGポート（3791）は、アニメ作品とコミックの企画から制作までを一貫して行うコンテンツ・プロバイダーで、「SPY×FAMILY」や「銀河英雄伝説」「怪獣8号」など、多くのアニメ作品を手掛けています。グループ会社であるウィットスタジオが制作中の「SPY×FAMILY」は、テレビアニメのシーズン2が10月から放送予定で、さらに2023年12月22日にはオリジナル劇場版の公開も予定されています。株価は強い上昇トレンドを形成。過熱感が警戒されるものの、2018年3月の高値4435円が意識されるため、押し目狙いのスタンスとなります。

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【KADOKAWA（9468）】
「聖地巡礼」による持続的な地域振興に貢献

　KADOKAWA（9468）は、出版や映像からゲーム、ウェブサービス、教育、IP体験施設の運営まで手掛ける総合エンターテインメント会社です。グループの取り組みとして、アニメの舞台となった場所にファンが訪れる「聖地巡礼」において「ファン＋作品＋地域＋関係企業」の4者の共創サイクルを促し、一過性のブームに終わらせない持続的な地域振興を目指しています。株価は、1月5日につけた安値2287円をボトムに上昇トレンドが継続。足元では13週移動平均線に沿った上昇で52週移動平均線を突破しており、2022年4月の高値3370円と2021年11月の高値3480円（分割考慮）がターゲットとして意識されます。

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【ソニーグループ（6758）】
グループ会社のアニプレックスが数多くのヒット作品を制作

　ソニーグループ（6758）は、グループ会社のアニプレックスが、アニメーションを主とした映像作品の企画・製作・販売・映画配給、さらにソーシャルゲームの企画・製作などを手掛けています。アニメ「鬼滅の刃」や「ぼっち・ざ・ろっく！」「リコリス・リコイル」「ソードアート・オンライン」「銀魂」など数多くのヒット作を制作しています。株価は2月の高値を更新したことで、いったんは達成感が意識されるものの、13週移動平均線に沿った上昇トレンドが続いています。2022年1月の高値1万5725円を意識したトレンドを期待した押し目狙いのスタンスになるでしょう。

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　以上、今回は「アニメ」関連の銘柄を発掘しました。

　なお、経団連は4月7日、アニメやゲーム、映画などのコンテンツ産業を日本の成長を牽引する産業の柱のひとつと考え、その振興に政府も力を入れるよう求める提言をまとめました。海外で5兆円程度と見られる日本発のコンテンツビジネスを、約10年で3～4倍に伸ばすことを目標に掲げているようです。

　コンテンツビジネスで成功している韓国では、関連する政府系機関がコンテンツへの支援を一元的に行っており、日本との大きな差が生じています。経団連では「コンテンツ庁」の設置などを提案していますが、もしこれが実現すればアニメを始めとした日本のコンテンツビジネスの拡大が大いに期待されるでしょう。
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