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ドローンやAIなどを活用した「スマート農業」を推進する
「スマート農業技術活用促進法案」が閣議決定!
最近の気候変動やロシアのウクライナ侵攻などから、今や食料安全保障は世界的に喫緊の課題となっています。しかし、日本は食料の多くを海外からの輸入に頼っており、食料自給率(カロリーベース)は2022年度で38%に過ぎません。
さらに、日本の農業は、農業従事者の高齢化が進み、深刻な労働力不足に陥っています。農林水産省は、自営で農業に携わる人が2023年の116万人から、今後20年間で30万人ほどにまで減少すると見込んでおり、従来の生産方式を前提とした農業生産では食料の安定供給を確保できないと予測しています。
このような課題を解決すべく、政府は2024年3月、ドローンや人工知能(AI)などを活用した「スマート農業」を推進する「スマート農業技術活用促進法案」を閣議決定しました。この法案では、スマート農業技術の活用や開発の計画を国が認定する制度を制定。それらの認定を受けた農業者や事業者は、日本政策金融公庫による長期低利融資や税制優遇などを受けられ、さらにドローンを飛ばす際などの行政手続きを簡素化できるようになります。
「スマート農業」は導入コストを大きく上回る
経済効果が期待され、若手人材の育成にも利用可能!
スマート農業を導入するメリットは、まず大幅な省力化が期待できる点です。例えば、農作物に関する情報をデータ化し、ネットワーク上で一元的に管理することで、現地に行かずに遠隔地からカメラを使って農作物の状態を確認することが可能となります。
また、スマート農業では、農作物に関する情報だけでなく、熟練者の技術やノウハウをデータ化して管理することも可能です。属人的な技術や知識を第三者にもわかる形でデータ化することで、技術の継承がスムーズに行え、経験値が低い人でも効率的に農作業を行うことができるようになるため、初心者であっても農業に取り組みやすく、若手人材の育成にも活用できます。
スマート農業のデメリットとしては、IoTセンサーなどの機器やAIが稼働するためのシステムなど、導入時のコストが大きいことが挙げられます。しかし、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が2023年12月に発表した「スマート農業実証プロジェクト」の実証実績報告では、「経営展開の方向性や、経営上の問題(ボトルネック)が明確となっており、それらに対してスマート技術で課題解決を図ろうとした経営では、スマート農機等の導入に関わる経費を考慮してもなお、それを上回る利益の増加を実現している」と報告されています。
食料問題や労働力の減少など、現在の日本の置かれた状況を考えると、今後、スマート農業が普及・拡大していく可能性は非常に高いと考えられます。そこで今回は「スマート農業」に関連する銘柄に注目しました。具体的には、主力の大型株を中心に、株価やチャート形状などのテクニカル面において上昇トレンドが続いている銘柄や、調整が一巡して今後の株価上昇が期待できる銘柄を選定しました。
【クボタ(6326)】
グーグルマップを利用した圃場管理が可能な営農支援システムを提供
クボタ(6326)は2023年6月、無人自動運転で米や麦の収穫作業ができるロボットコンバインを世界ではじめて開発。2024年1月には、米国のラスベガスで開催された「CES 2024」に開発中のAI電動トラクターのプロトタイプを出展しています。また、グーグルマップを利用した圃場管理や、作付計画のデジタル化などが行える営農支援システム「KSAS」を提供。「KSAS」で利用可能な他社製の営農関連サービスの拡大を進めています。株価は、4月12日につけた2565円をピークに調整が続いていますが、直近で下値支持線として意識される200日移動平均線を下回ってきましたが、売られ過ぎが意識されてくる可能性からリバウンド狙いのタイミングと言えそうです。
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【やまびこ(6250)】
誤差数センチの高精度な位置情報を活用する芝管理ロボットを開発
やまびこ(6250)は、小型屋外作業機器の大手です。2023年10月に開催された「第13回 農業WEEK スマート農業EXPO」では、誤差数センチという高精度な位置情報が得られるRTK機能を搭載し、24時間完全自動で稼働する芝管理ロボットなど、農作業の電動化や省人・省力化などの課題解決に向けた製品を出展しました。株価は、5月14日につけた2306円をピークに調整を見せていますが、25日移動平均線を挟んだ底堅さが意識されています。上向きで推移する13週移動平均線との乖離が縮小し、過熱感が後退しているので、再度の上昇に期待したいところです。
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【トプコン(7732)】
農機の自動化や可変施肥システムなどの農業DXを提供
トプコン(7732)は、農業や建築、測量、土木の分野で事業を展開。農業分野では、農機の自動化や生育センサーによる可変施肥システムなどの農業DXソリューションを提供しています。トプコンのシステムは世界規格のISOBUSに準拠した通信方式に対応しているため、ISOBUS対応の作業機であれば簡単に接続でき、運転席に座ったままでモニターから作業機をコントロールできます。株価は、5月13日に2029.5円まで買われた後は調整が続いていましたが、200日移動平均線を下値支持線としてリバウンドの動きを見せ、直近では75日移動平均線を捉えてきました。そこでいったん跳ね返されたとしても、200日移動平均線での押し目が狙えそうです。75日移動平均線を明確に上放れてくるようだと、調整が一巡したとの判断からさらなる上昇が期待できます。
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【東京計器(7721)】
GPSなどを活用し、トラクターの位置を±3センチの精度で計測
東京計器(7721)は、トラクターのステアリングを自動制御し、オペレータが手を触れなくても正確な直進走行が行える直進自動操舵補助装置を手掛けています。GPSからのデータとRTK基地局から送信された補正データをリアルタイムで解析することで誤差を縮小し、トラクターの位置を±3センチの精度で計測できます。株価は、5月13日にマドを空けて上昇し、14日には一時3315円まで買われました。その後は高値圏での日柄調整によってボリンジャーバンドの+1σ水準での推移を見せています。過熱感は後退したので、さらなる上昇が意識されやすいところでしょう。
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【ヤマハ発動機(7272)】
農業用ドローンや次世代型農業用無人ヘリコプターを手掛ける
ヤマハ発動機(7272)は、高いセキュリティ機能と自動飛行機能を装備した農業用ドローンや、自動飛行機能などの機能を追加した次世代型農業用無人ヘリコプター、樹列の中での枝の剪定・誘引、受粉、摘果、収穫などが行える果樹園作業支援自動走行車などを手掛けています。株価は利食いをこなしながら、上向きで推移する25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドを形成しており、押し目狙いのスタンスとなります。
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【イーサポートリンク(2493)】
生産者・農協向けソリューションで栽培計画から出荷管理まで一元管理
イーサポートリンク(2493)は、生鮮青果流通事業者向けにITソリューションを提供しています。また、生産者・農協向けソリューションでは、品目別の栽培計画から作業管理、収益管理、出荷管理までを一元管理し、効率的な生産管理を実現します。株価は、高値圏での推移が続いていましたが、株主優待および配当の権利落ちの影響もあって5月30日にはマドを空けて急落。一気に200日移動平均線を割り込みましたが、イレギュラーな値動きと考えられますので、押し目を狙いたいところです。
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以上、今回は「スマート農業」関連銘柄を発掘しました。
農業の担い手が減っている理由の一つに、農業が、天候に左右され、経験や勘が必要で、きつい作業だというイメージがありますが、今後、スマート農業が広まっていくことで、そうした農業のマイナスイメージからの脱却が期待できます。
農業分野では、効率化や人手不足問題の解決法として今後DXが進んでいく可能性は非常に高いので、「スマート農業」関連は長期的に追いかけていきたい投資テーマと言えるでしょう。
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