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足元の日本の景気鈍化が鮮明です。2月17日に発表された2019年10~12月期の実質GDP速報値は、年率換算で6.3%減と、前回の消費税率引き上げ直後の2014年4~6月期の同7.4%減以来の大きさに達しました。
深刻なのはGDPの半分以上を占める個人消費の落ち込みです。昨年10月の増税前の駆け込み需要の反動に加え、10月の台風19号やその後の暖冬などの天候要因の悪影響で、個人消費は前期比2.9%減り、5四半期ぶりのマイナスとなりました。
新型コロナウイルスの感染拡大が、
本格的に日本の景気・経済の縮小要因に!
そして、年明けの1~3月期以降も、中国で発生した新型コロナウイルス感染拡大が大きく経済の足を引っ張ることが懸念されてきています。日本でも感染者が徐々に増えてきています。一部報道によれば、国内で確認された感染者数は、2月17日午後9時時点で520人(うち、横浜に停泊中の大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で454人)とのことです。
また、インバウンド(訪日外国人客)も大幅に減少していることでしょう。特に今年は、中国政府が新型肺炎の拡大を理由に国内外の団体旅行を禁止したため、訪日中国人観光客が急減しています。このため、1~3月期の実質GDPもマイナス成長となる可能性が高まっています。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大が、各地で予定されているスポーツ大会や様々なイベントに影を落としています。例えば、2月23日の天皇誕生日に皇居・宮殿で行われる一般参賀について、宮内庁は2月17日、新型肺炎の感染拡大防止のため中止すると発表しました。また、3月1日開催の東京マラソンも、主催する財団が約3.8万人の一般ランナーの参加を取りやめました。そして、SMBC日興証券、みずほ証券、野村証券や大和証券などが、開催を予定していた投資家向けイベントの中止や延期を相次いで決めています。
ちなみに、加藤勝信厚生労働相は、2月14日の閣議後の会見で、高齢者や糖尿病・心不全などのいわゆる基礎疾患のある人については、人混みの多いところをできれば避けて、感染予防に注意するようにと呼び掛けました。また、安倍首相も14日、政府の対策本部で、高齢者や基礎疾患を持つ人に対して、人混みをできるだけ避けるなど感染予防に注意するよう呼びかけています。
このように政府を挙げて、新型肺炎の蔓延を防ぐべく、国民に対して具体的な行動を訴え始めました。これは景気・経済の縮小要因であり、日本株にはマイナスです。
中国では、新型コロナウイルスへの対策として、
金融・財政の両面から強力な景気刺激策を実施
一方、今回の新型コロナウイルスの震源地である中国では、劉昆財政相が2月16日、中国共産党の理論誌「求是」で、追加刺激策としての減税や不必要な政府支出の削減といった措置を今年、一層確実に実施していくと表明しました。また、習近平国家主席も、自動車などの消費を促進する方針を示しています。
さらに、中国人民銀行(中央銀行)は17日に中期貸出制度(MLF)を通じて金融市場に資金を供給し、適用金利も引き下げました。20日に発表される2月の最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)も引き下げが見込まれています。
このような中国政策当局の金融・財政両面での景気刺激策への期待が、上海株など中国株式市場を力強く支えています。
業績を下方修正する米国企業が多いものの、
新型コロナウイルスの影響は短期的にとどまる見通し
一方、米国では、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長が2月14日放送の米FOXビジネスで、トランプ政権が中間所得層向けに10%の減税を検討していると明らかにしました。トランプ大統領は9月までに減税案をまとめるよう指示したそうです。これは11月の大統領選を意識した、支持層へのアピール策のひとつなのでしょう。そうはいっても、この方針・政策は米国景気、米国株式市場にポジティブに作用するはずです。
その一方で、2月17日、米国のアップル(AAPL)は、1~3月期に630億~670億ドルとしていた売上高予想について「達成できない見込みだ」と発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、主力のスマートフォン「iPhone」の供給が一時的に制限されること加え、中国で製品需要が影響を受けていることが主因だそうです。そして、アップルは新型肺炎の影響の全容が見通せないことから、新たな業績予想の公表は控えました。
今後、米国では、アップルのように、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大の影響で業績を下方修正する企業が相次ぐ見通しです。これは確かにネガティブな材料なのですが、その影響が短期的にとどまるとの見方が現状では優勢です。
なぜならば、最近は、FRBの金融政策に対する市場の信頼度が高いからです。そして今後も、株式相場が動揺するようならば、FRBは市場の期待に応えて、機敏かつ適切な対応をしてくれることを信じ続ける投資家が多いと考えます。このため、米国株はそう簡単には崩れないとみています。
日経平均株価は足元で下落中だが、
むしろ「絶好の仕込み好機」と考えよう!
その一方で、ここにきて、2019年10~12月期の実質GDP速報値の大幅減、相次ぐ国内イベントの自粛・中止、さらには米アップルの売上未達などを受けて、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大による経済の停滞を危惧して、日本株の先行きに対して弱気の投資家が増加しつつあることも事実です。だから、日経平均株価は2月6日の2万3995.37円でピークアウトした上に、足元で下落ピッチを加速させ下値を模索しているのです。
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ですが、私は世界の政策当局がこの影響を最小限に食い止めるべく全力で対応し続け、最終的には、人類がこの新型コロナウイルスに必ず打ち勝つことを確信しています。だからこそ、感染拡大による景気悪化や企業業績悪化を口実に売られた局面は、引き続き絶好の「仕込み好機」と考えています。
「観光」「レジャー」などのインバウンド関連を避け、
「テレワーク」「巣ごもり消費」などの関連銘柄に注目!
なお、むやみに何でもかんでも買いだとは思っていません。まず、触ってはいけない、近づいてはいけないのは、新型コロナ感染拡大で直接的なダメージを受けているインバウンド関連の旅行、観光、小売、レジャーなどのイベント企画会社などです。
一方、新型コロナウイルスの感染確認が相次いでいることを受け、企業ではテレワークを推奨する動きが広がっています。
【※「テレワーク」関連銘柄についての詳細はこちら!】
⇒「テレワーク」の関連銘柄を紹介! 東京オリンピック期間の混雑緩和策、新型コロナウイルスの感染予防策として注目される「テレワーク」関連のおすすめ5銘柄
また、ネット通販、ケータリング・出前などを利用し、外出せずに家の中での生活を楽しむ方が増加するでしょう。いわゆる「巣ごもり消費」です。そして、自宅での時間潰しにゲームなどを楽しむ方も増加することでしょう。さらに、感染拡大が本格的になるようなら、日用品の買いだめも顕在化するかもしれません。
【※「巣ごもり消費」関連銘柄についての詳細はこちら!】
⇒“巣ごもり消費”関連銘柄の「ビーグリー(3981)」や「ネクソン(3659)」に注目! 新型肺炎の影響でゲームやマンガなど、自宅で楽しめるサービスが人気に!
このように、従来のマスクや消毒剤、検査薬などの直接的なコロナ関連銘柄群に加え、間接的にメリットを享受する「テレワーク」、「巣ごもり消費」、「日用品買いだめ」などの関連銘柄群も狙っていきましょう。
【※「新型コロナウイルス」関連銘柄についての詳細はこちら!】
⇒新型コロナウイルス関連として「医療廃棄物処理」の関連株を5銘柄紹介! 「東陽テクニカ」「出光興産」など、まだ注目度の低い“隠れた関連企業”を発掘!
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