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米・イランの戦闘激化で原油先物価格が上昇!
インフレ懸念から長期金利が上昇し、米国株の重しに
今週も、まず米国市場の動向から見ていきましょう。8月31日のNYダウは続落し、終値で前週末比374.09ドル(0.69%)安の5万3185.90ドルでした。一方、ナスダック総合株価指数も続落し、同31.53ポイント(0.12%)安の2万6370.89ポイントで終えました。
NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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米国株の下落は、中東情勢の不透明感を背景にした原油先物の上昇により、米国の長期金利が上昇したことが嫌気された結果です。
米軍は8月30日、ホルムズ海峡にあるイランのララク島のロケット発射装置2基を破壊しました。これに対する報復として、イランの革命防衛隊は同日、ヨルダンの米軍基地を狙って攻撃を行いました。
この戦闘激化を受け、8月31日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物の期近10月物は、前週末比2.36ドル(2.8%)高の1バレル=85.76ドルに上昇。これにより米国のインフレ懸念が強まり、債券は売りが優勢となりました。その結果、米国10年債利回りは一時4.76%と、2025年1月中旬以来の高水準となりました。
原油(WTI原油先物)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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米国10年債利回りチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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米国の利上げ観測が強まったことで日本の長期金利も上昇し、
日本10年債利回りは一時3%の大台を突破!
一方、8月31日の日経平均株価は反落し、前週末比93.63円(0.14%)安の6万6311.93円で終えました。一時は同1573.46円安の6万4832.10円まで下落しましたが、大引けにかけて下げ幅を大幅に縮めました。
日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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8月31日は、米国の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」におけるウォーシュFRB議長の発言をきっかけにした米国の利上げ観測で、日本国内の長期金利も上昇したことが、日本株の売り材料となりました。ちなみに、8月31日の国内債券市場では、長期金利の指標となる新発の日本10年債利回りは一時2.950%と、1996年9月以来およそ30年ぶりの高水準をつけました。
日本10年債利回りチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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翌9月1日の日経平均株価は、前日の米国株の下落や日米の長期金利の上昇が嫌気された結果、終値で前日比96.59円(0.15%)安の6万6215.34円でした。また、1日午前の新発10年物国債の利回りは一時3.001%と、心理的節目の3%を突破しました。
いずれにせよ、9月の日米株式市場は「金融政策の行方+長期金利の動向」で、上下に振れやすい月になりそうです。
長期金利の動向は、日米ともに株価指標で割高なAI・半導体関連などハイテク株の株価動向に大きな影響を与えます。その結果、電機・ハイテク株の影響を受けやすい日経平均株価が大きく動くことになります。
ただし「日本市場を広くカバーする時価総額加重指数」のTOPIXは、日経平均株価ほどボラティリティが高まることはないと見ています。9月末の配当権利取りの買いが幅広い銘柄に入る見込みのため、ボラティリティの上昇は限定されると考えています。
FRBのウォーシュ議長は講演で、雇用への懸念よりも
根強いインフレの抑制を優先する姿勢を示す
8月27~29日に、主要中央銀行のトップらが集う経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が米国のワイオミング州で開催されました。そして28日、FRBのウォーシュ議長が「ジャクソンホール会議」で講演を行いました。
そこで「現在最も重視すべきなのは物価だ」「FRBのPCEインフレ率2%目標は揺るぎないものであり、物価安定を実現することがFRBの責務だ」「今夏のインフレ指標は予想より良好だったが、基調的なトレンドが大きく変化したことを示しているとは言えない」「(基調インフレ率が目標に向かっていると確信できなければ)まだやるべきことがある」などと発言。雇用への懸念よりも、根強いインフレの抑制を優先する姿勢を示し、9月15~16日に開催されるFOMCでの利上げの可能性を明確に残しました。この結果、「CMEのFedWatchツール」では、9月利上げの確率が61.9%(8月31日時点)となっています。
今後に関しては、9月4日発表の8月の米・雇用統計と、9月11日発表のCPI(消費者物価指数)が重要イベントです。
8月の米・雇用統計に関する市場コンセンサスは、非農業部門雇用者数が5万5000人増、失業率が4.1%です。一方、CPIのコンセンサスは、コア指数が前月比プラス0.2%前後です。なお、8月はガソリン価格の反発で総合指数の前月比が拡大しやすいため、エネルギー価格を含まないコア指数がより意識されます。FRB議長は雇用よりも物価を重視しているので、8月のCPIが利上げの最終判断を左右する最大の材料となるのでしょう。
9月または10月の日銀金融政策決定会合で、
1.25%への政策金利の引き上げが決定される見通し
日本の金融政策に関して、米国のベッセント財務長官は8月30日、ロイター通信のインタビューで、日銀が円安対策として連続的な利上げを検討すべきかどうかを問われた際、植田和男総裁が高市早苗首相の支持を背景に「適切な対応」を取ると期待していると話しました。
7月末に、約28年ぶりの日米円買い協調介入を実施したことを踏まえると、今回のベッセント発言は米国からの日本への利上げ圧力と見てよいでしょう。このため、日銀が9月17〜18日に開く金融政策決定会合で、1.25%への政策金利の引き上げを決めるとの観測が強まっています。
なお、7月の日銀金融政策決定会合の「主な意見」では、物価の上振れリスクを警戒し、利上げペースの加速を前向きに捉える政策委員の発言が目立ちました。つまり、日銀内で金融政策がインフレに対して後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」への警戒感が強まっているように感じます。実際、日銀の氷見野良三副総裁は8月27日、「これまで以上に物価の上振れリスクを意識する必要がある」と述べ、利上げ姿勢を維持しました。
よって、仮に9月の日銀金融政策決定会合で金利が据え置かれたとしても、遅くとも次の展望レポート(経済・物価情勢の展望)が発表される10月の会合で、政策金利の引き上げが決まる見通しです。
このような状況を受け、国内の長期金利は上昇基調です。日銀が8月26日に発表した7月の企業向けサービス価格指数は、前年同月比で3.6%上昇し、伸び率は6月の3.4%から拡大しました。中東情勢の緊迫化の影響を受けた燃油高や原油の代替調達に伴うコスト上昇分を転嫁する動きが、伸び率を拡大させました。
企業向けサービス価格指数は、企業間のモノの取引の価格動向を示す企業物価指数とともに、今後のCPIに影響を与えます。つまり、企業向けサービス価格指数の上昇が続けばCPIの上昇確率が高まり、結果としてインフレ(物価上昇)が加速する可能性が高まりました。これが、ここ最近、長期金利が上昇している主な要因です。
長期金利の上昇の悪影響が大きい銘柄を避けることを
最優先にして、不安定な9月相場を上手に乗り切ろう!
以上のような投資環境を考慮すると、米国については「季節的な9月安」と「11月中間選挙前の不透明感」が重なっていることもあり、「上昇」よりも「下落」を警戒しておくべきと考えます。
一方、日本については、月末の権利取りで高配当銘柄に資金が向きやすいため、9月後半まで内需系バリュー株優位の状況が見込めそうです。逆に、米国株の影響を受けやすい外需株、とりわけ株価指標で割高なAI・半導体関連株は、米国株の動向次第では大きな影響を受ける可能性がありそうです。
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なお、日経平均株価については、テクニカル的に25日移動平均ベースのボリンジャーバンドの−1σ(9月1日時点で6万3795.91円)~+1σ(同6万7558.24円)の間で推移すると見ています。
当面の投資戦略としては、AI・半導体関連株は避け、高配当銘柄を狙う戦略は不変です。また、イランを巡る緊張が続く間は、石油関連株を中心にした資源株も投資妙味があると考えます。そして、エルニーニョ現象が少なくとも秋まで続く見込みのため、海運株にも引き続き期待しています。
とにかく、長期金利の上昇の悪影響が大きい銘柄を避けることを最優先にして、9月相場を上手に乗り切ってください。その一方で、長期金利の動向を常に監視して、金利上昇が一服したタイミングで、それまで売り込まれていた銘柄の絶好の押し目買いのタイミングを虎視眈々と狙うこともおすすめしておきます。
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