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2022年の株式市場は、利上げが行われることで
「金融相場」から「業績相場」へと移行!
2022年の株式市場は、「金融相場」から「業績相場」へと移行する年になると思います。なぜなら、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が、3月をメドに量的緩和政策を手仕舞い、利上げへと移行していくからです。なお、米国の政策金利であるフェデラルファンズ・レートは、3回前後引き上げられて「1.00%」になると思われます。
ここで大事なのは「利上げ=相場の終わり」を意味しないということです。そもそも利上げするということは経済が強いということを意味し、利上げのもたらすマイナス面を補って余りあるほど業績が伸びれば利上げは怖くないのです。
ところが、米国には赤字会社がゴロゴロあります。特に近年に新規株式公開(IPO)された企業は、まだ黒字転換してないところが多いです。中央銀行が利上げに転じると、こうした赤字会社に対する投資家の目は、途端に厳しくなります。
単に「投資ストーリーがエキサイティング」だとか「投資テーマが目新しい」というだけでは、投資家の心は躍らなくなっています。トム・クルーズが主演した映画『ザ・エージェント』の中に、「Show me the money!(お金を見せろ)」というセリフが出てくる名シーンがありますが、このセリフほど、現在のアメリカ人の心象風景を表す言葉はないと思います。
金利が上がった市場では赤字会社に対する目線は厳しくなり、
「将来的な成長性」ではなく「今稼いでいるのか」が重要に!
アメリカ人は今、より条件の良い職場を求めてガンガン転職しています。「大いなる退職時代(The Great Resignation)」という言葉が、流行語になっているくらいです。
米国では、どんどん転職ができて強い立場にいる求職者は高い給料を手にできますが、その一方で、今の会社にしがみつくのが精一杯の社員は昇給にありつけないケースが多いです。2022年の株式市場では、これと同じことが起こると私は予想しています。つまり「今この瞬間に、この企業はガンガン稼いでいるのか?」という点を投資家が重視するということです。
金利が上るということは「貨幣の時間価値(Time Value of Money)」がどんどんエスカレートすることを意味するため、「遠い将来には、ちゃんと黒字にしてみせます!」というような空虚な約束には誰も耳を貸さなくなるのです。
実際、今ガンガン儲けている会社がそこら中にゴロゴロしているなかで、何が悲しくて赤字会社に操を立てる必要があるのでしょうか。グロース株、なかでもべらぼうなバリュエーションで取引されている株に対して、私が悲観的な理由はここにあります。
この点を踏まえた私の「2022年のイチオシ銘柄」は、次の2つです。
【2022年のイチオシ銘柄】
◆ヴァーテックス・ファーマシューティカルズ(ティッカーシンボル:VRTX)
◆ジャズ・ファーマシューティカルズ(ティッカーシンボル:JAZZ)
【ヴァーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)】
嚢胞性線維症の治療薬の分野で独走状態!
ヴァーテックス・ファーマシューティカルズ(Vertex Pharmaceuticals、ティッカーシンボル:VRTX)は、日本人には馴染みの薄い「嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)」と呼ばれる病気の治療薬を手掛ける製薬会社です。嚢胞性線維症は「CF症」とも呼ばれます。
嚢胞性線維症は、身体から分泌されるいろいろな体液がネバネバになり、気管支や消化管などの菅腔が閉塞しやすくなる病気で、細菌に感染しやすくなる、手がむくんだようになるなどの症状が現れます。嚢胞性線維症が酷くなると、膵炎(すいえん)や胆石(たんせき)、肝硬変(かんこうへん)をきたします。また、嚢胞性線維症は白人、とりわけユダヤ人に多い病気だと言われています。
ヴァーテックスは、「トライカフタ(Trikafta)」と呼ばれる嚢胞性線維症の治療薬を販売しています。嚢胞性線維症の治療薬の分野はライバル企業が少なく、ヴァーテックスは今後の改良版を準備している点でも他社を寄せ付けない独走状態に入っています。実際、嚢胞性線維症の治療薬だけで74億〜75億ドルもの年間売上高を見込んでいます。
また、鎌状赤血球症(異常ヘモグロビン症)と呼ばれる黒人に生じる慢性溶血性貧血に対し、ヴァーテックスは「CTX001」という新薬を開発中で、現在、第三相臨床試験中です。
なお「CTX001」は、地中海性貧血とも呼ばれ、地中海沿岸地方の人々に多く見られる「ベータ・サラセミア(グロビン遺伝子異常による貧血)」という疾病に対する治療薬としても、第三相臨床試験中です。
ウォール街のアナリストは、ヴァーテックスが2022年にEPS(1株当たり利益)で13.56ドルを稼ぐと予想しています。それを2021年末時点の株価(219.60ドル)で割算すると、PER(株価収益率)は16.2倍になります。
⇒ヴァーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)の最新株価・チャートはこちら!
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【ジャズ・ファーマシューティカルズ(JAZZ)】
ナルコレプシー治療薬など、新薬を次々に開発
ジャズ・ファーマシューティカルズ(Jazz Pharmaceuticals、ティッカーシンボル:JAZZ)は、ナルコレプシーと呼ばれる「居眠り病」の治療薬「ザイウェーブ(Xywav)」を販売しています。
「ザイウェーブ(Xywav)」は現在、1.6万人余りに投与されています。承認されてまだ日が浅い薬なのですが、すでにナルコレプシーの治療薬として他を圧倒する定番商品になっています。
肺小細胞癌の治療薬「ゼプゼルカ(Zepzelca)」も急速に売上高を伸ばしています。また、「ライレーズ(Rylaze)」という、大腸菌由来アスパラギナーゼにアレルギーのある急性リンパ芽球性白血病の治療薬も扱っています。
さらに、ジャズ・ファーマシューティカルズは2021年の春、英国のGWファーマシューティカルズという会社を買収しました。この買収により、子供のてんかんの薬「エピディオレックス(Epidiolex)」を手に入れました。
このほか、米国に200万人の患者がいると言われている本態性振戦(ほんたいせいしんせん)の治療薬「JZP385」とPTSD治療薬「JZP150」が、どちらも第二相臨床試験中です。
アナリストのコンセンサス予想では、ジャズ・ファーマシューティカルズは2022年に1株当たり利益(EPS)で17.49ドルを稼ぐと予想されており、2021年末時点の株価(127.40ドル)をそれで割算するとPERは7.3倍になります。
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【今週のまとめ】
利上げの年となる2022年の米国市場では、
「好業績」の製薬会社2社に注目!
2022年は利上げの年になります。金利が上昇するということは貨幣の時間価値がエスカレートすることを意味し、「今きちんと儲けているの?」ということの重要性が増します。
その点、ヴァーテックス・ファーマシューティカルズとジャズ・ファーマシューティカルズはどちらも今ガンガン儲けている企業なので、おすすめです。
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