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NYダウは4万ドル突破の達成感から調整しているが、
ナスダック指数はエヌビディアの好決算の影響で過去最高値を更新!
5月23日のNYダウに「高値波乱の兆候(高値で値動きが大きくなる現象で、下落の前兆とも言われる)」が出たものの、「エヌビディア(NVDA)効果」もあって24日のナスダック総合株価指数が過去最高値を更新するなど、米国株は非常に強い動きを続けています。
一方、日本株に関しては、長期金利の上昇とマクロ環境の悪化、とりわけ民間最終消費支出の低迷を主因に上値が重い展開となっています。
まず、米国についてですが、5月23日のNYダウは前日比605.78ドル(1.53%)安の3万9065.26ドルと、1日の下げ幅としては2023年2月以来の大きさとなり、高値波乱の様相をていしました。この日は、S&Pグローバルが発表した5月の米・PMI(速報値)が市場予想を上回ったことと、新規失業保険申請件数が市場予想を下回ったことで「FRBが早期利下げに慎重になる」の見方が強まり、株式が売られました。
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しかし、翌5月24日のNYダウは3日ぶりに小幅に反発し、前日比4.33ドル(0.01%)高の3万9069.59ドルでとなりました。このため、下げが下げを呼ぶような悪循環には陥っていないと見ています。
ちなみに、NYダウの5月17日の終値は4万3.59ドルと終値で初めて4万ドルを超え、史上最高値を更新しました。この大台達成でやや達成感が出ていることが、足元でNYダウが調整している要因と考えています。
一方、5月24日のナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発し、前日比184.761ポイント(1.10%)高の1万6920.79ポイントと、21日につけた過去最高値を更新しました。これは、やはり「エヌビディア効果」が発揮されたためだと見ています。
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エヌビディアは5月22日に2024年2〜4月期の決算を発表しましたが、売上高が前年同期の3.6倍となり、5〜7月期の売上高見通しも市場予想を上回りました。さらに、1株を10株にする株式分割を実施することを発表。ジェンセン・ファンCEOは発表文で「次の産業革命ははじまっている。企業や国はエヌビディアと提携し、1兆ドル規模の従来のデータセンターをアクセラレーテッドコンピューティングに移行することで、新しい形のデータセンター(AIファクトリー)を構築して、新しい商品であるAIを生産している」と述べました。市場予想を大幅に上回る決算とジェンセン・ファンCEOの強気コメントを受け、エヌビディアの株価は、24日には一時1064.75ドルまで上昇しました。これが他のハイテク株に好影響を及ぼしたと見るのが妥当でしょう。
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5月31日発表の米・PCEが予想から大きく上振れると、
インフレ懸念から「債権安・株安」が発生する可能性も!
今週の米国は、週末の5月31日に、4月の個人消費支出(PCE)物価指数の公表が予定されています。市場予想では、4月の食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数が前月比0.2%上昇すると見込まれています。この米・PCEが予想から大幅に上振れるとインフレ加速が危惧されて、債券安・株安が発生するかもしれません。
しかしながら、5月22日にFRBは、4月30日〜5月1日に開いたFOMCの議事要旨を公表しています。それによれば、FOMCの参加者は米国の根強いインフレ圧力に対して警戒感を強めており、現在の政策金利を長く維持する可能性を示唆していました。つまり、現時点において、市場は「FRBが早期利下げに慎重であること」を“織り込み済み”です。よって、想定を超えて目を疑うような上振れとならない限り、「ショック安的な株安・債券安」は起きないと見ています。
「長期金利の上昇」と「民間最終消費支出の低迷」により
日本株の上値は重いが、「大きく崩れるリスク」は小さい!
一方、日本株に関しては、国内の長期金利が上昇し、日本株の上値を圧迫しています。5月27日の東京債券市場では、長期金利の代表的な指標となる新発10年もの国債の流通利回りが、前週末終値比0.020%高い1.025%で取引を終えました。これは2012年4月以来、約12年ぶりの高水準です。
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長期金利上昇の主因は、日銀が追加利上げや国債買い入れの減額といった金融政策の正常化を早めるとの思惑が強まっていることです。例えば、日本銀行金融研究所が主催した2024年国際コンファランスの「開会挨拶」の邦訳で、植田和男日銀総裁は「これまでのところ、インフレ予想をゼロ%から押し上げることには成功したように思いますが、それを今回は2%の目標値にアンカーしなければなりません」と述べています。
また、日本のマクロ経済環境がよろしくないことも、日本株の上値を買いにくい理由です。内閣府が5月16日発表した1〜3月期のGDP速報値は、実質の季節調整値が前期比0.5%減、年率換算で2.0%減と、2四半期ぶりのマイナス成長でした。とりわけ、GDPの半分以上を占める民間最終消費支出は前期比0.7%減(2023年10~12月期は0.4%減)で4四半期連続のマイナスでした。ちなみに、4四半期連続での減少はリーマン・ショックに見舞われた2009年1〜3月期以来、15年ぶりのことです。
民間最終消費支出が低迷している背景は、企業の賃上げで名目賃金にあたる現金給与総額は増えたものの、ウクライナ危機後の物価上昇の勢いには追いつかず、実質賃金が目減りしているからです。2023年度の毎月勤労統計調査によると、実質賃金は前年度比2.2%減でした。この低下幅は、消費税増税の影響で物価が上昇した2014年度の2.9%減以来、9年ぶりの大きさでした。そして、実質賃金のマイナスは2年連続です。
「長期金利の上昇」と「民間最終消費支出の低迷」を主な理由として、積極的に日本株の上値を追いにくい状況と認識しています。
一方で、米国経済は好調、つまり、外部環境は良好です。このため、米国発の世界同時株安が起こる可能性は非常に低いと見ています。テクニカル的にも、5月27日現在、「日経平均株価は25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向き」です。このため日経平均株価は、「上値は重そう」ですが「大きく崩れるリスクは小さい」と考えられます。
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よって、内外の機関投資家の買いが見込める大型株のうち、「生成AI・半導体」「核融合発電」「ペロブスカイト太陽電池」「宇宙開発」などといったテーマ性のある好業績銘柄をコツコツ拾っていくことをおすすめします。
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グロース市場では「信用買い残が積み上がり、かつチャートが悪化」
している銘柄の売買を避け、落ち着いて底打ちのタイミングを待とう!
それにしても、東証グロース市場250指数(旧東証マザーズ指数)は回復する気配が見えません。5月24日までは4日続落して連日で年初来安値を更新し、24日の終値は608.14ポイントと2020年4月以来4年1カ月ぶりの安値でした。5月27日には5営業日ぶりに反発し、終値は前週末比5.40ポイント(0.89%)高の613.54ポイントとなったものの、一時は5月24日につけた年初来安値605.81ポイントを下回っていました。翌28日は続伸ましたが、終値で前日比5.52ポイント(0.90%)高の619.06ポイントとわずかな上昇にとどまっています。
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東証グロース市場については、短期売買を好む個人投資家の関与率が非常に高い市場です。プライム市場に上場している日本を代表する大型優良株を好んで買う個人投資家とは違い、信用取引を積極的に活用して、短期売買を好むアクティブな個人投資家がグロース銘柄を売買しています。東証グロース市場250指数の不調から、このアクティブ個人の手の内の悪化やマインドの落ち込みが危惧されます。
よって、グロース銘柄については「信用買い残が積み上がり、かつチャートが悪化」しているものには決して近づかないようにしてください。その一方で、グロース市場の底打ちのタイミングを虎視眈々と狙うことも忘れないでください。なぜならば「下がり続ける相場はない」と考えるからです。そして現在の下げ相場が終わったときこそ、大きな利益を上げるチャンスとなるでしょう。
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