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「アンモニア」と聞いて、真っ先に思いつくのは「臭い」というイメージかと思います。そうしたイメージからなんとなく嫌われ者感のあるアンモニアですが、株式市場においては、実は有力な投資テーマになる可能性を秘めています。
そこで今回は「アンモニア」の投資テーマとしての可能性と、その関連銘柄を解説しましょう。
水素の輸送手段としての活用やカーボンフリーの燃料として、
エネルギー分野において「アンモニア」への注目が集まる!
アンモニアは、常温の環境では強い刺激臭のある無色透明の気体で、「毒物及び劇物取締法」において「劇物」に指定されています。しかし、そんな怖さを持つ一方、「肥料の三要素」の一角である窒素の原料であり、私たちにとって非常に身近な物質と言えます。
資源エネルギー庁によれば、世界全体で生産されたアンモニアは、その約8割が肥料として消費されています。アフリカを中心とした世界人口の増加に伴い、将来的な食糧需要の増加が避けられないことを考えれば、長期的に見てアンモニアの需要は比較的安定していると言えるでしょう。
さらにアンモニアは、肥料以外にも各種樹脂や合成ゴム、接着剤など、多種多様な化学製品の原料として欠かすことができない物質となっています。
そんな様々な場面で活躍するアンモニアですが、ここにきてエネルギー分野においても注目が集まっています。
例えば、水素自動車の燃料として欠かすことのできない水素は、通常、気体の状態であるうえに可燃性が高いことから非常に扱いにくく、大量輸送が難しいとされています。そこで現在、水素をすでに輸送技術が確立しているアンモニアに変換して輸送し、利用場所で再び水素に戻す方法が研究されています。
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また、アンモニアを燃料として直接的に活用する技術も研究されています。アンモニアの分子式は「NH3」でカーボン(C)が入っていないため、燃焼させてもCO2を排出しない「カーボンフリー」の物質です。そのため、アンモニアを石炭火力発電の燃料に混ぜて燃やすことで、CO2の排出量を抑えることが可能となります。
カーボンフリーに向かって本格的に世界が舵を切り始めている中で、こうした新しい技術の開発をきっかけとして、今後、アンモニアに投資家の関心が向かってもおかしくはないでしょう。
そこで今回は「アンモニア」関連銘柄として、アンモニアの製造やアンモニアを活用した技術開発を手掛けている企業をピックアップしました。
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【中外炉工業(1964)】
アンモニアを燃料として安定燃焼させる技術を開発
工業炉メーカーの中外炉工業(1964)は、昨年8月にアンモニアのみを燃料として安定燃焼させる技術を開発したと報じられました。報道によれば、2025年にも実用化を狙っているようです。株価は、昨年12月7日につけた高値1913円をピークに調整が続いていましたが、足元では75日移動平均線を下値支持線にリバウンドの動き見せており、25日移動平均線を突破してきました。ここからのさらなる上昇が期待できます。
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【昭和電工(4004)】
使用済プラスチックからアンモニアを製造
昭和電工(4004)は、使用済プラスチックを原料の一部に使いながら、品質や性能は従来品とまったく同等のアンモニア「ECOANN(エコアン)」を手掛けています。アンモニア製造時の環境負荷を大幅に低減していることも、「環境」というテーマ性を強める要因になるでしょう。株価は昨年12月以降、上昇する25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いています。
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【住友化学(4005)】
アンモニアの製造に関し、抜本的な製法転換を目指す
住友化学(4005)は、2020年10月16日に初のESG説明会をオンライン開催した際、上田博副社長が「水素を運ぶアンモニアの抜本的製法転換に向け、触媒開発を目指す」という方針を示しており、今後の動向が注目されます。株価は今年に入って上昇基調が強まっており、足元で昨年来高値を更新しています。
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【宇部興産(4208)】
アンモニア製造を行う子会社を吸収合併
宇部興産(4208)は、2020年10月1日を効力発生日として、液体アンモニアなどを製造している宇部アンモニア工業有限会社を吸収合併しました。アンモニア事業の強化と業務効率化の観点から一体運営を強化するべく吸収合併をしたこともあり、「アンモニア」関連銘柄として注目されます。株価は、今年に入って上昇する25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いており、足元で昨年1月20日に付けた高値2397円に接近しています。
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【木村化工機(6378)/澤藤電機(6901)】
低濃度アンモニア水から高純度水素の製造に成功!
木村化工機(6378)と澤藤電機(6901)は2019年11月、岐阜大学との共同開発で、低濃度アンモニア水から燃料電池に使える高純度水素の製造に成功し、さらに製造した高純度水素を燃料電池に供給することで発電できることを確認したと発表しました。株価は、木村化工機と澤藤電機のいずれも、75日移動平均線を下値支持線に上昇トレンドを見せています。
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【IHI(7013)】
「ブルーアンモニア」のサプライチェーン実証試験に協力
IHI(7013)は、日本エネルギー経済研究所とサウジアラビアン・オイル・カンパニー(サウジアラムコ)が進める「ブルーアンモニア」のサプライチェーン実証試験に協力したことを発表しました。「ブルーアンモニア」は、製造時に排出されるCO2についても回収・利用されるアンモニアで、より「カーボンフリー」な燃料として注目されています。株価は、2月に入って75日移動平均線を割り込むことなくリバウンドを見せており、足元で25日移動平均線を突破しています。
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以上、今回は「アンモニア」関連銘柄を紹介しました。
最近、「環境」関連として「水素」や「燃料電池」といった投資テーマが人気化していますが、今回取り上げた「アンモニア」についても同様に市場の関心が高まる可能性は十分にあるでしょう。
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