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日米の株式市場ともに非常に強い動きを続けています。
まず、米国株についてですが、6月5日のNYダウ、ナスダック総合株価指数はともに反落したものの、前週末2日のNYダウは前日比701.19ドル高の3万3762.76ドルで、上げ幅は今年最大でした。また、ナスダック総合株価指数は、同139.79ポイント高の1万3240.77ポイントと、2023年4月以来、およそ1年1カ月ぶりの高値で取引を終えました。
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6月2日は、債務上限問題により政府の資金繰り策が行き詰まるとされていた5日が迫るなか、米国の上院が1日夜に債務上限の効力を2025年1月まで停止する「財政責任法案」を可決したことが買い材料となりました。
債務上限を巡る与野党の駆け引きは、恒例の「政治的なプロレス」であり、結局、米国のデフォルトは土壇場で回避されるであろうということは大方の予想通りのことでした。ですが、実際に回避されたことで、多くの投資家は安心したのです。
米国で雇用情勢が悪化し、賃金インフレもやや低下したことで、
現時点でFRBが「タカ派」に転換する可能性はほぼ皆無に!
6月2日に発表された5月の米・雇用統計は、強弱入り混じる内容でした。非農業部門の雇用者数は前月比33万9000人増と、市場予想の19万人増を大幅に上回りました。さらに、3月と4月の数字も上方修正されました。FRBの強烈な利上げや、3月に発生した地銀を中心とする金融危機があったにもかかわらず、米国の労働市場は相変わらず堅調です。
一方、失業率は3.7%と4月の3.4%から上昇し、市場予想の3.5%も上回りました。また、平均時給の上昇率は前年同月比4.3%と、市場予想の4.4%を下回りました。
失業率が上がって雇用情勢がやや悪化すると同時に、賃金インフレリスクもやや低下していることで、FRBが一段とタカ派的になる可能性は、現時点においては、ほぼ皆無と見てよさそうです。
そのFRBは、6月13日~14日にFOMCを開きます。それに先立ち、FRBの副議長候補に指名されているジェファーソン理事は、5月31日の講演で「今後の会合で政策金利を据え置いても、政策金利がピークに達したと解釈すべきではない」と指摘しています。また、同日の講演で、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は「今後さらに引き締めをする必要があるなら、1回おきに行うことができると思う」と述べています。彼らの発言から、今回の6月の会合では利上げは休止(pause)ではなく、見送り(skip)となる可能性が高そうです。
つまり、6月に利上げが見送られたとしても、7月以降にまた利上げする可能性が残っています。これは言い換えれば、FRBはそう簡単にはタカ派からハト派に転換しないということです。よって、米国の政策金利の先高観が維持されることになり、外国為替市場では、日米金利差の拡大期待を背景に円安・ドル高のトレンドが継続する見通しです。これは、我が国の輸出関連企業の収益や円安を好感したインバウンドの増加に寄与するため、日本経済および日本株にとっては強力な追い風です。
日経平均株価は、連日の上昇で3万2000円の大台も突破したが、
海外投資家が売りに転換するまで現在の上昇トレンドは継続の見通し
ところで日本株ですが、多くの市場関係者や投資家の想定をはるかに超える強い動きを続けています。具体的には、6月5日の日経平均株価は、前週末比693.21円高の3万2217.43円でした。上げ幅は今年最大で、3万2000円台を回復するのは1990年7月以来、約33年ぶりのことです。さらに翌6日も続伸し、前日比289.35円高の3万2506.78円と、連日でバブル経済崩壊後の高値をつけました。
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また、6月5日のTOPIXの終値は同37.09ポイント高の2219.79ポイントで、こちらも1990年8月以来、約33年ぶりの高値です。この日は、前週末2日の米国株高と、1ドル=140円まで円安が進行したことが買い材料になりました。さらに翌6日も上昇し、前日比16.49ポイント高の2236.28ポイントとなりました。
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日本株上昇の牽引役は、引き続き、海外投資家です。5月第4週(22〜26日)の投資部門別売買動向では、海外投資家は現物株を3816億円買い越しました。9週連続の買い越しで、9週間の買い越し額は累計で4兆136億円でした。また、海外投資家は株価指数先物にも買いを入れており、5月第4週は2025億円買い越しました。買い越しは4週連続です。つまり、5月第4週に海外投資家は、現物株と先物との合算では5842億円買い越したのです。
一方、個人投資家は、5月第4週に現物株を442億円売り越しました。売り越しは7週連続で、7週間で累計2兆3443億円売り越しました。また、国内法人は、9週連続で売り越し、9週間で累計2兆1953億円売り越しました。
このように、国内法人と個人投資家の売りを、海外勢が吸収するという需給関係が続いています。今後については、海外投資家が明確に「買い」から「売り」に転換するまでは、日本株の上昇トレンドが崩れることはないでしょう。
ただし、6月1日以降については、現物にせよ先物にせよ、上値を買っている投資家は、これまでの「弱気派だった売り方」と見ています。つまり、切羽詰まった売り方の買戻し(ショートカバー)が、足元の日本株を押し上げている可能性があります。
4月下旬から現在までの日本株は、押し目らしい押し目を形成せず、ほぼ一本調子に上がってきました。このため、損切りや買いヘッジを躊躇した多くの売り方が、日々膨張する評価損に苦しんでいると推察されます。なお、先物・オプションに関しては、今週末の6月9日が6月物のSQ算出日なので、いったん「一勝負終了」ということになります。SQ通過後、これまでの過熱を冷ますような「調整が訪れるか否か」に注目しておきたいと思っています。
投資をするうえで最も重要なことは「資金管理」!
「逆張り」もアリだが、失敗したときは早めの「損切り」を
私は“トレンド”を友人にして、そのトレンドに素直に乗る「順張り」が好きです。しかしながら、トレンドに向かう「逆張り」を否定するものではありません。ただ、「順張り」であれ「逆張り」であれ、投資をするうえで最も重要なことは「資金管理」だと考えています。
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おそらく、今回のようなスケールの大きい上昇トレンドが発生したケースでは、逆張りして売り向かい、想定とは逆に相場が大きく動いているのに、早めの損切りや両建てなどで最悪の事態を避ける手段を講じなかったために、不幸なことに市場からの退場を余儀なくされる売り方の個人が相当数出ることになると見ています。
相場というのは、買い方と売り方の真剣勝負の場です。そして、決済期限を区切った勝負(先物・オプションや、制度信用取引など)では、決済期限までに実現益ベースでの勝ち負けがどうしてもはっきりしてしまいます。だからこそ、当コラムの読者の方には「資金管理」を最優先にした運用を心掛けていただきたいと思います。そうすれば「大勝ち」はなくても、「大負け」は回避できるはずです。
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