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生成AIや自動運転などの普及による需要増加を背景に、
半導体の高性能化を加速する「先端パッケージング」に注目!
モノのインターネット(IoT)や自動運転(ADAS)、生成AI(人工知能)などの普及により、急激に情報処理の負荷が増加しており、より高機能で大型の半導体チップのニーズが高まっています。
従来、半導体の性能向上を牽引してきたのは、電子回路の「微細化」の技術ですが、すでに回路幅は数ナノメートル(100万分の1ミリ)まで微細化しており、半導体チップのさらなる小型化は技術的・コスト的に困難となりつつあります。これ以上は電子回路を微細化するのが難しくなってきたなか、今後の半導体の高性能化につながる技術として期待されているのが「先端パッケージング」です。。
「先端パッケージング」とは、異なる機能を持つ複数の半導体を1つの入れ物(パッケージ)に収め、1つの半導体であるかのように効率よく連動させる技術のことです。半導体製造において、従来はあまり競争領域とはされていなかった「後工程」に属する技術ですが、最近になって注目を集めています。フランスの調査会社ヨール・インテリジェンスによると、2028年の先端パッケージングの市場規模は724億ドル(約10兆9000億円)で、2022年の439億ドル(約6兆6000億円)の約1.6倍に成長すると予測されています。
経済産業省は「半導体・デジタル産業戦略」を改定し、
半導体関連の国内売上高を15兆円以上に引き上げる目標を設定!
半導体の高性能化は軍需産業にとっても必要不可欠ですが、米国と中国のチップ技術の覇権を巡る争いも「今後、いかにチップを効率的にパッケージ化するか」に移りつつあります。実際、バイデン政権は2023年10月、「CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)」にもとづき、30億ドル(約4430億円)規模の「国家先端パッケージング製造プログラム(NAPMP)」のビジョンを発表。先端パッケージングについて、米国内で競争力のある生産システムを構築することを目指しています。
日本政府も先端パッケージングを重要視しています。経済産業省は2023年6月、「半導体・デジタル産業戦略」を改定。AI向けに電力消費を抑えた半導体の開発支援や、海外企業の誘致を含め日本の半導体製造基盤の強化などを新たに盛り込み、2030年の半導体関連の国内売上高を、2020年比で3倍となる15兆円以上に引き上げることを目指しています。
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⇒「半導体材料」関連株は、政府が支援する“国策銘柄“! 「信越化学工業」「東京応化工業」「トケミカル研究所」など、「半導体材料」の世界トップシェア企業を解説!
こうした状況を背景に、2023年12月に韓国のサムスン電子が、2024年度に横浜市の「みなとみらい21地区」に次世代パッケージング技術研究拠点を開設する計画を発表しました。今後5年間で400億円を上回る投資を行って「3.xDチップレット技術」を開発するとしており、先端パッケージングに不可欠な装置や材料などに強い日本企業との協業を進める狙いがあるものと見られます。経済産業省は、このサムスン電子の事業に対して最大200億円を補助する予定です。
そこで今回は「先端パッケージング」関連銘柄に注目。関連事業を手掛ける企業のなかで、高いシェアを持つ企業を中心に選定しました。
【アオイ電子(6832)】
4年間で350億円を投資して生産受託工場を設置
アオイ電子(6832)は半導体の後工程事業者(OSAT)であり、パッケージングからテストまで請け負っています。2023年12月には、先端パッケージの量産化に向けて今後4年間で350億円を投資し、国内に後工程の生産受託工場を設置する計画を明らかにしました。また、半導体の前工程と後工程の中間に位置づけられる中工程(チップレット)にも注力しています。株価は、年初以降、調整が続いていましたが、25日移動平均線を下値支持線とした急伸により、1月22日には3050円まで上昇。2018年12月以来の水準を回復しており、一段の上昇が期待されます。
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【東京応化工業(4186)】
フォトレジストで世界トップクラスのシェアを有する
東京応化工業(4186)はフォトレジスト(感光性樹脂)の大手メーカーで、世界トップクラスのシェアを有しています。最先端のパッケージプロセスをはじめ、各種実装プロセスに最適なフォトレジストを開発・製品化しています。株価は上昇トレンドが続いており、直近で2023年9月につけた上場来最高値を更新しました。いったんは達成感が意識されやすいものの、上昇トレンドは継続していますので、押し目狙いのスタンスとなります。
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【SCREENホールディングス(7735)】
先端パッケージ専用の塗布乾燥装置を開発
SCREENホールディングス(7735)は、傘下のSCREENファインテックソリューションズが2023年12月、半導体の先端パッケージ専用の塗布乾燥装置「Lemotia(レモーティア)」を開発し、2024年4月から販売開始することを発表しました。株価は、足元で上昇の勢いが強まっており、連日で過去最高値を更新しています。短期的な過熱感は警戒されますが、週足のボリンジャーバンドでは上向きで推移する+1σと+2σの間を推移する上昇が続いており、押し目を狙いたいところです。
⇒SCREENホールディングス(7735)の最新の株価はこちら!
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【イビデン(4062)】
半導体パッケージ基板の生産性を従来比で10倍へ
イビデン(4062)は、半導体パッケージ基板の大手です。2023年10月にTSMC(台湾積体電路製造:TSM)が開催した「TSMC 2023 Japan OIP Ecosystem Forum」で、TSMCと3次元実装プロセスにおいて連携を強化するとともに、半導体パッケージ基板の生産性を従来比で10倍に高めるという目標を発表しました。株価は、2023年9月の高値9285円をピークに調整が続いていましたが、その後、52週移動平均線を下値支持線としたリバウンドを見せ、足元では13週・26週移動平均線を突破しました。2023年9月の高値9285円までの上昇が期待されます。
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【レゾナック・ホールディングス(4004)】
パッケージング工程で使用する接着フィルムの生産を1.6倍に増強
レゾナック・ホールディングス(4004)は2023年4月、半導体のパッケージング工程で使用する接着フィルム「ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム」の生産能力を増強すると発表。52億円を投じて生産能力を従来の約1.6倍に向上させる計画で、同製品の売上は中長期的に堅調な成長が見込まれています。株価は、上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いています。目先では2021年5月の高値3730円がターゲットで、これをクリアしてくるようだと2019年4月の高値4365円が意識されるでしょう。
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【メック(4971)】
コア技術である「密着向上技術」が高評価
メック(4971)は、電子基板向け製品を中心とした薬品会社です。コア技術である「密着向上技術」を用いた「メックエッチボンドCZシリーズ」は、世界中のパッケージ基板メーカーで採用されており、不良発生ゼロの実績も相まって高い信頼を得ています。株価は、上向きで推移する13週・26週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いています。1月4日には4525円まで買われ、2021年12月以来の最高値を更新しており、さらなる上昇が期待されます。
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以上、今回は「先端パッケージング」関連の銘柄を紹介しました。
なお、産業革新投資機構が100%出資するJICキャピタルが設立したJICC-04社は、2024年8月下旬をメドに、半導体パッケージ大手の新光電気工業(6967)に対する株式の公開買い付け(TOB)を開始する予定です。JICC-04社には、大日本印刷(7912)や三井化学(4183)が出資していますので、こちらも関連銘柄の一角として注目される可能性はありそうです。
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