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動画配信の普及による海外市場の拡大が主因となり、
日本アニメの市場は10年間で2倍以上に成長!
アニメーションは日本が世界に誇る文化の一つですが、2月18日に「アニメ界のアカデミー賞」と呼ばれるアニー賞の発表が米国のロサンゼルスで行われ、長編アニメ部門の絵コンテ賞とキャラクターアニメーション賞に宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が選ばれました。
また、2023年の国内映画の興行収入ランキングを見ると、1位の「THE FIRST SLAM DUNK」(158億7000万円)を筆頭に、上位10作品のうちの6作品をアニメ映画が占めました。ちなみに2022年は「ONE PIECE FILM RED」、2021年は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」、2020年は「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」と、いずれもアニメ映画が1位となっています。
日本動画協会が2023年12月に刊行した「アニメ産業レポート2023」によれば、国内外における日本のアニメ産業市場(エンドユーザーの支払総額)は、2022年に過去最高値を更新して2兆9277億円(前年比106.8%)に達しました。これは2012年の1兆3395億円と比べ、10年でおよそ2.2倍に成長したことになります。日本のアニメ産業はコロナ禍の低迷をくぐり抜け、海外市場やライブエンタテインメント、映画などの牽引によって成長を続けているとのことです。
日本のアニメ産業市場の規模が2010年代の序盤まで1兆3000億円程度で停滞するなか、ターニングポイントとなったのが動画配信の普及です。2012年に2208億円だった海外市場は、2022年には1兆4592億円と10年間で1兆円以上も拡大。円安の影響もありますが、米国のネットフリックスやアマゾン・プライムといった動画配信サービスの普及によって日本アニメをほぼリアルタイムで視聴できる環境が世界中に広がり、アニメや漫画のファン層が拡大したことが大きいと言われています。
経団連が、アニメを含む日本発コンテンツの海外市場規模を
2033年までに「20兆円」に引き上げる目標を打ち出す
また、日本アニメの人気化により、アニメの舞台となった場所を訪れる「聖地巡礼」が、日本人だけでなく外国人にも人気となっています。観光庁が実施した2022年の調査では、日本滞在中に「映画・アニメ縁の地を訪問」した訪日外国人の割合は5.3%だったそうです。聖地巡礼によって、今まで知られていなかった地域への観光客が増加し、その周辺の商店や観光地が栄えることで、ひとつのアニメがときには数十億円という経済効果をもたらすというデータもあるほどです。
すなわち、アニメは今の日本にとっては数少ない成長産業なのです。2023年3月に経団連が、2033年までにアニメを含む日本発コンテンツの海外市場規模を2021年比で4倍超となる20兆円に引き上げる目標を打ち出しました。それだけ、アニメが日本の主要産業として期待をかけられているのだと言えるでしょう。
そこで今回は、改めて「アニメ」関連銘柄に注目しました。具体的な銘柄としては、「アニメ」に関連する事業を展開する企業のなかから、株価やチャート形状などのテクニカル面を考慮して選定しています。
【※2023年版はこちら!】
⇒「アニメ」関連銘柄に注目! 映画「スラムダンク」や「ワンピース」の世界的大ヒットで売上アップが期待できる「東映」「KADOKAWA」など関連株を解説!
【IGポート(3791)】
「ハイキュー!!」「銀河英雄伝説」「攻殻機動隊」などに関わる
IGポート(3791)は、アニメ制作会社のプロダクション・アイジーやシグナル・エムディなどを傘下に持つコンテンツ・プロバイダーです。また、コミック誌などの出版事業や製作委員会などへの出資を行う版権事業なども手掛けています。グループ会社が手掛けた作品には「ハイキュー!!」「銀河英雄伝説」「PSYCHO-PASS サイコパス」「攻殻機動隊」などがあり、前述の「君たちはどう生きるか」でもプロダクション・アイジーが制作協力を行っています。株価は、上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いており、2005年につけた上場来高値1万1000円(分割考慮済)が長期的なターゲットになりそうです。
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【ソニーグループ(6758)】
子会社が「鬼滅の刃」「うる星やつら」などを手掛ける
ソニーグループ(6758)は、傘下のソニーミュージックグループの子会社であるアニプレックスが、日本と米国を中心に、アニメを主とした映像・音楽作品の企画製作、ゲームの企画・開発、パッケージ商品の発売や配信、劇場作品の製作・配給、フィギュアやグッズの企画・制作・販売などを展開しています。主な作品として「鬼滅の刃」「うる星やつら」「俺だけレベルアップな件」「マッシュル-MASHL」などを手掛けています。株価は、1月23日に1万4915円まで買われた後、高値圏で推移していましたが、足元で調整の動きを見せて13週移動平均線を下回ってきました。26週・52週移動平均線が下値支持線として意識されるなか、押し目狙いのスタンスとなります。
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【バンダイナムコホールディングス(7832)】
「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」がシリーズNo.1のヒット作に
バンダイナムコホールディングス(7832)は、グループ会社のバンダイナムコピクチャーズが、IP(知的財産)の企画、映像製作、プロデュースとその運用を展開。さらに、バンダイナムコフィルムワークスが、映像作品の企画・製作のほか、映像関連商品の企画・販売や映像関連サービスを提供しており、2024年の4月にはアニメ制作会社のSUNRISE BEYONDを吸収合併する予定です。なお、1月26日より公開された「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」は、公開から3週間で興行収入が31億2630万円、観客動員が186万人を突破し、ガンダムシリーズの劇場公開作品のなかでも最大のヒット作となっています。株価は、2月14日に発表した下方修正が嫌気されて急落する場面もありましたが、「悪材料出尽くし」といった見方もあり、ここからのリバウンドが期待されます。
⇒バンダイナムコホールディングス(7832)の最新の株価はこちら!
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【KADOKAWA(9468)】
「推しの子」「ソードアート・オンライン」など年間約40本を制作
KADOKAWA(9468)は、出版や映像、ゲーム、ウェブサービス、MD(商品化権)、IP(知的財産権)、体験施設の運営などを行う総合エンターテインメント企業です。アニメ作品としては「ソードアート・オンライン」「Re:ゼロから始める異世界生活」「無職転生」「盾の勇者の成り上がり」「推しの子」「この素晴らしい世界に祝福を!」など、年間約40本ものアニメ作品を制作しています。株価は、2月8日発表の下方修正が嫌気される場面も見られましたが、その後は順調なリバウンドを形成。13週移動平均線を下値支持線とした上昇によって52週移動平均線を上回ってきており、さらなるリバウンドを狙いたいところです。
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【フジ・メディア・ホールディングス(4676)】
中国のbilibiliと戦略的パートナーシップを構築
フジ・メディア・ホールディングス(4676)は、「ちいかわ」や「王様ランキング 勇気の宝箱」などの出資作品の好調により、2024年3月期・第3四半期におけるアニメ開発事業収入が前年同期比68%増となりました。2023年9月には、中国のbilibili(ビリビリ)と戦略的パートナーシップを構築していくことに合意。bilibiliは中国で若年層に人気の大手プラットフォーム「bilibili」を運営しており、そのDAU(1日あたりのアクティブユーザー)は9650万人。さらに、年間50作品のアニメーションを制作・配給をしているコンテンツ制作会社でもあります。フジ・メディア・ホールディングスの株価は上昇トレンドが続いており、足元で2018年10月以来の2000円を回復。2008年から続くボトム水準を上放れてくることで、2006年以来となる3000円の大台突破が意識されそうです。
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【日本テレビホールディングス(9404)】
2023年10月にスタジオジブリを子会社化!
日本テレビホールディングス(9404)は、2023年10月にアニメ制作会社のスタジオジブリを子会社化しました。日本テレビは、「君たちはどう生きるか」は協賛していないものの、これまでスタジオジブリの作品を放送し続けています。なお、2024年3月期・第3四半期におけるアニメ開発事業収入は前年同期比87%増。作品としては「葬送のフリーレン」と「薬屋のひとりごと」が好調のようです。株価は、下値支持線として機能していた13週移動平均線から大きく上放れ、足元で2016年2月以来の水準を回復。目先の目標として、2015年9月の高値2499円が射程に入ってきました。
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以上、今回は「アニメ」関連銘柄を発掘しました。
なお、経済産業省によると、アニメを含む世界のコンテンツ市場は、2020年の1兆ドルから2025年には1.3兆ドルに成長すると見込まれています。足元では、韓国など他のアジア各国の成長が目立つ一方で、日本の海外展開は後手に回っていると言われますが、アニメや音楽など日本には素晴らしいコンテンツを作るクリエーターと、その技術があります。
それらを後押しするため、文化庁は2024年3月をメドに、漫画やアニメ、音楽などの分野で海外展開を目指す若手クリエーターを育てる基金を独立行政法人「日本芸術文化振興会」に創設し、その費用として2023年度の補正予算に60億円を計上しました。こうした国の支援もあり、日本のアニメ産業の成長には大いに期待したいところです。
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