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日米株式市場ともに物凄い値動きになっています。ただし、一応、米国株式市場ではNYダウが2月28日の2万4681.01ドルで、東京株式市場では日経平均株価が3月2日の2万0834.29円で、それぞれ目先の底入れを果たした感じになっています。
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というのは、NYダウは、2万4681.01ドルを起点に3月2日に一時2万6706.17ドルまでの戻りを演じたからです。なお、3月2日のNYダウは前週末比1293.96ドル高の2万6703.32ドルで、上げ幅としては過去最大でした。
また、日経平均株価も2万0834.29円を起点に、3日前場には一時2万1719.78円まで戻す場面がありました。
FRB議長が大幅な「利下げ」を示唆するなど、
日米欧の中央銀行が景気の底割れ回避に向けて本格的に始動
それにしても、2月最終週の日米株式市場はまさに「急落」でした。「急落」の主因は、新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な景気後退懸念の強まりです。具体的には、2月24~28日のNYダウは週間で3583.05ドル(12.36%)下落し、週間の下げ幅としては過去最大となりました。一方、日本では、25日~28日の日経平均株価が週間で2243.78円(9.59%)も下落したのです。
なお、底打ちのきっかけは、やはり、日米欧の政策当局が景気・株式相場底割れ回避に向けて具体的に動き出したことです。
まず米国では、パウエルFRB議長が2月28日の午後2時半に緊急声明を出しました。議長は、「米経済のファンダメンタルズは依然として力強い一方、新型ウイルスが経済活動へのリスクとして台頭している。FRBは、種々の動向や経済の先行きへの影響を注視しつつ、景気の下支えに向けてあらゆる手段を活用しながら適切に対応する」と述べました。
これを受けて市場では、FRBが3月17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利下げ幅を通常の0.25%でなく、0.5%に拡大するとの見方が強まりました。また、FOMCを待たずに緊急利下げするとの見方も浮上しています。
一方、日本では3月2日、日銀が新型コロナウイルスの感染症拡大を踏まえて「適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく」とする黒田東彦総裁の異例の談話を発表しました。
そしてその当日、日銀はETFを1002億円買い入れました。TOPIXの前場終値が前営業日比で+1.11%高となるなど、株式相場が上昇していたにもかかわらずETFの買い入れを実行しました。これは極めて異例ですし、1回の買入額としては過去最大でした。日銀が、株価底割れを断固阻止する意思を明確に示したといえるでしょう。
これらの中央銀行トップの声明や行動を受け、ゴールドマン・サックスは3月1日付のリポートで、各国中銀が早ければ今週中にも協調利下げに踏み切る可能性があると指摘したそうです。その場合、ゴールドマンは、FRB、イングランド銀行、カナダ中銀が0.50%、ニュージーランド、オーストラリア中銀が0.25%の利下げを実施するとみているようです。
日銀による過去最大級のETF買い入れに加え、
政府による積極的な財政支出が見込める状況に!
さらに、日本政府は、今回のコロナ騒動で売り上げが急激に減った企業の資金繰り対策を強化します。具体的には、各地の信用保証協会が中小企業の借入金を100%保証する「セーフティネット保証4号」をすべての都道府県で実施することに加え、借入金の80%を保証する「セーフティネット保証5号」の制度も拡充し、今後、旅行業やホテル業などの業種を新たに指定する予定としています。
そして、安倍首相は2月28日、玉木国民民主党の代表と電話協議しました。玉木氏が新型コロナウイルスによる肺炎対策として、休校により休まざるを得ない世帯への休業補償など大規模な緊急経済対策を講じるべきだと主張しました。これに対して、首相は「やらせてもらう」と伝えたそうです。
このように日本では、日銀による潤沢な流動性供給に加え、政府による積極的な財政出動が見込める状況です。ちなみに政府は、昨年12月5日に、国や地方からの財政支出が13.2兆円となる経済対策を閣議決定しました。民間の支出も加えた事業規模は26兆円です。これに加えて、コロナ対策の追加の経済対策が講じられることになる見通しなのです。
さらに、欧州でも、EUのユーロ圏財務相会合議長のセンテーノ・ポルトガル財務相は2月28日、新型コロナウイルスによるユーロ圏経済への影響を分析し、対応を協議するため、3月4日に各国閣僚による電話協議を開催すると表明しました。また、フランスのルメール経済相は、3月2日、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響と対策を話し合うため、G7財務相による電話会談が今週、開催されることを明らかにしたと伝わっています。
このように主要各国の財政の責任者たちの動きも慌ただしさを増しています。
日経平均株価の下値不安は依然として残るものの、
長期的に見ると世界の景気・株式市場の底割れは回避される!
当面の日経平均株価ですが、下値のメドについては、3月2日に付けた現物指数の安値2万0834.29円ではなく、2月28日のシカゴ日経平均先物3月物の安値2万0460円と考えます。一方、上値のメドについては、200日移動平均線(2日現在2万2186.10円)とみています。
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なお、3月2日の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は、前週末比3.51(8.20%)安の39.30でした。また、翌3日前場のそれは、前日比5.19(13.21%)安の34.11でした。低下傾向を示しているとはいえ、まだまだ高水準です。これが20を下回ってくるまでは、日経平均株価の下値不安が後退することはないとみています。
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ただし、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に対して、主要各国の金融・財政の責任者たちが本気で対応する見通しになったことで、世界の景気・株式市場の底割れは回避されるとみています。もちろん、目先の値動きの荒さは予想するものの、下げた局面は長期スタンスなら「バーゲンハンティング」の絶好のチャンスと考えましょう。
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