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日経平均株価が「2万4221円」まで上昇して“倍返し”を達成する可能性が上昇! 唯一の不安材料は「安倍首相の健康問題」なので、政治関係のニュースには注目を!

2020年8月18日公開(2022年9月20日更新)
藤井 英敏
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 日経平均株価は、前々回の当コラムで紹介した「メインシナリオ」が実現しつつあります。具体的には、「直近高値である6月9日の2万3185.85円からの『値幅調整』は6月15日の2万1529.83円(一番底)で終了し、その後の『時間調整』は7月31日の2万1710.00円(二番底)で一巡した」というシナリオです。

■日経平均株価チャート/日足・3カ月
日経平均株価チャート/日足・3カ月日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 ちなみに、このシナリオにおける「チャート上のネックライン」は、7月15日の2万2965.56円です。そして、すでに日経平均株価は、このネックラインを上抜けました。このため、今後は、2万1710.00円までの下落幅1255.56円(=2万2965.56円-2万1710.00円)の「倍返し」となる2万4221.12円(=2万2965.56円+1255.56円)が意識されることになると考えています。
【※「ネックライン」についての詳細記事はこちら!】
「ダブルボトム」や「ダブルトップ」がチャートに出現すると、トレンド転換のサインで売買チャンス!「ネックライン」で売買タイミングを見極めよう!

 なお、このシナリオが破綻する場合のサインは、「終値ベースでの25日移動平均線(17日現在2万2641.55円)割れ」とします

今後、海外投資家が現物も先物も買い越してくると、
日経平均株価の上昇ピッチがますます加速する可能性は高い!

 日経平均株価が非常に強い動きになった主因は、やはり強い米国株です。とりわけ、半導体を中心にIT関連株が上昇基調で、ナスダック総合指数が非常に強いことが寄与しています。

 ちなみに、8月17日のナスダック総合指数は反発し、前週末比110.42ポイント(1.0%)高の1万1129.72ポイントと過去最高値を更新しました。また、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も、同26.80ポイント(1.2%)高の2227.61ポイントと上昇しました。

■ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月
ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 この強い米国株を受けて、海外投資家のリスク許容度がアップしつつあるようです。というのは、8月第1週(3日~7日)、海外投資家は日本株の現物を2週ぶりに買い越したからです。買い越し額は1791億円で、前週の4624億円の売り越しから買い越しに転じました。買い越し額は、株価急落後の回復局面で高値をつけた6月1週目以来、9週ぶりの多さでした。

 この週の日経平均株価は、週初の8月3日が前週末比485.38円高の2万2195.38円、4日が前日比378.28円高と、2日間で863.66円(3.98%)上昇しました。しかし、5日は同58.81円安、6日は同96.70円安、そして週末の7日は同88.21円安と3日続落し、終値は2万2329.94円でした。

 前週末(7月31日)の2万1710.00円からは終値ベースで619.94円(2.86%)上昇しましたが、「やせ馬の先走り(最初は速いが、体力がなく後半には失速するさま)」的な値動きでしたので、上値の重さを感じさせました。おそらく短期筋の買いが多く、中長期の腰の入った海外投資家の買いではなかったのでしょう。

 実際、8月第1週、海外投資家は先物(日経平均先物、TOPIX先物、ミニ日経平均先物、ミニTOPIX先物の合計)を3週連続で売り越しています。金額としては、この週は1676億円の売り越しでした。

■日経平均株価チャート/日足・3カ月
日経平均株価チャート/日足・3カ月日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 しかしながら、8月第2週(11日~14日)の日経平均株価は、週初の8月11日が前週末比420.30円高の2万2750.24円と、25日移動平均線(11日現在2万2545.33円)を上抜きました。その後、12日は前日比93.72円高、13日は同405.65円高となり、ついに7月15日の2万2965.56円をブレイクしました。そして、週末の14日は同39.75円高の2万3289.36円と、2日連続、終値ベースで2万3000円大台をキープして週の取引を終えました。

 また、8月11日以降、一度も終値で25日移動平均線を割り込んでいません。前週末(7日)の2万2329.94円からは終値ベースで959.42円(4.30%)上昇し、非常に強い値動きでした。

 このため、この8月第2週から、短期スタンスの海外投資家のみならず中長期スタンスの海外投資も現物を買い、また、先物も買い越しに転じてきたと見ています。今後、海外投資家が現物も先物も買い越してくるようだと、日経平均株価の上昇ピッチは一段と加速する可能性が高いと考えます

VIX指数を見る限り、米国株が急落するリスクは非常に低いが、
「相場の一瞬先は闇」なので油断は禁物!

 もちろん、頼みの米国株が崩れてしまえば、海外投資家は日本株の現物も先物も売り叩いてくるでしょう。ちなみに、8月17日のVIX指数は前日比0.70(3.17%)安の21.35でした。このVIX指数はS&P500のオプションのリアルタイム価格に基づいており、将来(30日)の予想される株式市場のボラティリティに関する投資家のコンセンサスビューを反映するように設計されています。

 また、VIX指数の3カ月版であるVIX3M(CBOE S&P 500 3 Month Volatility)は同0.92(3.24%)安の27.45でした。

 そして、VIX/VIX3Mレシオは同0.00(0.07%)高の0.78と、引き続き1を下回っています。一般的に、VIX/VIX3Mレシオが1を上回ってくると米国株式相場は急落することが多いとされます。このため、現時点では米国株が急落するリスクは非常に低いといえるでしょう

 ここ数年間における相場急落は、「リスクパリティ型ファンド」が機械的な売買を大規模に行うことがトリガーになっています。「リスクパリティ」とは、ポートフォリオに占める各資産のリスクの割合が均等になるように分散して保有することで、リスクを低減させる運用手法です。つまり、株式のボラティリティが上昇すれば、機械的に売りを出してきます。ですから、仮に米国株であれば、VIX指数が低位安定し、かつVIX/VIX3Mレシオが安定して1を下回る状況では、「リスクパリティ型ファンド」は米国株を買いこそすれ、売ることはないでしょう。

 しかしながら、「相場の一瞬先は闇」であり、需給も一夜にして変わります。それが相場です。このため、朝起きたら最低でも前日の「VIX指数」がどうだったかのチェックは怠ってはいけません

株式市場の唯一の懸念材料は、安倍首相の健康問題!
「8月24日に安倍首相が退任する」という噂も

 なお、日本株に関して、現時点における唯一の懸念材料は安倍晋三首相の健康問題です

 首相は8月17日午前、慶応大病院に入りました。報道によれば、「日帰りの検診」だそうです。しかし、4日発売の写真週刊誌が、安倍首相が「7月6日に首相執務室で吐血した」などとする説を報じ、菅義偉官房長官がこの日の記者会見で否定する一幕もありました。また、麻生太郎財務相は17日夜、安倍首相に「休む必要があるということは申し上げた。ちゃんと自分で健康管理するのも、仕事のひとつだ」と述べたそうです。

 このような各種報道を受け、市場では「安倍首相の体調不良説」が燻り続けています。同時に、「亡くなった大叔父である佐藤栄作元首相の連続在任日数の記録を超す8月24日に安倍さんが辞めるという噂」もあるようです。

 さまざまな噂が飛び交い、政治の世界も一寸先は闇です。今後、どのような動きが永田町で起きるのかを予想するのは不可能ですが、各種報道を受けて安倍首相が辞める確度が高まるようだと、株式市場はその疑惑を「不透明要因」として嫌気し、下落に転じる可能性は高いでしょう。ですので、投資家は、今まで以上に国内政治絡みの報道をチェックしておきましょう。

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