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【日本株】中長期の弱気相場が継続する見通しの今はチャート形状が良好な“パーフェクトオーダー”を形成している「好業績で低PBRの大型バリュー株」を狙え!

2022年11月8日公開(2022年11月8日更新)
藤井 英敏
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FRBの金融政策は、依然としてタカ派的な発言が続くものの、
近い将来における「利上げサイクルの終了」が見え始める

 11月に入っても、日米の株式市場ともに最大の関心事は、FRBの金融政策と米国の長期金利の動向です。

 FRBの金融政策に関しては、米国の連邦公開市場委員会(FOMC)は11月1〜2日に開催した定例会合で、フェデラルファンド(FF)金利を0.75ポイント引き上げ、誘導目標レンジを3.75〜4.00%としました。通常の3倍となる0.75ポイントの利上げはこれで4会合連続となり、その結果、誘導目標レンジは2008年以来の高水準に達しました。

 パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「前回の会合以降に入手したデータは、金利の最終的な水準(ターミナルレート)が従来の想定より高くなることを示唆している」「利上げの停止について考えるのは、あまりに時期尚早だ」などと、タカ派的な発言を繰り返しました。

 その一方で、パウエル氏は「利上げペースを落とす時期は近づいており、早ければ次回、ないしはその次の会合となる可能性がある。何も決定していない」とも述べ、近く利上げ幅が縮小することもあり得るとの認識を示しました。

 また、ボストン連銀のコリンズ総裁は11月4日の講演で「金融政策を巡る焦点は、政策金利を迅速に引き上げることから、十分に引き締め的になるような金利の最終的な到達点を決めることに移っている」と述べました。

 これら一連の発言などから今後を予想すると、米国の政策金利の最終的な引き上げ到達金利であるターミナルレート(現状のコンセンサスは5.25%程度)の若干の上振れリスクはあるものの、今後の引き上げペース自体は鈍化し、利上げサイクルの終了が見え始めていると言えるでしょう。もちろん「利上げサイクルの終了が見え始めていること」は、米国株式市場にとってポジティブな材料と考えています。

 ちなみに、11月4日発表の10月の米・雇用統計では、非農業部門雇用者数が26万1000人増と市場予想を上回る増加となり、平均時給も前月比0.4%増と前月の0.3%増から伸びが加速しました。その一方で、失業率は3.7%と前月の3.5%から上昇しました。インフレ退治に全力で取り組んでいるFRBにとって、今回の雇用統計は「引き締めをどの程度続けるか」判断する上では、強弱入り交じった内容だったと言えるでしょう。

 ただし、次回の12月FOMCまでに、物価指標、消費マインド指標、企業の景況感指標、住宅関連指標、そして雇用関連指標など、さまざまな経済指標が発表されます。これらの公表数値を受けて、米国の金融市場が右往左往するリスクが高い状態が続くことは間違いありません。

米国10年債利回りは上昇トレンドを維持しており、
米国の株式市場は依然として「ベアマーケット」が継続!

 このような状況を反映し、長期金利の指標である米国10年債利回りは上昇基調を維持しています

■米国10年債利回りチャート/日足・6カ月
米国10年債利回りチャート/日足・6カ月米国10年債利回りチャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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 FF金利はFRBが決める「政策金利」ですが、長期金利は債券市場の参加者が持つ将来の物価上昇期待などが反映された「市場が決める金利(市場金利)」です。このため、長期金利は、債券市場参加者が「将来のインフレが収まる」と見れば低下し、「インフレはまだまだ続く」と見れば上昇基調を維持し続けます。つまり、現時点において、債券市場の参加者は「まだまだインフレは収束しない」と見ているということでしょう。

 株式市場への影響としては、米国の長期金利が上昇基調を維持している間は米国の「(中長期スパンの)ベアマーケット」が続くと見ておく必要があります

 つまり、米国の長期金利が上昇基調を維持するなか、短期的な好材料に反応して投資家が一時的にリスクオンとなり、米国株が短期的に反発する局面は、所詮は「ベアマーケットラリー(弱気相場での短期的な上昇)」だと考えるべきでしょう。また、ベアマーケットでは、(基本的な流れとしては)低PERのバリュー株が相対的に選好されて買われやすく、高PERのグロース株は忌み嫌われて売られやすい傾向が続く見通しです

 その一方で、ベアマーケットラリーが発生した場合は、売り込まれたグロース株には売り方の買い戻し(ショートカバー)が入り、瞬間的にバリュー株をアウトパフォーム(上回る値動き)することになります。しかしながら、そのショートカバーが一巡すると、再びバリュー株をアンダーパフォーム(下回る値動き)するということを繰り返すのです。

 主要な株価指数で言えば、ベアマーケットが続いている間、グロース株の比率の高いナスダック総合株価指数NYダウS&P500種株価指数に対して、(中長期的に見ると)相対的にアンダーパフォームし続けることでしょう。

 このような米国市場の状況を受け、日本でも、グロース株の比率の高いマザーズ総合指数東証グロース市場指数は、日経平均株価TOPIX東証プライム市場指数に対して、相対的にアンダーパフォームし続ける見通しです。

 よって、米国の長期金利が上昇基調を維持して、米国株式市場のベアマーケットが続いている間は、日本の株式市場でも低PER大型バリュー株を積極的に売買し、高PERの小型グロース株は避けておいたほうが無難です

 ただし、米国で「ベアマーケットラリー」が発生した場合のみ、買い戻しによる短期的な株価急騰を狙って高PERの小型グロース株を手掛けることは有効な投資手法と言えるでしょう。もちろん、その上昇は短命に終わる可能性が高いため「飛び乗り・飛び降り」が基本となります。

今の株式市場では「二極化」が進んでいるため、ポートフォリオの
「弱い銘柄」は売却して「強い銘柄」に入れ替えよう!

 日本では、主力企業の決算発表が11月14日でほぼ一巡します。今後、狙うべき銘柄は「決算発表をすでに終えた低PERの大型株」のうち、「好業績」に加え、チャート形状が「株価>5日移動平均線>25日移動平均線>75日移動平均線」かつ「すべての移動平均線が上向き」の「パーフェクトオーダー」となっているものだけです。とにかく、現在のように日経平均株価がボックス相場を続ける、儲け難い、難易度の高い相場では、チャートが悪化して需給が悪くなっている銘柄を保有してはいけません。

 現在のような不透明な相場局面では、株式市場に流入しているマネーは減っていくことはあっても、決して増えてはこないでしょう。

 上昇相場では、保有株を持ったまま新規資金で購入することが多いです。しかし、ボックス相場や下落相場では、多くの投資家は魅力的な銘柄を見つけた場合、保有している値動きの悪い銘柄を売却して、値動きの良好な銘柄の購入資金を捻出します。そうなると、値動きの悪い銘柄の株価はさらに下落し、値動きの良好な銘柄の株価は一段と強い値動きになりがちです。つまり、強い銘柄がますます強くなり、弱い銘柄がますます弱くなる、いわゆる「二極化」が加速するのです

 今、あなたのポートフォリオの大部分を弱い銘柄が占め、含み損だらけならば、今回の決算を機に弱い銘柄を売却し、強い銘柄を購入して「強いものだらけのポートフォリオ」に組み替えることをおすすめします。そして、昨日まで強かったけど今日弱くなった銘柄があれば、即、他の強い銘柄に入れ替えるなど、可能な限りマメにメンテナンスすることを実践してください。

 それくらい慎重に、かつ真剣にやっていかないと、儲けることが非常に難しい相場局面であることを肝に銘じ、ぜひとも頑張って運用してください。健闘を祈ります。
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