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米国の金融市場は、11月10日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)が市場予想以上に上昇したことを受けて、インフレが加速することに怯えており、株式市場にも影響が出ています。
しかし「急激でコントロール不能なインフレ」は流石に株式に悪材料ですが、「緩やかでコントロール可能なインフレ」は好材料です。というのは、株式は「インフレヘッジ」の手段のひとつだからです。
パウエルFRB議長は「インフレ進行は想定より長引いているが、いずれ巡航速度の2%台に収斂するので“一過性”である」とのスタンスを堅持しています。一方、米国の債券市場は、2022年後半までインフレが継続するとの懸念を強めており、FRBと市場との間にややギャップが生じているようです。このギャップが、米国の株式市場の上値圧迫の要因となっているようです。
米国では、長期金利上昇の影響でハイテク株を中心に株式が下落!
ただ、ハト派的な金融政策が継続される限り大きく崩れるリスクは少ない
エネルギー価格の高騰や中古車、家賃などの値上がりを主因に、11月10日発表の10月の米国のCPI(消費者物価指数)は前年同月比6.2%上昇し、1990年以来の高さでした。前月比でも0.9%上昇と9月の0.4%から加速し、市場予想の0.6%も超えました。
また、11月15日にニューヨーク連銀が発表した11月の製造業景況指数は30.9と市場予想の22.0以上に改善したものの、個別項目では「価格」が上昇し、市場のインフレ懸念が強まりました。
このような状況下、11月15日のNYダウは小幅反落し、前週末比12.86ドル安の3万6087.45ドルでした。ナスダック総合株価指数は3日ぶりに小反落し、同7.112ポイント安の1万5853.846ポイントでした。
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この日は、米国の長期金利が上昇したことが嫌気され、高PERのハイテク株の一角が売られました。今後も、米国の株式市場は、長期金利の動向に対して、特にハイテク株が神経質に反応し続けそうです。
また、米国のミシガン大学が11月12日に発表した11月の消費者態度指数は、66.8と前月から4.9ポイント低下して10年ぶりの低水準となり、市場予想の72.5も大幅に下回りました。また、消費者の4人に1人がインフレによる生活水準の低下を指摘したとのことです。
このため、消費意欲が盛り上がる11月末~12月末の「ホリデーシーズン」において、米国の小売業の売上高が2020年に比べて低調に終わるリスクは意識しておく必要があるでしょう。ですが、仮にそうなったとしても、FRBがハト派的な金融政策を続ける限り、米国株が大きく崩れる可能性は低いと見ています。
また、 バイデン大統領が11月15日、1兆ドル規模のインフラ投資法案に署名したことで、法案が成立しました。この法案は、橋や道路など老朽化したインフラを刷新するほか、高速通信網を整備し、雇用の創出を目指すものです。この積極的な財政出動も、長期間に渡って米国の景気と株式市場を力強く支える見通しです。
子どもへの給付金や「GoToイート」などの支援事業が、
日本の景気と株式市場を下支えすることに期待!
一方、国内では、政府が新たな経済対策を11月19日に決定します。18歳以下の子どもを対象とする10万円相当の給付や、売り上げが減少した事業者に最大250万円を支給する給付金制度などの押し上げ効果で、財政支出は40兆円を超える見通しです。
なお、飲食店の需要喚起策である「GoToイート」事業や「GoToイベント」「GoTo商店街」といった支援事業は、感染状況を踏まえながら来年の大型連休ごろまで実施されるようです。
一方、「GoToトラベル」については、自民党の会議で、早期の再開を推す声と慎重論の両方の意見が出されたそうです。「バラマキ色」の強い経済対策で市場での評判もよくないとはいえ、これはこれで日本の景気と株式市場を下支えすることでしょう。
東証マザーズ指数は堅調に推移しているが、
新興市場を中心とした小型株は「年末の節税売り」に注意!
ところで、11月16日の日経平均株価は、前日比30.32円(0.11%)高の2万9808.12円と4日続伸しました。テクニカル的には、5日移動平均線(16日現在2万9515.91円)、25日移動平均線(同2万9138.55円)、75日移動平均線(同2万8796.54円)、200日移動平均線(同2万8907.22円)のすべてを上回っています。つまり、短期・中期・長期の上昇トレンドが発生していると認識しています。今後の投資方針に関しては、「25日移動平均線を終値で割り込むまでは強気一択」をおすすめします。
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一方、11月16日の東証マザーズ指数は、前週末比15.29ポイント(1.32%)高の1175.73ポイントと大幅に続伸しました。こちらも5日移動平均線(16日現在1140.92ポイント)、25日移動平均線(同1124.02ポイント)、75日移動平均線(同1112.71ポイント)、200日移動平均線(同1163.49ポイント)のすべてを上回っています。
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東証マザーズ指数は、9月16日の大幅安で200日移動平均線を割り込んで以降、ずっと同線を下回って推移していましたが、11月16日にようやく突破してきました。今後、終値ベースで200日移動平均線を安定的に上回って推移するようなら、日経平均株価と同様に、短期・中期・長期の上昇トレンドが発生すると考えます。そのケースでの投資方針は、やはり「25日移動平均線を終値で割り込むまでは強気一択」をおすすめします。
ただし、新興市場を中心とした小型株は個人投資家の関与率が高いため、年末の節税売りを浴びやすい銘柄を避けましょう。つまり、年内の実現益を圧縮するための「見切り(損切り)売り」が出やすいと思われる「チャートが悪化した“弱い銘柄”」は決して触らないようにしましょう。
狙うべきは「現在の株価が年初来高値や上場来高値圏で推移している“強い銘柄”」です。さらに、好業績銘柄に狙いを絞りましょう。3月決算企業の第2四半期の業績発表は11月12日でほぼ一巡しました。発表された決算短信や資料を参考に、好業績が見込める銘柄を発掘し、積極的に投資していきましょう。
「ハロウィンシーズンから春にかけて株価が上がる」
というアノマリーにも期待しつつ、積極的に株式市場へ参加しよう!
株式市場の有名なアノマリーに「ハロウィン効果」があります。これは「毎年ハロウィンの時期に株価が安くなり、その後、春に向けて株価が上昇する傾向にある」というものです。
ちなみに、2021年のハロウィンは10月31日の日曜日で、日経平均株価の直近安値は10月29日金曜日の2万8475.06円でした。今年から来年春にかけて、この「ハロウィン効果」が成立することを、期待を込めて祈っています。
とにかく、当面の日本株に関しては「強気一択」で臨むことを強くおすすめします。ただし、環境が急変して日経平均株価や東証マザーズ指数が25日移動平均線を割り込んだら「脱兎の如く市場が逃げ出すべき」ということは、しっかり覚えておきましょう。それまでは、株式市場への積極参加で、投資収益の獲得に邁進してください。
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