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デルタ変異株により「旅行関連株」が全体的に軟調だが、
悪影響は限定的なので押し目買いのチャンスと考えよう!
このところ世界的に新型コロナウイルスのデルタ変異株が猛威をふるっている関係で、旅行関連株が値を消しています。実際、デルタ変異株がニュースに出るようになった7月第1週以降、航空会社やホテル、クルーズの予約に少し陰りが見えています。
これはがっかりさせられる展開には違いないのですが、大きな流れとしては、デルタ変異株の旅行関連銘柄に与える悪影響はきわめて限定的であり、押し目は買い場です。
今日はそんな旅行関連株の中でも、とりわけ出遅れ感が強い「クルーズ船」関連銘柄に焦点を当てたいと思います。
単なる移動手段ではなく「楽しむための船旅」という
近代的クルーズ産業は、1960年代にマイアミで誕生!
近代的なクルーズ産業は、1960年代にイスラエルの実業家であるテッド・アリソンが、フロリダのマイアミで1966年に創業したノーウェジアン・クルーズ・ライン(ティッカーシンボル:NCLH)と、1972年に創業したカーニバル・クルーズ・ライン(現在のカーニバル/ティッカーシンボル:CCL)を続けざまに起業したことから始まりました。
それ以前にも、例えば米国のニューヨークと英国のサウスハンプトンの間を運航する「遠洋定期船(Ocean liners)」は存在したのですが、ジェット旅客機が登場してから船旅はすっかり時代遅れになっていました。
テッド・アリソンは「A地点からB地点への移動手段としての客船ではなく、地中海のような特定の地域をぐるぐる回遊するクルーズに需要があるのではないか?」と考えました。この発想の転換こそが、今日のクルーズ産業の隆盛の起点となりました。
クルーズ船の業界団体であるCLIAの資料によれば、クルーズの行き先としてはカリブ海が圧倒的な人気となっています。
前出のカーニバル・クルーズ・ラインの1番目の船「マーディグラ」を含む最初の3隻は、従来からの遠洋定期船を地中海でのクルーズに投入したものです。しかし、1982年に就航した「トロピカル」以降は、設計の段階から沢山の乗客を乗せて波の荒くないカリブ海で運行することを考えられた、いわゆる「クルーズ船(Cruise ships)」を運行しています。当時のクルーズ船は、煙突のカタチが流線型で傾斜していることから「くじらのしっぽ(Whale tail)」と呼ばれ、今日の典型的なスタイルを確立しました。
現在、世界で運行されている超大型の遠洋定期船は、カーニバルの子会社であるキューナードが、主にニューヨークとサウスハンプトンの間で運行している「クイーン・メリー2」のみです。その特徴は、北大西洋の荒波に揉まれても大丈夫なように、船底がV字型で特別の補強がされていることに加え、船足が速いという点にあります。それ以外の世界の超大型船は、すべてクルーズ船に分類されます。
クルーズ産業は、新型コロナの感染拡大までは安定的に成長!
クルーズ船の大型化により料金が低下し、乗客数は右肩上がりに
クルーズ産業は、2020年に新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われるまで安定的に成長してきました。この産業の特徴は「自ら需要を創出できる」点にあります。具体的には、スケールの大きな新型船を建造すれば、キャパシティの増加に合わせて不思議と需要もどんどん増えるのです。
クルーズ船は、大型になればなるほど乗客当たりの運行コストが下がるため、利益を出しやすくなって料金も安く設定することが可能になります。クルーズ船の大型化とそれに伴う料金の低下は、クルーズの大衆化の大きな原動力となりました。その結果、世界のクルーズ乗客数は右肩上がりに伸び、2019年の乗客数は2970万人に達しました。
2020年は新型コロナウイルスで世界の主要クルーズ船がすべて運行をストップしたため、乗客数は激減しています。
なお、業界最大手はカーニバル(ティッカーシンボル:CCL)で、第2位はロイヤル・カリビアン(ティッカーシンボル:RCL)、第3位はノーウェジアン・クルーズ・ライン(ティッカーシンボル:NCLH)です。
業界最大手の3社は順調に運行再開を進めており、
今年冬から来年にかけての予約状況も絶好調に!
クルーズの乗客はアメリカ人が多いのですが、米国の疾病予防管理センター(CDC)がクルーズの再開になかなかOKを出さなかった関係で、欧州に比べて米国発のクルーズは再開が遅れています。
しかし、今年冬から来年にかけての予約状況は、カーニバル、ロイヤル・カリビアン、ノーウェジアン・クルーズ・ラインの3社とも絶好調です。
このうちロイヤル・カリビアンが最も早く運行を再開しており、現在までに36隻所有しているクルーズ船の60%が営業をはじめ、年末までに80%が営業を再開する見通しです。他社もそれに追従し、今後、順次運行を再開する予定です。
カーニバルは7月から地中海やドイツでクルーズを再開したことに加え、8月1日には「マジェスティック・プリンセス」がアラスカ周遊クルーズを完了しました。
ノーウェジアン・クルーズ・ラインは先週、シアトル−アラスカ間のクルーズを再開することで北米でのクルーズ再開の火蓋を切りました。今後も順次運行を再開し、年末までに全クルーズ船の70%を再就航させる考えです。
このように大手3社のクルーズ船は、そろって稼働しはじめています。
【今週のまとめ】
デルタ変異種のまん延により下落中の「クルーズ船」関連銘柄だが、
運行の再開により株価の見直しが期待できる!
新型コロナウイルスのデルタ変異種がまん延しているというニュースで、「クルーズ船」関連銘柄は軟調に推移しています。しかし、カーニバル、ロイヤル・カリビアン、ノーウェジアン・クルーズ・ラインというクルーズ船の最大手3社は、ともに防疫対策に力を入れつつクルーズを再開し始めています。その結果、各社の予約状況はきわめて好調です。
今後、運行の再開が進むとともに「クルーズ船」関連銘柄が見直されることが予想されるので、チェックしておきましょう。
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カーニバル(CCL)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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ロイヤル・カリビアン(RCL)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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ノーウェジアン・クルーズ・ライン(NCLH)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます拡大画像表示
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