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ソフトバンクグループが米国の医療系スタートアップと手を組み、
AIによる遺伝子検査や治療法の提案を行う新会社を設立
ソフトバンクグループ(9984)は6月27日、AIを活用した個別化医療を提供する米国のスタートアップTempus AI(テンパスAI)と合弁会社SB TEMPUS(エスビーテンパス)を設立することを発表しました。
Tempus AIは、米国で(1)遺伝子検査、(2)電子カルテや病理データ、画像データなどの医療データの収集・AI解析、(3)AIによる治療法の選択肢の提案、の3つのサービスを病院や医師に提供する事業を展開。SB TEMPUSは、このTempus AIのサービスを日本国内で提供してすることを目指しています。具体的には、年内にも全国の病院から医療データの収集をはじめ、匿名化したうえでAIを使って解析。構築した―データをもとに、今後数年以内に、AIが一人ひとりに最適な治療法を提案するサービスを開始する計画です
またNTT(9432)は、あらゆる臨床データや検査データなどの医療・ヘルスケアデータを統合的に収集・分析し、個人にパーソナライズされた「プレシジョンメディシン(精密医療)」を実現する事業会社NTTプレシジョンメディシンを2024年7月1日に発足しました。医師が入力したテキストデータや画像、映像、音声といった、さまざまな医療データをAIで構造化し、データとして活用できるよう支援するサービスなどの提供を予定しているそうです。
米・アルファベットは、インドのマハラシュトラ州政府と
AIを医療や教育、農業などに活用するための基本合意を締結
近年、医療とAIの融合が世界中で進められています。例えば2023年に世界一の人口大国となったインドは、社会全体の効率化を目指してデジタル化を行う「デジタル・インディア」というプロジェクトを、国をあげて推進しています。
米国のIT(情報技術)企業も、規制やハイテク摩擦の影響を受ける中国に代わる成長市場として、インドへの投資を加速。グーグルを運営するアルファベット(GOOG)は「デジタル・インディア」を支援するためにAIを医療や教育、農業などに活用していく考えを示しており、2024年2月にはインドのマハラシュトラ州政府と医療分野などの問題に関してAIを活用するための基本合意をしています。
インドでは、「アユシュマン・バラット(長寿化インド)計画」の一環で2018年に導入された「国家国民医療制度(PM-JAY)」により、貧困層にも医療保険が適用されるようになりました。しかし、農村部を中心に医師不足は深刻な問題となっており、総人口の約70%を占める農村部に暮らす人たちは、依然として満足な診療が受けられない状況にあります。今後、AIを活用した医療が進むことで、こうした課題の改善も期待されます。
こうした状況を踏まえ、今回は「医療AI」に関連する銘柄に注目しました。銘柄としては大型株を中心に、株価やチャート形状などのテクニカル面も考慮して選定しています。
【ソフトバンクグループ(9984)】
世界で「内視鏡AI」を展開するAIメディカルサービスに出資
ソフトバンクグループ(9984)は、前述したように、米国のTempus AIとともに合弁会社TEMPUSを設立することを6月に発表しました。さらに2022年4月には、内視鏡の画像診断支援AIを開発するAIメディカルサービスに出資。AIメディカルサービスは内視鏡AIを全世界に展開し、将来的には内視鏡AIクラウドプラットフォームを構築していく計画です。株価は、上向きで推移する25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが継続。7月4日には2000年2月の高値1万1000円(分割調整済)を突破して上場来高値を更新したことで、さらなる上昇が期待できますが、過熱感も警戒されやすいため押し目狙いのスタンスで。
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【富士フイルムホールディングス(4901)】
2018年からAI技術ブランド「REiLI(レイリ)」を展開
富士フイルムホールディングス(4901)は、2018年に画像処理技術とAIを組み合わせて、よりよい医療の実現を目指すAI技術ブランド「REiLI(レイリ)」の展開を開始しました。2019年には、CT画像からの臓器自動抽出などの画像診断を支援する読影ビューワを開発。さらに、2020年には大腸ポリープの検出・鑑別を支援する技術や胸部CT画像から肺結節の候補を自動検出する技術、2021年にはMRIノイズ除去技術やMRIワークフロー向上技術などを開発しています。株価は、上向きで推移する25日移動平均線や13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いているので、押し目狙いのスタンスで。
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【富士通(6702)】
肺がんのタイプ分けや乳がん患者の生存予測をAIが支援
富士通(6702)は5月9日、テイストや画像、数値などの異なる形式のデータを体系的に統合・学習することで、医療分野の課題を高い精度で判定・推定するAI技術を開発したことを発表。実効性を確認するため、肺がんのタイプ分けや乳がん患者の生存予測の判定などで検証したとのことです。株価は、足元の上昇で3月の高値2608.5円(分割調整済)を突破しており、高値更新からの一段の株価上昇が期待されます。
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【日立製作所(6501)】
ヘルスケアデータ解析プラットフォーム「B3 Analytics」を提供
日立製作所(6501)は、医学的な説明能力を持つディープラーニング技術「B3(Black Box Breaker)」を活用し、医薬品の効果に影響を与える重要因子(バイオマーカー)を探索するヘルスケアデータ解析プラットフォーム「B3 Analytics」を提供しています。AIが導き出した答えについて説明ができるうえ、複数因子を組み合わせたバイオマーカーの探索が可能で高い予測性能が期待できます。株価は、上向きで推移する25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが継続。過熱感が警戒されることから押し目狙いのスタンスで臨みましょう。
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【オリンパス(7733)】
AIを搭載した内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN-X」を発売
オリンパス(7733)は、狭帯域光観察モードで撮影された大腸の内視鏡画像をAIで解析し、検査中に医師の診断をサポートする内視鏡画像診断支援ソフト「EndoBRAIN-X(エンドブレインエックス)」を2024年2月に発売。大腸病変に対して腫瘍かどうかの診断支援を行うソフトで、オリンパス製の大腸汎用スコープに対応しています。また4月には、ライフサイエンス領域での画像解析に強みを持つエルピクセルと、腹腔鏡下胆嚢摘出術時に切除部位のランドマーク(目印)をモニターに表示するシステムの開発に関し、共同事業契約を締結しています。株価は6月13日に2713円まで買われた後、25日移動平均線を挟んだ値動きが続いており、2500円近辺が押し目買いのチャンスになりそうです。
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【テクマトリックス(3762)】
キヤノンやエムスリーと医療AI推進のための業務提携を実施
テクマトリックス(3762)は子会社のPSPが4月、画像診断における読影品質のさらなる向上と効率化を目指し、キヤノン(7751)傘下のキヤノンメディカルシステムズやエムスリー(2413)傘下のエムスリーAIと、医療AIを活用したヘルスケアIT事業の協業について業務提携を実施しました。株価は、上向きで推移する25日移動平均線に沿った上昇トレンドが続いており、2月の高値2089円が射程に入ってきました。これをクリアすると、次のターゲットとして2022年4月の戻り高値2208円が意識されそうです。
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以上、今回は「医療AI」関連銘柄を発掘しました。
今後、技術革新や医療機器への統合、個別化医療の推進、遠隔医療の拡大、医療データの活用など「医療AI」の可能性はさらに拡大することが見込まれます。米国の調査会社フォーチュン・ビジネス・インサイトも、世界の「医療用AI」の市場規模は、2023年の169億米ドル(約2兆5400億円)から2028年には314億米ドル(約4兆7200億円)に達すると予測しています。
「医療AI」は、今後とも目が離せない要注目の投資テーマだと言えるでしょう。
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