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日本株にとっては「2月に起こる最大のイベント」のひとつであった、次期日銀総裁候補・植田和男氏の衆院での所信聴取が2月24日に無事に通過しました。所信聴取において植田氏は「日銀が行っている金融政策は適切。金融緩和を継続し、企業が賃上げできる環境を整える」「2%の物価目標は持続的・安定的に達成するには時間がかかる」などと述べ、現行の金融緩和を当面続ける姿勢を強調しました。その一方で、YCC(イールドカーブ・コントロール)については「基調的な物価の見通しが一段と改善する場合にはYCCの見直し、ないしは正常化を考えないといけない」とし、必要に応じた修正の可能性を示唆しました。
植田氏の発言を受けて「植田新体制が発足しても日銀は拙速な金融政策の変更をしない」との見方が強まり、2月24日の日経平均株価は前日比349.16円(1.29%)高の2万7453.48円と、3日ぶりに大幅反発しました。一方、外国為替市場では、日米の金利差拡大の思惑が強まり、円売り・ドル買いが加速し、ドル/円相場は一時1ドル=136.52円近辺と、2022年12月20日以来、およそ2カ月ぶりの安値をつける場面がありました。
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米国では大幅利上げへの不安感が高まり、株式市場が下落!
日本市場は円安基調が追い風ではあるものの上値が重たい状態に
一方、米国では、発表される物価指標が相次いで市場予想から上振れしたことで、FRBが3月21日~22日開催の次回FOMCで0.50%の大幅利上げに踏み切り、ターミナルレートが下手をしたら6%程度まで上がるのではないかとの見方も浮上しているようです。このため、現時点においては、強過ぎる米国経済もさらなる強烈な利上げで流石に失速する可能性が高く、企業業績も悪化するとの不安が強まっており、米国の株式市場は調整色を強めています。
例えば、NYダウは週間(2/21~2/24)で見ると1009.77ドル(2.99%)下落しました。これは4週連続の下落となります。このように、足元のNYダウは、非常に弱い動きとなっています。
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週明け2月27日のNYダウは前週末比72.17ドル高の3万2889.09ドルと反発したものの、前週末24日のNYダウは前日比336.99ドル安の3万2816.92ドルと、2022年12月以来の安値で取引を終えました。24日の下落に関しては、国債利回りが上昇したことが嫌気された結果です。
FRBが重視する指標として知られる1月の米・個人消費支出(PCE)物価指数で、エネルギーと食品を除くコア指数の上昇率が前年同月比4.7%と前月の4.6%より高く、かつ市場予想の4.4%も上回りました。これを受け、米国10年債利回りは一時3.97%と、前日につけた2022年11月以来の高水準に並ぶ場面がありました。
なお、週明け2月27日の米国10年債利回りは前週末比0.03%低い3.91%で取引を終えました。ですが、利回りは2月に入って大きく上昇しており、現状は4%の大台を意識した動きとなっています。
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米国の長期金利の上昇は、米国株全体に逆風です。とりわけ、高PERのグロース株には強烈な逆風となります。
一方、米国の長期金利の上昇はドル高・円安要因です。円安が続けば、日本株が米国株ほど下がり難い状況も続く見通しです。しかしながら、米国株が調整している間は海外投資家のリスク許容度が低いため、日本株の上値は抑制されることでしょう。
このような状況下、東京市場では低PER、低PBR、高配当利回りのバリュー株が物色されやすい環境が当面続くと見ています。そして、3月期末も約1カ月に迫っているため、配当取りの買い圧力も強まっていく見通しです。
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「アクティビスト(物言う株主)」の活動が活発化することで
ますます「PBR1倍割れ企業」への関心が高まる
ところで、2月22日、アクティビスト(物言う株主)である旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスが「3月23日に発表されるコスモエネルギーホールディングス株式会社の第7次連結中期経営計画に関する弊社の考え方について」を発表しました。
これによれば「弊社は、新中期経営計画が株主の皆様に評価され、コスモが PBR1倍以上の株価を実現することを強く望んでおります。東京証券取引所は、上場企業に対し、資本コストや株価・時価総額への意識改革を通じた取組みを要請しています。特に継続的にPBRが1倍を割れている上場企業は、本質的な企業価値向上に対する取り組みを早急に進める必要があります。弊社は、コスモが中長期的な株主価値向上を実現してPBR1倍を超えるためには、①適切な資本政策と②再生エネルギー事業のスピンオフが必要不可欠であると考えております」としています。
このコスモエネルギーホールディングス(5021)の例のように、PBR1倍割れを問題視するアクティビストらの要請により、企業側に対して、割安解消につながる株主還元強化や株高対策を要請するケースが今後増えてくることでしょう。このため、業績拡大を主因に、BPS(1株あたり純資産)の増加を伴ってPBRの水準を切り上げることができる「PBR1倍割れ企業」への関心がますます高まる見通しです。よって、当面の株式市場では、グロース株よりもバリュー株を選好することをおすすめします。
「米金利高+米株安」により調整中の日経平均株価は
「3月10日前後での底入れ」がメインシナリオ
日経平均株価については、現状は調整入りしていると見ています。主因は「米金利高+米株安」です。上値に関しては、状況が余程好転しない限り、2月6日の2万7821.22円を上抜くことは難しいでしょう。
一方、下値に関しては、何らかの不測の事態が発生して米国株が急落するなど、外部環境が急激に悪化した場合の“1番目の押し目メド”は1月23日と1月24日の間に空いた「窓(2万6938.28円~2万7150.43円)」を埋める水準です。さらに深押しした場合の“2番目の押し目メド”は、1月20日と1月23日の間に空いた「窓(2万6553.53円~2万6788.76円)」を埋める水準を想定しています。
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調整期間に関しては、3月9日〜10日の黒田体制最後の日銀金融政策決定会合でのYCC修正リスクが警戒されることに加え、10日が3月物の先物・オプションのメジャーSQなので、「重要イベント&需給」の両面から「3月10日前後での底入れ」が現時点でのメインシナリオです。
そして、SQ通過後は、生損保・銀行・信託銀行を中心にした国内機関投資家からの決算対策の売り圧力が低下するなかで配当権利取りの買い圧力が勝り、結果として需給が好転して、3月下旬に向けてリバウンドしていく可能性が高いと見ています。
いずれにせよ、当面の日本株は内部要因では下がりづらく、下がるなら外部要因の悪化の可能性が高いため、物色対象は「内需系のバリュー株」中心で攻めるべきと考えています。
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