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米国の経済指標が市場予想から極端に上振れしない限り、
米国10年債などの長期金利は落ち着いた動きを続ける見通し
日米株式市場は底堅く推移しています。米国の景気減速や労働需給の緩和を示す経済指標の発表が相次いでいることを根拠に、インフレへの警戒感が和らぎ、米国の長期金利がピークアウトして、高PERのハイテク・グロース株が買われていることが主な要因です。
まず、米国では、11月13日のNYダウが前週末比54.77ドル(0.16%)高の3万4337.87ドルでした。一方、ナスダック総合株価指数は反落し、同30.36ポイント(0.22%)安の1万3767.74ポイントだったものの、ここ最近の高値圏で推移しています。そして、米国10年債利回りは前週末比0.01%低い4.64%で取引を終えました。
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11月13日に債券の買い材料となったのは、NY連銀が同日に公表した10月の消費者調査で、1年先の期待インフレ率が3.6%と、9月の3.7%から低下したことです。。
なお、今週は11月14日に10月の米CPI、15日に10月の米PPIの発表も予定されています。市場の関心がより高いCPIに関しては、住居費やガソリン価格の上昇が一服したことを主因に、10月分は前年同月比3.3%上昇と、9月の3.7%上昇から伸びが鈍化すると見られています。
ただし、エネルギー・食品を除いたコア指数は4.1%上昇と、9月と同じ伸び率になる見通しであり、物価の伸びが顕著に鈍るとは市場は見ていません。このため、10月のCPIについては、多くの投資家がその数字を聞いて腰を抜かしてビックリするくらい市場予想から上振れしない限り、米国の長期金利は落ち着いた動きを続ける見通しです。
また、FRBがタカ派的なスタンスを崩していないため、今後もインフレ減速を示す指標の発表が相次いでも長期金利の低下余地は限定的と考えます。実際、11月9日、パウエルFRB議長はIMFのパネル討議で、インフレ率を目標の2%に戻すために金融政策が十分に景気抑制的な水準に達したかについては「確信に至っていない」「一段の金融引き締めが適切となるなら、躊躇せず実施する」などと述べています。つまり、インフレ率を目標の2%に戻せるとFRBが確信できるまでは「政策金利(短期金利)の高止まりが続く」ということです。これが長期金利を下支えすることでしょう。
ムーディーズが米国債の格付け見通しを引き下げたが、
短期的に市場が動揺することはあっても中長期的な影響は軽微
ところで、米国の大手格付け会社・ムーディーズは、米国債の格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ」に引き下げました。主たる理由は、金利の上昇に伴う米国政府の利払い負担の増加や、予算案を巡る議会の混乱です。長期発行体格付けおよびシニア無担保格付けは「Aaa」で維持したものの、今後、格下げが実施される可能性が高そうです。事実、米・連邦政府の財政運営に関しては、つなぎ予算が11月17日に切れ、与野党が合意に至らなければ政府閉鎖に陥る状況です。
ただし、米国債に関しては、ほぼ同様の理由から2023年8月1日、フィッチ・レーティングスが米国債の格付けを「AAA」から1段階引き下げて「AA+」にしています。3大格付け会社(ムーディーズ、S&Pグローバル・レーティングス、フィッチ・レーティングスの3社)による米国債の「AA+」の格付けは、2011年のS&Pグローバル・レーティングスに次いで2社目のことです。このため、ムーディーズが実際に格下げを実施したとしても、短期的に金融市場が動揺することはあっても、中長期的な影響は軽微と考えています。
よって、今後に関しては「市場予想を大幅に上回る好調な経済指標や、物価指標の発表」や「FRBによる米国経済のオーバーキル懸念が強まること」がない限り、米国の債券・株式市場は、少なくとも年末にかけて安定して推移することでしょう。特に、米国の長期金利が安定的に推移するようなら、高PERのハイテク・グロース株が買われ、株価指数を押し上げる見通しです。
そしてそれは、電機・ハイテク株指数の色彩が強い日経平均株価への強烈な追い風になることでしょう。
日経平均株価は依然としてリバウンドが継続中、
25日移動平均線を下回るなどするまでは「強気」を維持
日経平均株価に関しては、10月30日の3万538.29円を起点にした「リバウンド」が継続中です。11月14日の終値は前日比110.82円(0.34%)高の3万2695.93円と、5日移動平均線(14日時点で3万2532.42円)、25日移動平均線(同3万1784.01円)、75日移動平均線(同3万2149.50円)といった、短期・中期の重要なテクニカル上のサポートラインを上回っています。
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私は、この3本の移動平均線のなかで、特に25日移動平均線を重要視しています。このため、今後「日経平均株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向きに転じる」までは、「強気」を維持する方針です。
米国市場で「マグニフィセント・セブン」が買われているように、
日本市場でも東証プライム市場上場の「グロース系大型株」が狙い目
なお、米国に関しては、マグニフィセント・セブン(ビッグ・セブンと称される米国の主要テクノロジー企業7社)が際立って強く、株価指数の上昇を牽引しています。マグニフィセント・セブンは、GAFAM[アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOG)、アマゾン・ドットコム(AMZN)、メタ・プラットフォームズ(META)]と呼ばれる5銘柄に、エヌビディア(NVDA)とテスラ(TSLA)を加えた7銘柄です。現在の米国のグロース株市場では、これら超大型のテック企業だけが集中物色されているイメージです。
そして、この物色傾向は、日本でも発生している可能性が高いと見ています。つまり、日経平均株価やTOPIXが強く、年末ラリー(株価上昇)が発生したとしても、東証グロース市場250指数(旧東証マザーズ指数)や東証グロース市場指数の動きは鈍く、下手したら「逆相関」した動きになりかねないと危惧しています。このため、当面は東証プライム市場上場の大型株(特にグロース系大型株)を狙ってください。
特に避けたいのは、チャートが悪化(株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向きなど)している小型グロース株です。
12月に入ればIPOが続出します。IPO銘柄だけに短期資金が流入し、値動きの鈍い銘柄については、良好な値動きが見込めるIPO銘柄の購入資金の捻出のための売りが加速する見通しです。
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また、証券仲介業者の友人の話では「大型株メイン(証券口座の大部分)で運用している、大口の個人投資家の今年の含み益・実現益は潤沢。このため、12月に入ればサブ(証券口座のわずかな部分)でやっている小型株で損切り(節税売り)を出す可能性が高い」とのことです。
以上のことから、2023年の年末相場では、「小型グロース株を避け、大型株(特にグロース株)で餅代を稼ぐこと」を強くおすすめします。
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