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現在、世界的な半導体不足が深刻化しており、これがコロナ禍によってダメージを受けた世界経済の回復にとって大きなリスク要因のひとつとなっています。
半導体不足の背景には、次世代通信網である5Gの普及やスマホの高機能化、AIやIoTといったデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進などによる需要の急拡大があります。また、自動車のEV(電気自動車)化や自動運転機能の進化より、1台の自動車に必要とされる半導体の搭載数が従来と比べて大きく増加していることも要因のひとつとして挙げられます。
さらに、ワクチン接種の進捗により経済活動が正常化に向かって動き出し、落ち込んでいた半導体需要が一気に回復したことも、供給体制のひっ迫につながっているようです。
こうした半導体不足の影響により、世界中の製造業が減産や生産停止に追い込まれています。例えば、トヨタ自動車(7203)は8月19日、9月の世界生産台数を4割減らすことを発表し、大きなニュースとなりました。この減産は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う部品調達の停滞が主因として挙げられていますが、半導体の供給不足も影響しているとのことです。
また、テレワーク推進によって需要が伸びているパソコンについても生産が追いつかず、価格上昇につながっているようです。同様に、冷蔵庫、エアコンといった幅広い白物家電についても半導体不足に伴う値上げが警戒されており、景気回復の重荷になるのではないかと不安視されています。
「積層セラミックコンデンサ」の供給不安も高まるなか、
トップメーカーが新型コロナの影響で一時生産停止に!
需給がひっ迫しているのは半導体だけではありません。最近では、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響により、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の供給も不安視されています。
積層セラミックコンデンサは、半導体と同じくあらゆる電子機器に使われる部品で、近年、需要が急速に拡大しています。例えば、5G対応のスマホは、従来品と比較して5倍以上の積層セラミックコンデンサが搭載されているそうです。また、自動車に関しても、EVは従来のガソリン車の2倍以上の積層セラミックコンデンサが必要となります。
こうした需要増加を背景に、ここ数年、世界的に積層セラミックコンデンサの供給不足の状況が続いていましたが、そこに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスです。
積層セラミックコンデンサで世界的に高いシェアを誇る村田製作所(6981)は、社内で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生したとして、8月25日から8月31日までの7日間、子会社である福井村田製作所の武生事業所の操業を停止しました。同様に、村田製作所に次ぐ大手の太陽誘電(6976)も8月10日、新型コロナウイルスの感染によりマレーシアの子会社が一部稼働を停止したこと発表しました。
両社の生産停止は一時的なものではありますが、積層セラミックコンデンサの供給に対する危機感が増したことは間違いないでしょう。
「積層セラミックコンデンサ」の製造には欠かせない
「チタン酸バリウム」のメーカーをピックアップ!
こうした状況を踏まえ、株式市場でも半導体や積層セラミックコンデンサなどの電子部品メーカーに対する関心が高まっています。本コラムでも、これまでに「半導体製造装置」「半導体材料」「GaNパワー半導体」などを投資テーマとして取り上げてきました。
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そこで今回は積層セラミックコンデンサからの派生テーマとして、「チタン酸バリウム」に注目しました。
読者の方には耳慣れない言葉かもしれませんが、「チタン酸バリウム」は積層セラミックコンデンサの製造には欠かせない素材です。投資家による物色が「半導体」や「電子部品メーカー」から、製造に必要な「素材メーカー」へ広がりを見せる展開を想定し、今回は「チタン酸バリウム」を取り上げることにしました。
具体的な銘柄としては、積層セラミックコンデンサの素材として「チタン酸バリウム」を扱っている企業をピックアップしています。
【ノリタケカンパニーリミテド(5331)】
子会社が積層セラミックコンデンサの粉体材料を手掛ける
ノリタケカンパニーリミテド(5331)は、研削・研磨などの工業機材のほか、セラミックス事業などを展開する企業。子会社の共立マテリアルが、微粒子チタン酸バリウムなどの積層セラミックコンデンサの粉体材料を手掛けています。株価は8月に入って下落していましたが、その後、リバウンドの動きを見せ、上値抵抗線として意識されていた25日・75日移動平均線を突破。直近で下落しましたが、再度のリバウンドに期待したいところです。
⇒ノリタケカンパニーリミテド(5331)の最新の株価はこちら!
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【石原産業(4028)】
酸化チタンや農薬などを主力とする化学メーカー
石原産業(4028)は、酸化チタンや農薬などを手掛ける化学メーカーで、子会社の富士チタンがチタン酸バリウムを製造しています。株価は8月半ばに急伸した後、利食いが優勢となって下落しましたが、75日移動平均線が下値支持線として機能しています。
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【戸田工業(4100)】
「EV電池」関連銘柄としても取り上げられることも
戸田工業(4100)は、酸化鉄の製造を中心とした粉体金属化合物の素材メーカーで、チタン酸バリウムも手掛けています。なお、リチウムイオン電池用の正極材料なども手掛けており、「EV電池」関連銘柄としても取り上げられることもある銘柄です。株価は8月半ばに一時調整の動きを見せましたが、中長期で見ると上昇する25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドを形成しています。
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【堺化学工業(4078)】
中期計画として「チタン酸バリウム」などへ57億円を投資
堺化学工業(4078)は、酸化チタン・亜鉛製品や電子材料、環境配慮型触媒のほか、医療機器などを手掛けています。2024年3月期までの中期経営計画では、積層セラミックコンデンサ向け材料であるチタン酸バリウムや高純度炭酸バリウムなどに57億円を投資する計画を掲げています。株価は8月6日に急伸し、その後は下落していましたが、足元では25日移動平均線を下値支持線にリバウンドの動きを見せており、直近の戻り高値となる2138円を捉えています。
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【日本化学工業(4092)】
チタン酸バリウムの生産設備が2020年4月に完成!
日本化学工業(4092)は、クロムやシリカ、リン、バリウムといった無機化学製品を扱う化学メーカーです。2019年から建設を進めていたチタン酸バリウムの生産設備が完成したことを2021年4月に発表しました。株価は8月半ばに急伸した後は利食いに押されて下落しましたが、25日移動平均線を下値支持線に再度上昇の動きを見せています。
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以上、今回は「チタン酸バリウム」の関連銘柄を5社紹介しました。
株式市場では、依然として半導体や電子部品メーカーなどへの関心が高い状況が続いています。それらに関係する素材メーカーの動きまでしっかりと押さえておくことは、物色の流れをより正確に捉えることに繋がると思いますので、ぜひ注目しておくといいでしょう。
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