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現時点で中東情勢の悪化による原油高騰は見られないものの、
今後、他の産油国に影響が出れば「世界同時株安」の可能性も!
先週から中東情勢がますます緊迫化しており、日米株式市場の上値圧迫要因となっています。。
具体的には、10月27日にイスラエル軍の報道官がガザへの地上作戦を「今夜、拡大する」と述べ、28日にはイスラエルのネタニヤフ首相がハマスに対する戦闘が「第2段階」に入ったと記者会見で宣言しました。そして、29日にはイスラエル軍のハガリ報道官がガザ地区北部の住民に改めて南部への避難を呼びかけ、「これは緊急の要請だ」と強調。そして、ネタニヤフ首相は30日、停戦は「ハマスへの降伏、テロへの降伏に値する」と主張しました。このように、イスラエルは戦闘規模を徐々に拡大しており、ハマスの壊滅を目指しているようです。
しかし、これだけ緊迫化していても、10月30日のWTI原油先物の期近の12月物の値動きは落ち着いており、前日比3.23ドル(3.8%)安の1バレル82.31ドルで取引を終えました。現時点では、イランなどほかの産油国を巻んで中東での緊張が一段と高まり、中東からの原油輸出の縮小や一時停止といった事態に陥る可能性は低いと、市場は見ているようです。
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ただし、万が一、ほかの産油国を巻き込むような事態になれば「原油価格急騰⇒世界同時株安」という展開になります。このため、中東情勢が落ち着くまでは、世界的にリスクオフムードが強い状況が続く見通しです。つまり、多くの投資家は「テールリスク(ほとんど起こらないはずの想定外の暴騰・暴落が実際に発生するリスク)」を意識し続けることでしょう。
米国株は、中東情勢への警戒感から上値が重い一方、
マクロ経済環境が良好なため底割れリスクは低い
以上のように、中東情勢に対する警戒感は根強く、米国株の上値は非常に重いです。しかしながら米国経済が堅調で、かつインフレが鈍化しているため、米国株は底堅さを保っています。
10月26日に発表された7~9月期の米・実質GDPは前期比年率4.9%増と、4~6月期の2.1%増から加速しています。その一方で、7~9月期の米・個人消費支出(PCE)物価指数は、エネルギー・食品を除くコアが同2.4%上昇と、4~6月期の3.7%上昇から鈍化しました。
このような良好な経済状況を織り込み、10月30日のNYダウは前週末比511.37ドル(1.57%)高の3万2928.96ドル、また、ナスダック総合株価指数は続伸し、同146.47ポイント(1.15%)高の1万2789.48ポイントでした。
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ただし、米国企業の先行きの業績についてまとめた「ブルームバーグ・エコノミクス(BE)」では、「米国企業の7〜9月(第3四半期)決算は予想外に利益が増える見通しだが、向こう数四半期については、企業が需要の低迷やマクロ経済の先行き不透明感を警告していることから、業績見通しが足元で切り下がっている」と報じられています。
このため、米国企業の業績見通しが現状よりも上向かない限り、年末に向けて米国株がガンガン上値を追う展開は期待薄と考えます。その一方で、米国のマクロ経済環境が良好なため、米国株の底割れリスクは低いとも見ています。
日銀は金融政策決定会合でYCCを再修正し、
連続指し値オペの実施利回り水準を1%に引き上げ!
ところで、日銀は10月31日まで開いた金融政策決定会合で、マイナス金利政策やETF買い入れといった大規模な金融緩和策の大枠を維持しましたが、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)については再修正しました。具体的には、10年物国債の指し値オペの運用を見直し、長期金利の事実上の上限だった1%については「メド」として一定程度超えることを容認。現在の状況において、原則として毎営業日1.0%の利回りで連続指値オペを実施し、長期金利の上限を厳格に抑えることは、強力な効果の反面、副作用が大きくなりうると判断したとのことです。
また、日銀は10月31日、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表しました。2023年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は政策委員の見通しの中央値で前年度比プラス2.8%と、前回7月時点の見通しのプラス2.5%から上方修正しました。また、2024年度の見通しはプラス2.8%と、前回のプラス1.9%から上方修正。そして、2025年度についてもプラス1.7%と、前回のプラス1.6%から上方修正しました。
さらに、日銀は消費者物価指数(除く生鮮食品)についても、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響に加え、最近の原油価格の上昇もあって、来年度は前年比2%を上回る水準で推移すると予想しています。
日銀は2022年12月の会合で長期金利の変動許容幅を「プラスマイナス0.25%程度」から「プラスマイナス0.5%程度」と倍に広げました。そして、2023年7月の会合では変動幅について「プラスマイナス0.5%程度をメド」とし、連続指し値オペを実施する利回り水準を0.5%から1%に引き上げることで、事実上の金利上限を広げました。そして今回の会合で、長期金利の上限は「1.0%をメド」として、変動幅の表記を削除しました。
正直言って、日銀の物価見通しはまったく当てにならず、その結果、金融政策が後手に回っている感は否めません。ただし、今回の展望レポートでも「必要であれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」としており、金融引き締めに対して慎重な点だけは評価できます。
小型グロース株は冴えない値動きが続いているので、
引き続き「プライム市場上場の大型株」の押し目狙いが正解!
この日銀の金融緩和継続が、日本株の下支え要因として機能し続ける見通しですが、日本株全体の上値は重い状況が続きそうです。というのは、株式相場を押し上げる材料が乏しいと見ているからです。
テクニカル的に見ると、日経平均株価の25日移動平均線は10月31日まで、20日連続で下降しました。今後に関しては「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向きの状況」になるまでは、現在の調整局面が続く見通しです。
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また、東証グロース市場指数は、10月24日に797.08ポイントの上場来安値をつけた後も戻りが鈍く、冴えない値動きが続いています。
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このため、引き続き小型グロース株を信用で買い建てている多くの個人投資家は、非常に苦しい状況が続いているはずです。よって、個人の関与率の高い小型グロース株は避け、国内外の機関投資家の買いが見込める「東証プライム市場上場の大型株」の押し目を狙うようにしましょう。
日本株については、9月下旬以降、難易度の非常に高い相場が続いていますので、資金管理を厳格にして「生き残る」ことを最優先にしてください。生き残ることに成功すれば、その後の本格的な上昇局面で大儲けできる可能性が非常に高いと考えています。当面は「リスク回避、リスク回避、リスク回避」で相場に臨んでください。
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