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株価チャートの形だけで売買タイミングがわかる!ネット証券の便利なツールや分析レポートを使って、タイミングよく株の銘柄を探す方法とは?ネット証券を活用した株の初心者入門講座(5)

2015年10月1日公開(2022年3月29日更新)
久保田正伸
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銘柄のトレンドを自動判定するツール

 「現在、自分の保有銘柄はどんなトレンドにあるのか」「上昇トレンドが来ている銘柄を探したい」といった場合に便利なネット証券のツールを紹介しましょう。

 「チャートフォリオ(チャート形状銘柄検索)」は、現在の状況を認識して、25種類のチャート形状からひとつの形状を選び出します。SBI証券松井証券マネックス証券で利用できる情報ツールです。

 ある銘柄の現在のトレンドを知りたい場合には、期間を指定して銘柄コードを入力するだけです【図表5】。

【図表5】松井証券で利用できる「チャートフォリオ」(9月16日時点)
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 【図表5】では【図表3】と同じトヨタ自動車(7203)のチャート形状を判定しています。松井証券のチャートフォリオの場合、期間指定を「日足:1カ月」~「週足:2年半」まで5種類に設定変更できますから、すべての期間でチェックしてみるといいでしょう。「日足:1カ月」では「下げとまった?」という判定ですが、「週足:2年半」では「上昇ストップ?」という判定になっています。これは期間の取り方によって、チャートの形が変わるためです。

 【図表5】では「下げとまった?」というチャート形状が1448銘柄で、もっとも銘柄数が多い状況がわかります。相場全体が下げ相場だと把握できます。

 また、こんなに下げ真っ盛りの相場でも「上昇基調」「強含み」「上昇?」など上昇トレンドに分類される銘柄も、少ないながらもあることもわかります。チャート形状をクリックすれば、具体的な銘柄が表示されます。

 一方、トレンドが出ていない銘柄を探したい場合もありますので一例を紹介しましょう。3月末、9月末は多くの銘柄の配当や優待の権利が取れる日が集中しています。

 そこで、証券各社のレポートなどでも好業績・好配当銘柄などがたくさん掲載されます。しかし、実際にはそういった銘柄を3月末、9月末が近づいてから買おうとすると、人気が集中して、株価が高騰している場合があります。

 そこで、レポートで紹介された高配当銘柄をまとめてチャートフォリオでチェックして、株価が「もみあい」「弱含み」などの銘柄を抜き出します。すでに人気が集中している銘柄を除外するのです。こういった銘柄を買えば、株価が上昇しなくても高配当が得られますし、購入した後に株価が上昇すれば値上がり益が狙えるわけです。

 ただし、値上がり益と高配当の両方狙おうと欲を出しすぎると、配当権利取り日の翌日には株価が急落し、「二兎を追う者は一兎をも得ず」になってしまうかもしれません。

*チャートフォリオが使える証券会社
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(※クリックで公式サイトへ)

このチャート型を見たらチャンス到来!?

 チャートには、売買のポイントや多くの投資家が注目しているポイントがあります。ぜひ覚えておきましょう。ここでは4つのパターン(押し目、ゴールデンクロス、ダブルトップ、窓)を紹介します【図表6】。

【図表6】チャートの節目。左上:上昇トレンドの押し目。左上:移動平均線のゴールデンクロス。左下:ダブルトップ。右下:窓(ギャップアップ)。マネックス証券の取引ツール「新マネックストレーダー」で表示
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・買いや売りの目安~押し目・戻し(戻り)

 【図表6】の画面左上、上昇トレンドの中でも少し安くなったところを「押し目」と言います。反対に下降トレンドでいったん小高くなったところを「戻し(戻り)」と言います。

 上昇波動でもアゲアゲのてっぺんで買うと高値づかみになりがちです。じっとこらえて押し目の到来を待てば、お得な買い物ができるかもしれません。こういった買い方を「押し目買い」と言います。

 押し目には「押し目待ちに押し目なし」という相場格言があります。上昇トレンドが強いと押し目を作らないことがあります。押し目を待っていると、えてして買えずに利益のチャンスを逃してしまう、という「投資あるある」話でした。

・上げ(下げ)止まり~ダブルトップ・ダブルボトム

 【図表6】の左下がダブルトップで、天井がふたつ完成しました。最初に上昇し、押し目を作って2度目に高値にトライしましたが、失敗し、押し目の価格(ネックライン)を割り込んだ状態です。これは「上昇の頭打ち」を意味しています。天井に3度トライして失敗するケースもあり、その場合「トリプルトップ」となります。

 反対に底値付近で下げに2回トライしても下抜けず、「下げ止まり」になるケースがダブルボトム(3度底にトライすれば「トリプルボトム」)です。

 ダブルトップについて「上昇の頭打ち」と書きましたが、かといって「売り」とは必ずしも言えません。ダブルトップができた時点では上昇に失敗して、短期的に急落が起きるかもしれません。しかし、上昇力が強ければ再度高値トライになるかもしれませんし、そのまま失速して下げの流れが始まるケースもあります。

・強いトレンドの証明~窓(ギャップアップ、ギャップダウン)

 【図表6】の右下の銘柄(川西倉庫:9322)は、チャートの中に大きく空間が空いている部分があります。これを「窓(ギャップ)」と言います。そして、窓を開けた上昇を「ギャップアップ」、下落を「ギャップダウン」と言います。

 窓の価格帯では、取引が行われず株価が一気に飛んでいますが、この場合「ストップ高」で売買不成立となったために起きた現象でした。

 ギャップアップは上昇力の強さ、ギャップダウンは下落力の強さを示しています。川西倉庫の場合は、8月31日に株主優待制度導入を発表し人気が集中したことがギャップアップの原因と考えられます。

 一方、「窓埋め」という言葉もあります。ギャップアップした後、しばらくすると下落し、窓の価格帯まで下げてから再び上昇というパターンがよく見られます。窓の価格帯は取引が行われなかった価格帯ですから、多くの投資家にとって売買したポイントがありません。ですから、窓は値が一気に動きやすい価格帯とも言えます。

・買い/売りの目安~ゴールデンクロス/デッドクロス

 チャート上によく表示されるのが「移動平均線」です。【図表6】の右上のチャートでは、赤と緑、2本の移動平均線が表示されています。

 移動平均線は、一定期間の終値の平均を結んでできた線グラフです。【図表6】の場合、赤線が75(営業)日間の平均線で「75日移動平均線」といいます。緑線は「25日移動平均線」です。

 短期的な移動平均線の方が値動きに敏感に反応し、長期的な移動平均線は緩やかな動きとなります。

 移動平均線の読み取り方のひとつが「トレンドを見ること」です。相場の流れを読む場合、一般的には少し長めの移動平均線を見ます。

 日足でよく使われる移動平均線は、5日、25日、75日などです。株式ニュースでアナリストが「株価が下落していますが、200日移動平均線が下支えになりそうです」などと解説していることがあります。このように200日とか、13週、26週といった長期的な移動平均線も使われます。長期的なトレンドが崩れていないかを確認しようとしているのです。

 また、移動平均線は、市場参加者の平均コストを意味しています。たとえば、25日移動平均線よりも株価が上にある場合、過去25日間にその株を買って保有している投資家はみんな含み益があります。反対にラインの下に株価があるならば、投資家は含み損を抱えていることになります。

 【図表6】右上、日本化学工業 (4092)の場合、75日移動平均線では、ラインが横ばいですが、25日移動平均線ではラインが上向き始めていますから、上昇トレンドが出始めた可能性があります。短期線は長期線よりも株価に敏感に反応しますから、その時点で買えば、長期線を使うよりも値幅が取れることになります。

 たとえば、株価が5日移動平均線の上に出たら買い、下に下がったら売る、といった具合です。ただし、短期的な移動平均線は、株価に反応しやすいですから、たまたま株価が上ブレした場合に買って、結局、トレンドが出ず(これを「ダマシ」と言います)、損失につながることもあります。

 一方、長期的な線を利用して売買をすれば、ダマシにはあいにくいですが利益の値幅が小さくなってしまいます。短期的な線で売買すればダマシにあいやすいジレンマに陥ります。

 そこで、長期と短期、2本の移動平均線を利用して売買のポイントを探る方法があります。それが、長期線を短期線が上抜く「ゴールデンクロス」(買いのサイン)とその逆パターンである「デッドクロス」(売りのサイン)です。

 長期線が上向いていることで上昇トレンドを確認し、その中で短期線が長期線を上回るのを確認してから買えば、「押し目買い」のタイミングがつかめることになります。

 とはいえ、移動平均線のクロスも、実際には何日の移動平均線を使うべきか、銘柄やその時のトレンドの強さによっても異なります。ネット証券のチャートツールでは、一般的に移動平均の日数(変数)を設定変更ができますから、自分なりに使い方のコツを見つけてほしいと思います。

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