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総務省は12月20日、「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」を開催することを発表しました。日本経済新聞によると、通信や電力網、GPSなどに障害を生じさせるリスクのある「太陽フレア」の発生について、企業や行政向けの新たな警報システムを検討するとのことで、2022年中の導入を目指しているようです。
太陽フレアとは太陽の表面などで起こる爆発現象のことで、太陽フレアが発生するとX線や高エネルギー粒子などが地球に向かって放射されます。通常の規模であれば地球の大気の層に遮られるため影響はほとんどないのですが、大規模な太陽フレアの場合、地球の地磁気や電離圏に大きな乱れを生じさせ、航空無線や電力網、GPSなどの社会インフラに異常を引き起こす恐れがあります。
1989年にカナダで大規模な停電が発生するなど、
「太陽フレア」の影響で甚大な被害が発生するリスクも!
総務省の資料によると、1989年3月に観測された大規模な太陽フレアでは、カナダのケベック州で大規模な停電が発生したそうです。同様に太陽フレアの影響で、2000年7月にはX線観測衛星「あすか」が制御不良になり、2003年10月にはスウェーデンや南アフリカで送電システムの障害が発生しました。
最近でも、10月29日に大規模な太陽フレアが発生しており、30日午後から31日にかけて通信衛星や放送衛星などの障害、GPSの誤差の増大、短波通信への影響などが生じる恐れがあると、情報通信研究機構(NICT)が注意喚起を行いました。もしかしたら、その期間にカーナビで自分の位置がずれていたり、短波放送が聞き取りづらくなったりしていたのかもしれません。
162年前の1859年9月には、太陽フレアによって今年10月にケベック州に大停電を引き起こしたときの約3倍もの強度の磁気嵐が観測されています。もし、この規模の磁気嵐が現代に発生していれば、全地球的な宇宙天気災害が引き起こされ、被害総額は10兆~100兆円に達しただろうと試算されていることからも、太陽フレア対策の重要度が増していることがわかります。
自動運転車や自律型ドローンの普及が進むことで、
「太陽フレア対策」の重要性は今後ますます増大!
そんな大きな被害を引き起こす可能性のある太陽フレアに対し、欧米や中国、ロシアなどではすでに対策に乗り出していますが、日本では、これまであまり問題視されていなかったように感じられます。しかし、すでに5Gや衛星通信を利用したサービスが社会に広まっており、さらに今後、自動運転車や自律型ドローンといった新技術の普及が進むことを考えると、このまま太陽フレアへの対策をなおざりにするわけにはいきません。
今回、総務省は「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」を開催し、太陽フレアの観測・分析・予測・警報の強化や、社会インフラに対する影響と対処について検討を始めることを発表しましたが、これから太陽フレア対策が官民挙げて進められていくことは間違いないでしょう。
そこで今回は、太陽フレア対策に関する投資テーマとして「電磁波障害対策」関連に注目しました。具体的には、電磁波や放射線のシールドなどを手掛ける要注目企業を選定しました。
【技研ホールディングス(1443)】
大規模な電磁波・放射線のシールド施設を提供
技研ホールディングス(1443)は、子会社の技研興業が、テクノシールド事業として大規模な電磁波や放射線のシールド施設を提供しています。さらに、電磁波による機器への影響を試験するための電波暗室や、電磁波の出入りを遮蔽するシールドルームなども手掛けています。2022年3月期は約3割の営業減益を見込んでおり、株価は下落トレンドが継続。ただし、2019年3月以来の安値水準まで下落し、PBRも0.3倍台まで低下しているので、底入れからのリバウンドに期待したいところです。
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【阿波製紙(3896)】
不要な電磁波を吸収する「CARMIX電磁波吸収体」を開発
阿波製紙(3896)は、エンジン用濾材やクラッチ板用摩擦材など自動車の動力部分に欠かすことのできない製品を手掛けるほか、海水淡水化や超純水製造に使われる分離膜支持体など、幅広い分野の機能材を手掛けています。「電磁波障害対策」関連としては、2018年に不要な電磁波を吸収する「CARMIX電磁波吸収体」を開発しました。株価は下落トレンドが継続していますが、2020年3月につけた安値344円との「二点底(ダブルボトム)」が意識されるため、上昇トレンドへの転換が期待できます。
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【三井金属エンジニアリング(1737)】
電磁波の出入りを遮蔽する電解銅箔「エミシャット」を手掛ける
三井金属エンジニアリング(1737)は、電磁波の進入・放出を効果的に遮蔽し、電子装置と電気機器が相互に妨害することのない空間を実現する電解銅箔「エミシャット」を手掛けています。株価は、5月に1443円まで急騰した後に大きく下落し、そのまま横ばいで推移していましたが、900円付近での底堅さが見られてきたので、調整一巡感からのリバウンドが意識されます。
⇒三井金属エンジニアリング(1737)の最新の株価はこちら!
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【帝人(3401)】
高い透明性と電磁波シールド機能を併せ持つ「レフテル」を開発
帝人(3401)は、高い透明性と電磁波シールド機能を併せ持ち、開口部の電磁波対策として非常に有効なフィルム材料「レフテル」を手掛けています。また、12月6日には、EMI(電磁妨害)シールド向けの材料として、金属被覆炭素繊維(MC-CF)を使用したコンパウンド材料の提案を強化する、と報じられました。株価は長期的な下落トレンドが続いていますが、12月1日につけた安値1300円を底値にリバウンドの動きを見せており、底入れが意識されます。PBRが0.6倍台まで下がっているなか、押し目狙いのスタンスとなります。
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【ジオマテック(6907)】
さまざまな基材にコーティングできるEMIシールド膜を製造
ジオマテック(6907)は、透明導電膜や金属薄膜を使ったEMIシールド膜を手掛けています。ガラスやセラミック、樹脂など、さまざまな基材にコーティングできるのが特徴です。株価は、直近でストップ高を交えて上昇し、12月17日には一時1000円の大台を突破したものの、その直後に急落するなど荒い値動きを見せています。25日移動平均線の水準まで調整してきたことで、仕切り直しからのリバウンドに期待したいところです。
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【セーレン(3569)】
MRI室の窓などで使われる「電磁波シールドウィンドウ」を提供
セーレン(3569)は、銅線などでつくられた「導電メッシュ」をガラスで挟み込むことで高い光透過性と電磁波シールド性の両立を実現した「電磁波シールドウィンドウ」を手掛けています。MRI室や電磁暗室の窓、さらには医療機器や試験装置といった電子機器の表示パネルなどでの活用が想定されます。株価は足元で調整していますが、長期的には上昇トレンドが継続しています。13週移動平均線が下値支持線として意識されており、リバウンド狙いのタイミングと言えるでしょう。
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【巴コーポレーション(1921)】
電磁波の漏洩・侵入を防止する電磁波シールドを建物に施工
巴コーポレーション(1921)は、電磁波の漏洩・侵入を防止する電磁波シールドを建物に施しています。天井・壁の5面、あるいは床を含めた6面に電波吸収材を施工してシールドする電波暗室施設について、TDK(6762)と共同開発も行っています。株価は9月13日に一時512円まで上昇した後、調整が続いていますが、切り上がる26週移動平均線が下値支持線として意識されるので、押し目狙いのスタンスとなります。
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以上、今回は太陽フレア対策の一環である「電磁波障害対策」の関連銘柄を発掘しました。
太陽フレアの発生には波があり、2025年に次のピークを迎えると予測されています。その頃には、自動運転車や自律型ドローンなどを利用した新たなサービスが社会に普及していると考えられます。それに伴い、太陽フレア対策の重要度は今後ますます高まって来る可能性が高いので、今のうちからチェックしておくといいでしょう。
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