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「全固体電池」関連銘柄を解説! リチウム電池からの移行が予測される「全固体電池」は、“未来の蓄電池”としてEV(電気自動車)などには欠かせない部品に!

2021年1月21日公開(2022年9月20日更新)
村瀬 智一
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 現在、日本を含めて世界的に環境政策の推進が加速しています。これまで環境問題に関してはやや逆行していた感のある米国も、バイデン氏のもとで地球温暖化防止の国際的枠組みである「パリ協定」に復帰すると見られます。こうした流れもあり、株式市場では「環境」が投資テーマとして大いに注目されています
【※関連記事はこちら!】
日経平均株価の“押し目”に、世界的な国策テーマ株である「脱炭素」関連株を狙え! 太陽光発電や蓄電池、水素、EV(電気自動車)の関連銘柄の株価に要注目!

EVに欠かせない蓄電池の中でも、現在主流の「リチウム電池」に代わり、
将来的に覇権を握ると目される「全固体電池」に注目!

 そんな「環境」関連の中でも、人気テーマのひとつが「EV(電気自動車)」です。「環境に優しい自動車は?」と聞かれたら、 自動車に詳しい人であれば「燃料電池自動車(FCV)」といった名前も挙がるかもしれませんが、一般の人であれば「EV」と回答する人も多いのではないでしょうか。
【※関連記事はこちら!】
「燃料電池」関連の米国株を紹介! クリーン・エネルギー政策の推進や電気自動車の普及で重要な役割を果たす「燃料電池」は、成長間違いなしの注目テーマ!

 ガソリン自動車は、エンジンでガソリンを燃焼させることでエネルギーを生み出すのに対して、EVは電気でモーターを回転させることで駆動します。当然EVでは、モーターを動かすための電気を蓄えておく電池が非常に重要な部品となります

 その電池の分野で、現在の主力である「リチウムイオン電池」を抑え、将来的に覇権を握ると目されているのが「全固体電池」です。富士経済の調査では、「全固体電池」の世界市場は、2035年に2兆1014億円に達し、2019年比で1106倍もの規模に拡大すると予測されています。

 なぜ「リチウムイオン電池」から「全固体電池」への移行が予想されるのかというと、「全固体電池」が、(1)冷却機構などが不要で小型化が可能、(2)エネルギー密度が大きいため同じサイズに多くの電気を貯めることが可能、(3)耐久性が高く安全性が向上する、という特長を持っているからです。

 そこで今回は「全固体電池」関連の銘柄に注目したいと思います

 銘柄選びについては、「全固体電池」関連というと、「EV」関連の流れから車載用蓄電池のイメージが強くなりがちですが、今回はEV用に限らず「全固体電池」関連する銘柄を幅広く取り上げました。

【オハラ(5218)】
全固体電池を−30度の低温下で駆動させることに成功

 オハラ(5218)は2016年8月に、駆動するリチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LICGCTM)を使用した全固体電池の試作品を−30度の低温下で駆動させることに成功した実績を持っており、株式市場では「全固体電池」関連銘柄として位置付けられています。2020年10月期の決算説明資料でも、引き続き「全固体電池における実用レベルの特性実現を目指すとともに、液系リチウムイオン電池の特性向上につながる添加剤としての拡販を進めていく」と表明しています。株価は昨年11月以降、上昇トレンドが継続しており、1月12日には一時2035円まで上昇して昨年来高値を更新しました。足元ではやや利益確定の動きが見られますが、上昇する25日移動平均線が下値支持線として機能しています。

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オハラ(5218)チャート/日足・6カ月オハラ(5218)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【TDK(6762)】
世界初の充放電可能な全固体電池「CeraCharge」を開発

 TDK(6762)は、世界初の充放電可能なオールセラミック全固体電池「CeraCharge」を手掛けています。「CeraCharge」は車載用の蓄電池ではありませんが、「全固体電池」関連銘柄の一角と見なされています。また、3年間で設備投資に5200億円超を投じて蓄電池などを増産する計画を発表。設備投資の中身も、これまで力を入れていたスマートフォン向けリチウムイオン電池から、EV向けの蓄電池などの「脱炭素」をにらんだ製品へとシフトするようです。株価は昨年3月以降、力強い上昇トレンドが継続。1月14日には2000年に付けた高値1万7200円を突破し、過去最高値を更新しました。

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TDK(6762)チャート/日足・6カ月TDK(6762)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【FDK(6955)】
SMD対応小型全固体電池「SoLiCell」の生産を開始

 FDK(6955)は2020年12月21日、SMD対応小型全固体電池「SoLiCell」の生産を開始したと発表しました。「SoLiCell」もTDKの「CeraCharge」と同じく車載用ではありませんが、個人投資家に人気の高い銘柄で、「全固体電池」関連に物色が向かう場面で人気化することが期待できます。株価は、昨年11月から上昇する25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが継続。25日移動平均線を下回る局面では、13週移動平均線付近で押し目買いを狙いたいところです。

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FDK(6955)チャート/日足・6カ月FDK(6955)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【三櫻工業(6584)】
「全固体電池」を開発する⽶国企業ソリッド・パワーに出資

 三櫻工業(6584)は、「全固体電池」の開発を⼿掛ける⽶国企業ソリッド・パワーに出資していることから、株式市場では「全固体電池」関連銘柄の一角と位置付けられています。どちらかというと、短期資金の関心が向かいやすい銘柄という印象があります。株価は、昨年12月に1000円の大台を突破したことで達成感が意識されたのか、足元では900円を挟んでの“もち合い”が続いています。再び1000円回復となれば、昨年1月7日の高値1239円が視野に入ってくるため、25日移動平均線付近が押し目買いのチャンスと言えるでしょう。

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三櫻工業(6584)チャート/日足・6カ月三櫻工業(6584)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【三井金属鉱業(5706)】
「全固体電池」向け固体電解質の本格量産に乗り出す

 三井金属鉱業(5706)は、昨年1月に開催された「新機能性材料展2020」に出展して「全固体電池」向け材料の展示を行うなど、関連銘柄の一角として認識されています。2019年12月には、「全固体電池」向け固体電解質の本格量産を見据え、埼玉県上尾市の研究所敷地内に新たな生産設備の建設を進めることを発表しています。株価は、昨年11月から上昇する25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが継続。1月半ばから調整が見られるので、25日移動平均線付近での押し目を狙いたいところです。

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三井金属鉱業(5706)チャート/日足・6カ月三井金属鉱業(5706)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【出光興産(5019)】
「全固体電池」に欠かせない“固体電解質”を開発

 「全固体電池」の製造には“固体電解質”と呼ばれる物質が欠かせませんが、出光興産(5019)は、独自の製造技術を有する「硫化リチウム」を使った固体電解質を開発しました。技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)を通じて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が推進するEV用全固体電池の基盤技術確立を目的としたプロジェクトにも参画しています。株価は、今年に入って上昇トレンドが強まっていますが、ようやく52週移動平均線を突破したところなので、他の「全固体電池」関連銘柄と比較すると出遅れ感が強く、さらなる株価上昇が期待できます。

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出光興産(5019)チャート/日足・6カ月出光興産(5019)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【ニッポン高度紙工業(3891)】
サムスンと共同で「全固体二次電池」など関する特許を出願

 ニッポン高度紙工業(3891)は、過去にサムスン日本研究所と共同で、固体電解質シートと全固体二次電池に関する特許を出願した実績があり、株式市場でも「全固体電池」関連銘柄として認識されており、個人投資家にも人気の高い銘柄です。株価は、昨年10月半ばから上昇トレンドが強まり、1月14日には一時2982円まで上昇。足元では25日移動平均線付近での攻防が続いているので、押し目狙いのスタンスになります。今後、3000円を突破してくる局面では、2018年1月に付けた過去最高値3675円が意識されてくるでしょう。

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ニッポン高度紙工業(3891)チャート/日足・6カ月ニッポン高度紙工業(3891)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 以上、今回は「全固体電池」関連の7銘柄を紹介しました。

 現在、EVに関しては米国のテスラ(TSLA)が圧倒的にリードしている状況です。また、国としては、新エネルギー政策を推進する中国でEV市場が大きく成長しており、リチウムイオン電池に関しても中国のサプライチェーンが台頭している状況です。

 こうした他国に遅れを取っている状況を打破するカギとなるのが「全固体電池」であり、安全性や航続距離の優位性から日本メーカーが巻き返しを狙える分野となるでしょう。当然、国としても力を入れてくる分野なので、今後の躍進を大いに期待したいところです。
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