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前回当コラムでは「今後に関しては、75日移動平均線と200日移動平均線を上回っている限り、日本株については『強気一択』で良いと見ています」と書きました。
しかしながら、前週末11月26日、日米の株式市場は「コロナ・ショック(オミクロン・ショック)」に見舞われました。その結果、11月26日に日経平均株価は急落し、75日移動平均線と200日移動平均線をともに下回ってしまいました。当然、今後のシナリオや投資戦略には変更が必要です。
「オミクロン・ショック」により世界中の株価が急落!
各国の入国制限の強化により、経済回復が遅れるとの見方が強まる
11月26日の日経平均株価の終値は、前日比747.66円(2.53%)安の2万8751.62円と大幅に反落し、10月29日以来およそ1カ月ぶりに終値で2万9000円の大台を割り込みました。下げ幅は6月21日以来、約5カ月ぶりの大きさで、今年4番目となります。
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この大幅安の主因は、11月26日早朝に南アフリカ共和国で新型コロナウイルスの新しい変異株(オミクロン型)が検出されたと伝わったことで、リスクオフムードが強まり、売りが売りを呼ぶ展開となったからです。ちなみに、WHOは26日、オミクロン型を最も警戒レベルが高い「懸念される変異型(VOC)」に分類しました。
オミクロン型が見つかったことで、英国やドイツは相次いで南アフリカ共和国などからの渡航制限を表明するなど、世界各国で行動制限が強化され、世界経済の回復が遅れるとの見方が強まったことで株式が売られました。
11月26日のNYダウは大幅に下落し、前営業日の24日終値比で905.04ドル(2.53%)安の3万4899.34ドルとなりました。下げ幅、下落率ともに今年最大でした。また、ナスダック総合株価指数も反落し、同353.569ポイント(2.23%)安の15491.657ポイントとなりました。
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なお、11月26日は、感謝祭(25日)の翌日にあたり、米国の株式市場は午後1時までの短縮取引でした。
「オミクロン型」に対して過度に神経質になる必要はないが、
短期的に世界の株式市場は値動きの激しい状態が続く
オミクロン型の確認をきっかけに、投資家のリスク選好姿勢が大幅に後退した最大の理由は、各国が打ち出した入国制限が世界景気回復の足かせになりかねないからです。
そして我が国でも、政府は、これまで例外的に認めてきたビジネス目的の滞在者や留学生などの日本への入国を全面的に停止し、11月30日午前0時より、全世界からの外国人の新規入国を原則停止しました。
これはオミクロン型についての情報がある程度明らかになるまでの、念のための臨時・異例の措置です。そうは言っても、オミクロン型についての情報がある程度明らかになるまでは経済の正常化が見込めないため、日本株は不安定な動きを続けることになるのでしょう。
ただし、11月29日、岸田首相は「オミクロン株に関する水際対策等についての会見」を行い、「我が国はG7の中でも最高のワクチン接種率、かつ2回目接種から最も日が浅い状況にあります」と述べました。
また、ブルームバーグは11月30日に「オミクロン株が存在する可能性を最初に指摘した南アフリカ共和国の医師、アンジェリク・クッツェー氏は、この変異株の患者が示す症状はデルタ変異株の患者に比べ軽度だと語った。同国の科学者らによると、オミクロンは他の変異株に比べ感染力が強い様子だが、既存のワクチンに重症化や死亡を防ぐ効果は十分にある可能性が高い」と報じています。
さらに、日経新聞Web版は11月30日、「米ファイザーと独ビオンテックは100日以内にオミクロン型に対応したワクチンを出荷することが可能としているほか、米モデルナも対応するワクチンの開発を始めている」と伝えました。
したがって、現時点では、オミクロン型の感染拡大による世界経済への悪影響に対して、過度に神経質になる必要はないでしょう。とはいえ、オミクロン型の感染拡大懸念が残る状況では、短期的には世界の株式市場はボラタイルな動きを続け、落ち着きどころを探す見通しです。
このような状況を踏まえ、今後の投資戦略に関しては、日経平均株価が少なくとも75日移動平均線と200日移動平均線の両線を上回ってくるまでは「慎重な運用スタンス」で相場に臨むべきです。両線を上回るまでは、資金管理を厳格にして、仮に相場が想定外の下落に見舞われたとしても、一発退場とならないように用心することをおすすめします。ただし、両線を上抜いたら、即座に「強気転換」しましょう。
12月の「IPOラッシュ」は受給面での悪材料に!
年内はチャートが良好な「強い銘柄」に集中しよう
ところで、12月にIPO(新規株式公開)する企業数は33社と、単月では1991年11月以来30年ぶりの高水準となる見通しです。
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相場が活況で個人投資家の活性度が高い状況なら問題ありません。しかし、個人投資家の関与率の高い東証マザーズ指数が低迷している現状で、この「IPOラッシュ」は需給面で相当な悪材料と認識しています。
今後、多くの個人投資家が、IPO銘柄の購入資金を新規資金ではなく、保有株式の売却によって捻出する可能性が高いと考えるからです。持株の株価がどんどん上がっている状況なら、銀行口座から証券口座に喜んで資金を移すでしょう。しかし、現状はまったくそんな状況ではありませんから……。
実際、11月30日の東証マザーズ指数は前週末比24.79ポイント(2.26%)安の1070.99ポイントまで急落し、5日続落となりました。5日移動平均線(30日現在1115.35ポイント)、25日移動平均線(同1132.17ポイント)、75日移動平均線(同1119.36ポイント)、そして、200日移動平均線(同1158.21ポイント)をすべて下回っています。短期・中期の下落トレンドが発生中と認識しています。
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また、「マザーズ銘柄の信用評価損益率(松井証券店内)」よれば、11月29日のマザーズ信用買い評価損益率はマイナス23.34%とのことです。おそらく、マザーズ銘柄などの中小型株を信用買い建てしている口座では「追証ラッシュ」になっているはずです。
「IPOラッシュ」と「追証ラッシュ」を考慮すると、信用買い残が積み上がり、チャートが悪化している(例えば、株価が25日移動平均線を下回っている)中小型株は、少なくとも年内はアンタッチャブルです。
現在触っていいのは、信用買い残が少なく、チャートが良好な(例えば、株価が25日移動平均線を上回っている、現在の株価が年初来・上場来高値圏で推移している)銘柄だけです。
とにかく、師走相場は、強い銘柄だけを触るようにして、順張りに徹し、上手に収益の獲得に邁進してください。
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