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新しい「エネルギー基本計画(素案)」が発表され、
再生可能エネルギーのさらなる普及が掲げられる!
経済産業省は7月21日、第6次となる新しい「エネルギー基本計画(素案)」を発表しました。この計画は、「温暖化ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする」という大目標の達成に向け、省エネルギーや非化石エネルギーの利用拡大を推し進めるうえでの課題や政策対応などを示しています。投資家にとっても重要な情報となるので、その概要は押さえておきたいところです。
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この「エネルギー基本計画(素案)」では、2030年度に日本が目指す電源構成の比率が新たに掲げられており、そこでは非化石(燃料)が59%程度、化石(燃料)が41%程度となっています。現行目標では非化石が44%、化石が56%なので、脱化石燃料に大きくシフトしていることになります。
電源構成の現状と2030年における目標それぞれ細かく見ると、下の表のとおりです。
■2030年度における電源構成の目標 | ||||
分類 | 2019年時点 | 2030年 (現行目標) |
2030年 (今回発表された目標) |
|
非 化 石 |
再生可能エネルギー | 18% | 22〜24% | 36〜38% |
水素・アンモニア | 0% | 0% | 1% | |
原子力 | 6% | 20〜22% | 20〜22% | |
化 石 |
LNG(液化天然ガス) | 37% | 27% | 20% |
石炭 | 32% | 26% | 19% | |
石油など | 7% | 3% | 2% | |
※「エネルギー基本計画(素案)の概要」(経済産業省)より作成 |
表を見ると、非化石のなかでも再生可能エネルギーの比率が大きく伸びていることがわかります。つまり、今後は政府としても再生可能エネルギー、具体的には、太陽光発電や陸上・洋上風力発電などの拡大に最優先で取り組んでいくことになるでしょう。
再生エネルギーの拡大には「太陽光発電」の普及が必須だが、
国内では発電設備の設置場所の制限が大きな課題に!
政府にとって最重要項目となった再生可能エネルギーですが、さらに細かく内訳を見ていくと下の表のように太陽光発電の割合がもっとも大きくなっています。
■2030年度目標における再生可能エネルギー(36〜38%)の内訳 | ||||||
分類 | 電源構成の比率(2030年度の目標) | |||||
太陽光 | 約15% | |||||
風力 | 約6% | |||||
地熱 | 約1% | |||||
水力 | 約10% | |||||
バイオマス | 約5% | |||||
※「エネルギー基本計画(素案)の概要」(経済産業省)より作成。 |
現状の再生可能エネルギーの内訳が載っていないので各発電をどれだけ増加させる計画なのかはわかりませんが、太陽光発電のさらなる拡大が重要な課題となっていることは間違いないでしょう。
ただ、これは再生可能エネルギーに共通して言えることですが、太陽光発電の発電量を増加する際に大きな壁となるのが立地制約の問題です。
資源エネルギー庁が2021年6月に発表した「『次世代型太陽電池の開発』プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画(案)」によると、国土面積当たりの太陽光設備容量は、日本がすでに主要国で1位となっています。具体的には、日本の147kw/㎢に対して、環境大国として名高いドイツですら126kw/㎢で、中国は18kw/㎢、米国は6kw/㎢にとどまっています。
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国土が大きい中国や米国は太陽光発電の導入余地が大きく、今後、急速に普及が加速すると考えられますが、日本の場合はビルの壁面など、既存の技術では設置できなかった場所の活用を進めることが求められます。そのため、軽量で柔軟性が高いなどの特徴を備え、さらに性能面でも既存の製品に匹敵、あるいは凌駕する次世代型太陽電池の開発が不可欠とされています。
こうした状況のなか、次世代型太陽電池として大きな期待を集めているのが「ペロブスカイト太陽電池」です。
「ペロブスカイト太陽電池」は「軽量・柔軟・低コスト化が可能」
という特徴を併せ持つ、将来有望な次世代型太陽電池
太陽電池は大きく分けて、「シリコン系」「化合物系」「有機系」の3種類に分けられます。現在普及している太陽電池の95%以上はシリコン系で、それ以外のタイプについては一部が実用化しているものの、現状ではコストや性能面で劣後しており、利用範囲が限られています。
そんななか、有機系の「ペロブスカイト太陽電池」が戦略的に開発を進めるべき次世代型の太陽電池として有望視されています。
前出の「『次世代型太陽電池の開発』プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画(案)」によると、ペロブスカイト太陽電池は直近7年で変換効率が約2倍に向上しており、これはシリコン系太陽電池の約4倍のスピードとなっています。さらに「軽量」「柔軟」「低コスト化が可能」などの特徴から、現在の主流であるシリコン系に取って代わる新しい太陽電池として期待できます。
海外においても、長期的にはシリコン系と置き換えることも念頭に、官民を挙げてペロブスカイト太陽電池の実用化を目指す動きが活発化しているようです。
今回は、そんな「ペロブスカイト太陽電池」の関連銘柄を発掘したいと思います。具体的な銘柄としては、実際にペロブスカイト太陽電池の開発を進めている企業を中心にピックアップしました。
【東芝(6502)】
世界最大のフィルム型ペロブスカイト太陽電池モジュールを開発
東芝(6502)は2018年6月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、自社の持つメニスカス塗布技術を活用し、面積で世界最大となるフィルム型ペロブスカイト太陽電池モジュールを開発したことを発表しました。最終的なプロジェクト目標である「2030年に発電コスト7円/kWh」の実現に向けて、研究開発を進めています。
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【パナソニック(6752)】
ペロブスカイト太陽電池で世界最高のエネルギー変換効率を達成!
パナソニック(6752)は2020年1月、ガラスを基板とする軽量化技術などを用い、ペロブスカイト太陽電池モジュールのエネルギー変換効率で世界最高となる16.09%を達成しました。現在は、シリコン系太陽電池並みの高効率の達成を目指しつつ、実用化に向けた技術の確立を進めています。
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【ホシデン(6804)】
2021年4月から新たにペロブスカイト太陽電池事業に参入
ホシデン(6804)は、2021年4月にペロブスカイト太陽電池事業に参入することを発表しました。関係会社であるホシデンエフ・ディが持つタッチパネル製造ラインが、ペロブスカイト太陽電池の生産との親和性が高いため、既存設備の有効活用が可能としています。また将来的には、海外拠点に保有するフィルム基材タッチパネルの製造ラインを活用することも視野に入れているようです。
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【リコー(7752)】
“色素増感”“有機薄膜”“ペロブスカイト”の3種類の太陽電池を開発中
リコー(7752)は、ペロブスカイト太陽電池のルーツとも言える「色素増感太陽電池(DSSC)」を実用化レベルまで引き上げた実績を持っています。現在は「色素増感」「有機薄膜」「ペロブスカイト」の3種類の有機系太陽電池を開発中で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究も行っています。
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【三菱マテリアル(5711)】
「鉛フリー」のペロブスカイト太陽電池の開発に取り組む
三菱マテリアル(5711)は2020年5月、京都大学発となるペロブスカイト太陽電池のスタートアップ企業、エネコートテクノロジーズへ出資したことを発表。エネコートテクノロジーズでは、より高い発電効率と耐久性を併せ持つペロブスカイト太陽電池の開発に取り組む一方、材料に含まれる鉛を代替材料に置き換える「鉛フリー」の太陽電池の開発も進めています。
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【富士フイルムホールディングス(4901)】
ペロブスカイト太陽電池に関連する試薬を手掛ける
富士フイルムホールディングス(4901)は、子会社の富士フイルム和光純薬が、ペロブスカイト太陽電池に関連するさまざまな試薬を手掛けています。いずれもペロブスカイト太陽電池の開発には重要な素材となるため、ペロブスカイト太陽電池の普及に伴って業績アップが期待できます。
⇒富士フイルムホールディングス(4901)の最新の株価はこちら!
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【フジプレアム(4237)】
京都大学とともにペロブスカイト太陽電池を開発
フジプレアム(4237)は、京都大学とともにペロブスカイト太陽電池の開発を急ピッチで進行中です。2020年4月時点において「2年後の実用化に向けて着実に開発が進んでいます」と公表しています。
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以上、今回は「ペロブスカイト太陽電池」の関連銘柄を発掘しました。
ペロブスカイト太陽電池は、屋外環境での耐久性や施工技術といった課題はあるものの、「軽量」「柔軟」「低コスト化」という特徴により、太陽光発電の普及を大きく加速させることが期待できます。住宅やビルの壁面に施工できるほか、自動車のボディなどへも活用が広がれば、脱炭素に向けた世界の取り組みのなかで日本が大きくリードすることも可能でしょう。
なお、「再生可能エネルギー」や「太陽電池」は、中長期目線で注目しておきたい重要な投資テーマのひとつなので、今後も情報を追っていきたいと思います。
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