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5月18日のNYダウは3日続伸し、前週末比911.95ドル高の2万4597.37ドルと、4月29日の2万4633.86ドル以来の高値で取引を終えました。また、ナスダック総合株価指数は同220.268ポイント高の9234.828ポイントと、2月21日の9576.590ポイント以来ほぼ3カ月ぶりの高値でした。
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この日は、米国のバイオ医薬ベンチャーのモデルナ(MRNA)が、開発中の新型コロナウイルスワクチンの初期の治験結果が有望だったと発表したことに加え、NY原油先物相場が3日続伸し、WTI期近の6月物が前週末比2.39ドル高の1バレル31.82ドルと、30ドル大台を回復したことが買い材料になりました。
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原油価格の下落に歯止めがかかったことで、
産油国の財政が悪化して「世界的株安」を招くリスクが遠のく
モデルナのワクチンは、異なる量を投与した45人の治験参加者の全員で抗体の獲得を確認できたということです。そして、7月には数千人規模が参加する最終段階の治験に移行し、早期の量産を目指すそうです。
ちなみに、パウエルFRB議長は、5月17日、「米国経済の完全復活には国民が十分な信頼感を持つことが必要になろう。それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」と語っています。
モデルナの発表を受けた市場では、ワクチンが早期開発され、上手くいけば、経済活動の再開拡大に伴って、新型コロナの感染者数が再び増加する「感染第2波」のリスクが低下するとの期待が高まりました。
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一方、原油先物価格の上昇については、原油需要の回復と、さらなる減産効果が寄与しているようです。実需に関しては、経済活動を再開した中国で原油需要が増えたとの見方が強まっています。また、米国では多くの州が経済活動の再開を決め、外出制限の緩和が広がっているため、米国の原油需要も持ち直すとの期待が高まっています。
なお、国際エネルギー機関(IEA)が5月14日に発表した月報で、2020年の石油需要予測を日量860万バレル減と、従来予想から70万バレル引き上げています。そして、サウジアラビアは11日、日量100万バレルの追加減産を6月から始めると発表しました。
原油価格の下落に歯止めがかかったことで、当面は「原油価格下落⇒産油国の財政悪化⇒産油国のリスク資産売却(財政赤字穴埋め)⇒資産デフレ(世界的株安)」という負のサイクルの発生可能性は遠のいたと見ていいでしょう。これは当然、世界の株式市場にとっての好材料です。
米中の対立激化により、米国はファーウェイへの禁輸措置を強化!
中国による米国企業への規制が強まる可能性も
ただし、足元で、米中の対立がやや激化している点は気掛かりです。5月13日、中国に批判的な姿勢を強めるトランプ政権の意向を反映し、米国の連邦職員向けの年金基金を運営する連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)は、中国株への投資を延期すると発表しました。また、14日朝に放送されたFOXビジネスとのインタビューでは、トランプ大統領は、中国の習近平国家主席について「いまは話をしたくない」「中国と完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか思案している」と述べたそうです。
そして、5月15日、米商務省は、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に対する事実上の禁輸措置を強化すると発表しました。それにより、米国製の半導体製造装置を使っていれば、米国外で製造した半導体であってもファーウェイに輸出できなくなります。この措置の影響で、半導体受託生産の世界最大手である台湾積体電路製造(TSMC)は、ファーウェイからの新規受注を止めたそうです。すでに受注済みの分は9月中旬までは通常通り出荷できますが、それ以外は輸出に際して米国の許可が必要になるということです。
このような米国の強硬な措置に対して、中国が導入する可能性がある措置として、アップル(AAPL)、シスコシステムズ(CSCO)、クアルコム(QCOM)などの米国企業に対する調査開始や規制導入のほか、ボーイング(BA)からの購入停止などが挙げられるとしているそうです。
今後も、このような両国の激しい非難や報復合戦がヒートアップするようだと、投資家のマインドを冷やすことが危惧されます。
今年11月に予定されている大統領選挙を控えて、トランプ政権と共和党は「中国叩き」が得票につながると見て強硬姿勢に傾斜している様子が窺えます。そして、今回の大統領選挙を中国に対する国民投票にする可能性が高そうです。ちなみに、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが4月21日に発表した研究によれば、米国人の中で中国に対して好意的ではない印象を持っている人の割合は過去最高の「66%」だったそうです。
このため、今後も、トランプ大統領の対中国への過激な口撃(トランプ砲)は継続するでしょう。そして、それは世界の金融市場を一時的に揺さぶるかもしれません。
その一方で、市場が動揺する場面では、FRBによるさらなる追加緩和(パウエル・プット)が期待できるとみています。また、米国のさらなる景気悪化の見通しが強まれば、中国への激しい非難を継続する一方で、トランプ大統領も米議会も追加の財政出動を躊躇せず実行するはずです。このため、米中の対立は短期的な影響はともかく、中長期的な米国株の下落につながるとは見ていません。
日経平均株価は「短期の上昇トレンド」と
「中長期の下落トレンド」が継続中!
最後に、日経平均株価に関しては、1月17日の2万4115.95円からの下落は3月19日の1万6358.19円で底打ちし、現在は順調にリバウンドしている状況との見方に変更はありません。
5月18日の終値は2万133.73円で、25日移動平均線(18日現在1万9709.12円)を上回っており、「短期の上昇トレンド」が発生中と認識しています。一方、75日移動平均線(同2万528.10円)、100日移動平均線(同2万1353.86円)、200日移動平均線(同2万1681.60円)をすべて下回っているため、「中長期の下落トレンド」が継続中と見ています。
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5月19日には、一時75日移動平均線を突破したものの、終値では再び割り込んでしまいました。今後、75日移動平均線を終値で安定して上回って推移することができれば、まずは200日移動平均線付近までの戻りが期待できると考えています。
その一方、75日移動平均線を上抜けることができないようなら、25日移動平均線と75日移動平均線とに挟まれたゾーンでの「保ち合い」が継続するでしょう。そして、万が一、25日移動平均線を割り込むようだと、「深い押し」を覚悟するべきだと考えています。
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