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日経平均株価の大暴落は、下値メドが見えない“フリーフォール”状態! 3年4カ月ぶりに1万7000円を割った今回の暴落を止めるには、大規模な財政出動が必要!

2020年3月13日公開(2022年3月29日更新)
藤井 英敏
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 日米の株式市場が急落を続けています。

 3月11日、NYダウは大幅に反落し、前日比1464.94ドル安の2万3553.22ドルでした。米国のトランプ政権が10日の夕方、給与税の免除などを含む経済対策案を発表したものの、市場では「この対策案は米議会で審議が難航する可能性が高い」との見方から買い材料とはならず、売りが優勢でした。

■NYダウチャート/日足・3カ月
NYダウチャート/日足・3カ月NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 さらに3月11日、WHOが新型コロナウイルスの感染拡大について「パンデミック(世界的大流行)と見なせる」と表明したことや、日本時間の12日午前10時に、トランプ米大統領が「3月13日から、英国を除く欧州からの渡航者を30日間制限する」と演説したことが嫌気されました。

 それらの流れを受けた3月12日の日経平均株価は、前日比856.43円安の1万8559.63円でした。下げ幅は今年2番目の大きさで、2017年4月24日以来約2年11カ月ぶりに1万9000円を割り込みました。

■日経平均株価チャート/日足・3カ月
日経平均株価チャート/日足・3カ月日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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過去最大の下落幅となったNYダウの急落を受け、
3月13日の日経平均株価は一時1万6000円台に突入!

 そして3月12日、NYダウは大幅続落し、前日比2352.60ドル(9.99%)安の2万1200.62ドルに。下げ幅は9日の2万13.76ドルを上回って過去最大で、下落率は1987年10月19日のブラックマンデー(22.61%安)以来の大きさでした。

 米国株が大幅に売られた要因は、前述の「欧州からの渡航禁止規制」に加え、ECBが3月12日に開いた理事会で、新型コロナの感染拡大を理由に国債など資産買い入れを含む量的緩和政策の拡大を決める一方で、利下げをせず、市場が期待したほど緩和的な内容ではなかったためです。

 このNYダウの大幅下落を受け、3月13日の前場の日経平均株価も大幅に続落しました。始値は1万8183.47円、高値は1万8184.46円、安値は1万6690.60円、前場の引け値は前日比1478.49円(7.97%)安の1万7081.14円。2016年11月以来、実に3年4カ月ぶりに1万7000円を割り込みました

 しかし、10時30分に、「財務省と日銀、金融庁は3月13日、同日11時40分から国際金融資本市場に係る情報交換会合を開くと発表した」と伝わり、これが買い戻しや押し目買いの材料となって日経平均株価はやや下げ幅を縮小して前場の取引を終了。そのまま後場も値上がりし、最終的に前日比1128.58円(6.08%)安の1万7431.05円で今週の相場を終えました

■日経平均株価チャート/5分足・1日
日経平均株価チャート/5分足・1日日経平均株価チャート/5分足・1日(出典:SBI証券公式サイト)
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現在の日経平均株価は下値のメドが見えず、
「行くところまで行くしかない」という状態!

 前回(3月10日)のコラムで、「相場のさらなる混乱が発生した場合の下値メドとしては、リーマン危機後の2009年3月にPBR0.81倍まで低下したことが参考になるでしょう。ちなみに、PBR0.81倍の水準は、3月9日ベースの1株あたり純資産(BPS)から計算すると1万7157円です」と書きましたが、それをあっさり割り込んでしまいました。

 こうなると、日経平均株価の下値のメドはつきません。もう、相場は「行くところまで行くしかない」と思います

 現在の「下がるから売る、売るから下がる」という負の循環を止められるのは、やはり、政府・日銀だけです。適切かつ大規模な経済対策を打ち出さない限り、今の強烈な下落トレンドに終止符を打つことはできないでしょう。現在の市場はまさに「フリーフォール」状態です。市場の自律性に任せたら、「慣性の法則」ではありませんが、下へ下へと動き続けてしまいます。

ここまでヒステリックになった市場を落ち着かせるには、
「消費税をゼロにする」などの思い切った財政政策が必要

 新型コロナの感染拡大を受け、安倍首相は2月18日、国民に向けて「発熱など風邪の症状が見られるときは、学校や会社を休み、外出を控えて欲しい」と述べ、大規模イベントの延期も検討するよう呼び掛けました。また2月27日には、全国の小中高校に、3月2日から春休みまで臨時休校とするよう要請。これを受け、多くの国民や企業は外出や出張自粛を本格化させました。

 さらに、3月5日、政府は中国と韓国からの入国制限を明らかにしました。入国時に施設で2週間の待機が求められるため、両国からの訪日客は一段と落ち込む見通しです。さらに、政府は、WHOによる「パンデミック」宣言や、トランプ米大統領による欧州からの入国制限などを考慮して、欧州からの入国制限の対象地域拡大を視野に入れているそうです。

 国民の外食、旅行、企業の出張自粛、イベントの中止や延期、訪日観光客の激減などを受け、全国各地で大幅な減収に陥る企業が続出しています。これは日本国内に限ったことではありません。「見本市市場の8割を占める欧米で、計100万人を超える規模のイベントが相次ぎ中止になった」と報じられています。また、東京を含め、ディズニー社のテーマパークがすべてクローズとなるなど、さまざまな娯楽施設やイベントが世界的に楽しめない、参加できない状況になっています。

 「ヒト・モノ」の流れが止まるということは景気・経済が死ぬことを意味します。株式市場は景気・経済を映す鏡です。つまり現状は、先行きが真っ暗で不透明なため、市場はパニックに陥っています。

 家計や企業が委縮しているのなら、政府がガンガンお金を使わないといけません。そうしないと、日本の景気・経済は本当に死んでしまいます。日銀によるさらなる金融緩和や流動性供給も必要ですが、現時点で市場が望んでいるのは、実弾(お金)の投入や減税といった財政政策です。

 チマチマとした規模・内容の経済対策では、ここまでヒステリックになってしまった市場を落ち着かせることは不可能です。適切かつ大規模な財政出動が必要です

 例えば、「期間限定で消費税をゼロにする」とか「株式譲渡益課税をゼロにする」など、家計や投資家を喜ばせる直接的でわかりやすい対策が効果的だと思います。もちろん、そのような大胆な政策が打ち出される可能性は低いのかもしれません……。ですが、市場が「いやー、思い切った政策を打ち出してくれたね! さすが安倍さん!」と、驚き、はしゃぐような対策でないと、今の「負のスパイラル」に歯止めが掛かることはないでしょう。

適切な政策が打ち出される確度が高まったら、
「株価急落により割安になった株」を思い切って買おう!

 なお、適切な政策が打ち出されるということなら、当然、今の株価水準は割安だと思います。まさにバーゲンセールです。なぜなら、多くの投資家が狼狽して、バリュエーションを無視して投げ売りしているため、下方向にオーバーシュートしている可能性が高いからです。

 ですが、投資戦略的には、安倍政権が適切で思い切った政策を打ち出す可能性が高まるまでは、安易な買いは控えた方が無難です。そして、打ち出す確度が高まったら、あなたも思い切って株を買いましょう。

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