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日米株式市場ともに、上値は重いものの下値も堅く、直近高値圏で「横ばい(トレンドレス)」となっています。今後、上下どちらかに放れ、上昇トレンド、または下降トレンドが発生するのか、はたまた現状の横ばいトレンドが継続するのかは、現時点では予想が難しいです。しかしながら、日米ともに企業業績がある程度見極められ、最新の経済指標の発表を受け、金融当局の政策の方向性が見えてくれば、相場の方向性は鮮明になると思います。
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米国では、景気悪化を懸念して消費が低迷している一方、
3月に発生した金融不安が大幅に後退したことで下値は堅い
まず、一足先に決算発表シーズン入りしている米国についてですが、FRBの利上げが長期化しているため、米国の景気が悪化して個人消費が低迷するとの見方が根強く、足元では景気敏感株や消費関連株が軟調に推移。これが米国の株価指数の上値を圧迫しています。その一方で、3月に発生した金融不安が大幅に後退していることもあり、下値は下値で堅い状況です。この結果、主要な株価指数は、直近高値圏で方向感なく推移しています。
なお、今週は主力のハイテク株の決算発表ラッシュです。4月25日にマイクロソフト(MSFT)、アルファベット(GOOG)、26日にメタプラットフォームズ(META)、27日にアマゾン・ドット・コム(AMZN)が決算発表を予定しています。
一方、経済指標は、4月28日に、FRBが重視するインフレ指標である3月の米・個人消費支出(PCE)物価指数や、1~3月期の米・雇用コスト指数が発表されます。
さらに、来週の5月2日~3日にはFOMCが開催されます。FOMC参加者が金融政策に対する発言を控える“ブラックアウト期間”が4月22日から始まっていますが、ブラックアウト前のFRB理事や連銀総裁の発言はタカ派色の強いものでした。
例えば、4月19日にウィリアムズNY連銀総裁は、インフレ率はまだ高すぎる水準にあるとし、物価安定に向けて金融政策ツールを活用するとの考えを示しました。また、20日にはボウマンFRB理事が、インフレ率は依然として目標の2%を「大幅に上回る」水準に高止まりしており、押し下げに向けて一段の取り組みが必要との認識を示しました。そして、同じく20日、ハーカーフィラデルフィア連銀総裁は「インフレ抑制に向けて米金融当局は今年、追加の引き締めが必要となり、その後、金利を据え置くことになりそうだ」との見通しを示しました。
このように重要イベントが目白押しのため、米国株に方向性が出るとしたら、主力のハイテク株の決算発表が一巡し、FOMCの結果が判明する5月3日以降と見ています。
「決算を見極めたいムード」や「GW前にポジションを減らす動き」が
足元で日経平均株価の上値を圧迫している状態に
一方、日本に関しては、4月27日に108件、28日に208件の上場企業の決算発表が予定されるなど、今週後半から決算発表シーズンが本格化します。そのため株式市場では、今後発表される決算の内容を見極めたいとのムードが強まっています。
また、今年のゴールデンウィークは、4月29日の「昭和の日」に始まり、翌週の祝日3日間をはさみ、5月7日が最終日です。このため足元では、大型連休前にはポジションを減らしておきたいとのムードが強まっています。これらが、日本の株価指数の上値を圧迫しています。
しかしながら、米国株同様に日本株の下値も堅く、現時点において大きく崩れる兆候は見当たりません。日本株が底堅い理由は、(1)日銀が当分の間、現在の金融緩和状態を維持することへの安心感、(2)東証の市場改革への期待感の高まり、そして(3)バフェット氏の日本株への高い評価、などが挙げられます。
まず(1)日銀が当分の間、現在の金融緩和状態を維持することへの安心感ですが、日銀は4月27日~28日に金融政策決定会合を開催します。これに先立ち、日銀の植田和男総裁は24日、衆院・決算行政監視委員会第1分科会で、イールドカーブ・コントロール(YCC)の正常化が可能になるのは「半年先や1年先、1年半先の日銀の物価見通しが2%前後になり、見通しの確度が高まっていると認識できるとき」だと述べました。また、物価見通しに関しては、2024年度後半には上昇率が2%を下回るとしたうえで「その見通しに沿って金融緩和を継続するというスタンスだ」と改めて表明しました。このため、当面は日銀が拙速な金融政策の変更を行う可能性は、ほぼないと見てよいでしょう。
バフェット氏の「日本株買い」が明らかになったことで、
海外投資家による「日本株の再評価」の流れが加速
次に(2)東証の市場改革への期待感の高まりについては、東京証券取引所は2022年4月4日、市場区分を「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」の3つの新しい市場区分へと再編ました。そして今年3月31日、PBRが1倍を下回る上場企業などに、株価水準を引き上げるための具体策を開示・実行するよう要請しました。
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この東証の取り組みに対応する格好で、上場企業は保有する自社株を積極的に消却しています。日本経済新聞が2022年4月~2023年3月の上場企業の自社株消却を集計したところ前年度比45件増の302件、社数ベースでは33社増の271社と、件数、社数ともに過去最多となったそうです。また、今後本格化する主力企業の決算発表と同時に、自社株買いや自社株消却、配当性向の引き上げ、増配などがセットで発表されるのではないかとの期待が高まっています。
そして(3)バフェット氏の日本株への高い評価ですが、著名投資家のウォーレン・バフェット氏は4月11日、日本経済新聞のインタビューで日本株への追加投資を検討する意向を明らかにしました。バフェット効果の発現なのか、4月第2週(10〜14日)の投資部門別売買動向では、海外投資家が現物株を1兆494億円買い越しました。週間の買越額としては約9年半ぶりの大きさです。今回のバフェット氏の投資行動をきっかけに、海外勢による日本株の再評価の流れが加速することが期待されます。
GW中は米国市場が波乱の展開になっても対応できないため、
今週と来週は無理して日本株に投資する必要はない!
それはさておき、今週後半から日本の決算発表が本格化することに加え、日本がゴールデンウィーク中に重要イベントであるFOMCが開催されることを考慮すると、今週と来週は無理して日本株に投資する必要はないと考えます。日本が大型連休中に、米国の金融市場が波乱の展開となったら、適切な対応ができないからです。
よって、今週前半にポジションを軽くしておき、海外市場の動向を気にせず、ゴールデンウィークを楽しく過ごすことをおすすめします。
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