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週明けの米国市場は、AIの開発ペースの鈍化懸念と
米・長期金利の上昇からNYダウ、ナスダックともに下落
今週も米国市場の動向から見ていきましょう。週明け9月14日のNYダウは反落し、終値で前週末比152.09ドル(0.29%)安の5万2421.20ドルでした。また、ナスダック総合株価指数も反落し、終値で同146.62ポイント(0.56%)安の2万6186.41ポイント。そして、SOX指数は同692.72ポイント(5.86%)安の1万1131.28ポイントでした。
NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます拡大画像表示
9月14日は、AIの開発ペースが鈍化するとの警戒感からAI・半導体関連株が売られました。また、原油高を背景とした「米国の長期金利の上昇」が悪材料となりました。
アンソロピックのアモデイCEOとオープンAIのアルトマンCEO、
イーロン・マスク氏がそろって「急速なAIの進化」への懸念を表明
実は7月以降、AIが「暴走」し、意図せず他社をサイバー攻撃してしまう事案が複数発覚しています。このような状況を受け、アンソロピックのダリオ・アモデイCEOは9月12日、AIの能力が急速に向上することで人間へのリスクが深刻化する恐れがあるため、「AIモデルの能力向上のペースを減速させなければならない」と主張した文章を公開しました。
この主張に対し、オープンAIのサム・アルトマンCEOもXで「最先端AIの進歩のペースを調整する必要がある」と賛同。さらに、イーロン・マスク氏もXに「ダリオは正しい」と投稿しました。
彼らの意見は、AIの安全性を高める一方、AIの能力向上に向けた開発ペースを阻害しかねないものです。よって、彼らの主張が実現する可能性が少しでもあることは関連銘柄へのネガティブ材料なのです。
こうした意見に対し、トランプ大統領は9月14日、「米国にはすでにAI企業を規制し、法的責任を追及するための枠組みが整っている」「AIやデータセンターに反対する病的な陰謀が進行しており、それを喜んでいるのは中国だけだ」などと主張しました。
AIを巡っては、米国と中国との激しい覇権争いが続き、開発競争が加速している状況です。米国だけがAIの開発を減速したら、AIの開発競争で中国に遅れを取ってしまう可能性があります。そのため、国家安全保障の観点から、アモデイ氏らの主張は実現しないと見ています。
WTI原油先物は一時4カ月ぶりの高値をつけ、
米国10年債利回りは2007年以来、約20年ぶりの高水準に!
米国では、原油価格の上昇を主な要因としてインフレ懸念が再燃していることから、長期金利が上昇基調を辿っています。
9月14日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物で期近の10月物は、中東からの原油供給が細るとの懸念が強まったことで、一時104.95ドルと5月中旬以来、約4カ月ぶりの高値をつけました。
原油(WTI原油先物)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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この原油先物の上昇を受け、9月15日の米国10年債利回りは、一時は5.02%と2007年以来、約20年ぶりの高水準をつけました。
米国10年債利回りチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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そして、原油先物価格の上昇によるインフレ懸念を背景に、FRBによる金融引き締め懸念が強まっています。これが米国株、とりわけ、株価指標で割高なAI・半導体を中心としたハイテク株の上値圧迫要因となっています。
ちなみに、9月10日に発表された米国の8月のPPI(卸売物価指数)は、前年比5.4%上昇と、7月の4.8%から伸びが加速。物価の「瞬間風速」を示す前月比では0.4%上昇と、7月の0.1%から加速しました。
さらに、翌9月11日に発表された米国の8月のCPI(消費者物価指数)は、前年比3.4%上昇と、7月から横ばいでした。ただし、2カ月連続で下落していたガソリン価格が上昇したことで、前月比では0.4%上昇し、7月の0.1%から加速しました。また、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアCPIは、前年比は2.4%上昇と7月の2.5%から鈍化したものの、前月比では0.3%上昇と7月の0.2%から加速しました。
これらの結果を受け、FRBが9月15〜16日に開くFOMC(連邦公開市場委員会)で0.25%ポイントの利上げを決定することはほぼ確実視されており、さらに10月または12月に追加利上げに踏み切る可能性が意識されはじめています。
11月3日の米・中間選挙を通過すれば、中東情勢の
緊張状態は緩み、原油価格はピークアウトする見通し
言うまでもありませんが、米国の物価上昇の再加速は、原油価格の上昇が主因です。ここ最近の原油価格の上昇は、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が、紅海沿岸全域を掌握したことによって引き起こされています。
フーシ派は、封鎖状態のホルムズ海峡に代わる原油輸送路であるバベルマンデブ海峡周辺を掌握しました。バベルマンデブ海峡は紅海とアデン湾を結び、サウジアラビア産原油の輸送ルートです。フーシ派は、ミサイルやドローンでサウジアラビアの石油インフラに攻撃を続けています。このフーシ派との戦闘激化により紅海ルートも被害を受け、サウジアラビアの8月の原油輸出は前月比で30%余り減少、日量約300万バレルとほぼ9年半ぶりの低水準に落ち込みました。
こうした状況を踏まえて、トランプ大統領は9月9日、イランとの戦闘が、少なくとも11月3日に行われる米国の中間選挙まで続くとの認識を示しました。イランは米国と交戦を続けることで、トランプ大統領の支持率を落とし、選挙結果に影響を与えようとしていると、トランプ大統領は指摘しています。
一方、イランは、フーシ派にサウジアラビアへの攻撃を強めるように求め、資金と武器の提供を約束していると見られています。こうなると、11月の米・中間選挙まで中東情勢の緊迫化が続くと予想され、原油価格の低下は期待できそうにありません。
なお、今回の米・中間選挙では、物価高が争点になっています。物価高がトランプ大統領の低支持率の主因だからです。このため、米・中間選挙の終了後は、イランが高いコストを払ってまで米国との戦闘を続けるインセンティブは低下するでしょう。
よって、中東の緊張は近い将来、緩む見通しです。そして緊張が緩めば、原油価格はピークアウトすることでしょう。
ミューチュアルファンドの「タックスロス・セリング」により、
毎年10月は年初来で下落している銘柄が売られやすい傾向に!
なお、10月は例年、ミューチュアルファンド(米国で最も普及している投資信託の形態)の「タックスロス・セリング」という需給イベントが発生します。
米国の多くのミューチュアルファンドは、年末のキャピタルゲイン分配額の算定期間が、原則として10月31日までになっているからです。ミューチュアルファンドは、株主にキャピタルゲインを分配する前に、含み損のある銘柄を売却して損失を確定し、分配額(投資家が課税される金額)を減らそうとします。そのため、年初来で下落している銘柄は、10月なるとミューチュアルファンドから機械的に売られやすくなります。この機械的な損出しの売りは、毎年10月の米国市場の需給を一時的に悪化させがちです。
また、AI開発企業のアンソロピックのIPO(新規上場)は、11月の米・中間選挙前に完了すると見込まれています。IPOの評価額は約2兆ドル前後、調達額は最大約1000億ドル規模と観測されており、「過去最大級IPO」になるというのが市場の見方です。
ただし、現時点で、IPOの公開目論見書は出ていません。このため、IPOの時期と規模は市場環境次第となります。
そうは言っても、今後、アンソロピック株の購入資金捻出のため、AI関連銘柄を中心とした換金売りが出る見通しです。これも9月下旬から10月にかけて米国市場の需給を一時的に悪化させることになりそうです。
日経平均株価は、25日移動平均線を突破するまで
中・長期の下落トレンドが発生中で、大幅に下落する可能性も
一方、日本市場ですが、9月15日の日経平均株価は、終値で前日比8.89円(0.01%)安の6万3484.10円でした。テクニカル的には、25日移動平均線(15日時点で6万5925.24円)、75日移動平均線(同6万6760.30円)をともに下回っています。そのため、中期・長期の下落トレンドが発生中と認識しています。
日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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現状は、75日移動平均線が強力な抵抗(レジスタンス)として意識されているようです。少なくとも、25日移動平均線を下回って推移する限り、日経平均株価の調整は続くと見ておく必要があります。
当面の想定レンジは25日移動平均線ベースのボリンジャーバンドの−2σ(9月15日時点6万2927.44円)~25日移動平均線です。ただし、25日移動平均線を下回っている間は、−2σを割り込んで−3σを試す展開に発展する可能性を常に意識しておくことは忘れないでください。
当面は、株価指標で割高なAI・半導体関連株は避け、
「9月決算の高配当株」や「金融株」「ドローン関連株」などに注目
物色面では、当面、株価指標で割高なAI・半導体関連株は避けるべきと考えます。一方で、9月中間期末を控えているため、高配当利回りの内需系バリュー株を選好することをおすすめします。
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なお、日銀が9月17〜18日に開く金融政策決定会合では、0.25%の利上げが決まる見通しです。そして市場では、今後の利上げのペースの加速や利上げ幅の拡大への思惑も浮上しています。このため、金利上昇がメリットになる銀行を中心にした金融株が最も魅力的な投資対象となり得ると考えています。
そのほか、現在は「ドローン」「自動運転」「次世代原子力発電」などに対する市場の関心が高い状況です。これらのテーマに合致した銘柄群も、魅力的な投資対象です。
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日経平均株価などの株価指数は調整中ですが、AI・半導体関連株を除けば、日本株全体の地合いはそれほど悪くないと感じています。「押し目買い」を基本に、積極的な市場参加をおすすめします。
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