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上昇が続く米国の株式市場に対して高値警戒感はあるものの、
「Fear and Greed Index」を見る限り“過熱感”は乏しい
11月27日に発表された10月の米・新築一戸建て住宅販売戸数は、年率換算で前月比5.6%減の67.9万戸と、市場予想の72.3万戸を下回りました。また、9月の販売戸数は71.9万戸と、前回発表の75.9万戸から下方改定されました。
30年固定住宅ローンの平均金利は、10月下旬に7.79%と約23年ぶりの高水準をつけた後、ピークアウトしたとはいえ、7%台で高止まりしています。この高水準の住宅ローン金利が需要を圧迫し、住宅市場が低迷している様子がうかがえます。
これらの数字を受け、FRBによる利上げ局面が終了したとの見方が一段と強まり、11月27日の米国10年債利回りは前週末比0.08%低い4.39%で取引を終えました。
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一方、11月27日のNYダウは3日ぶりに反落し、前週末比56.68ドル安の3万5333.47ドル、ナスダック総合株価指数は続落し、同9.83ポイント安の1万4241.02ポイントとなりました。長期金利が低下したにもかかわらず、高値警戒感から上値が重かったようです。
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上値が重い原因は、NYダウは週間(11/20~11/24)で442.87ドルの上昇、ナスダック総合株価指数も週間(11/20~11/24)で125.38ポイントの上昇しただけでなく、どちらも4週連続で上昇しているからです。米国の株式市場は非常に強い動きを続けているのです。
しかし、CNN Moneyが開発し、株式市場に対する投資家のセンチメントを示す指標として有名な「Fear and Greed Index」は、11月27日時点で65と「Greed:強欲(やや売り)」のゾーンを示しています。ここまで株価が上昇しているにもかかわらず「Extream Greed:強欲の極み(売り)」ゾーンには達していないため、現時点で米国株の過熱感は乏しいと見ています。
なお、デジタルデータ追跡のアドビ・デジタル・インサイツによると「サイバーマンデーのオンライン売上高は前年比5.4%増の124億ドルに達し、過去最高となる見通し」とのことです。つまり、FRBによる金融引き締めが続くなかでも、米国の個人消費は堅調です。これが米国景気を強力にサポートすると同時に、米国の株式市場の下支え要因として機能することでしょう。
米国の「長期金利低下+米国株上昇」の影響で、
海外投資家の資金が日本の株式市場にも流入!
「米・長期金利低下+米国株上昇」を受け、海外投資家は「リスクオン」となり、ここ最近、日本株を積極的に買っています。
海外投資家は、11月第3週(13日~17日)に現物株を3629億円買い越しました。買い越しは4週連続です。また、この週は先物(日経平均先物、TOPIX先物、ミニ日経平均先物、ミニTOPIX先物の合計)も6604億円買い越しており、3週連続の買い越しとなりました。この現物および先物への買い越しを受け、日本株は強い動きを続けているのです。
日経平均株価については、11月に入り、11月24日まで終値ベースで2766.68円(8.97%)も上昇しました。そして、24日の終値は3万3625.53円と、7月3日の終値ベースの年初来高値3万3753.33円に接近しました。
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ですが、週明け11月27日の日経平均株価の終値は3万34473.67円、前週末比では177.86円(0.53%)安と3日ぶりに反落。この日は一時3万3811.41円まで上昇する場面がありましたが、高値警戒感から伸び悩みました。そして、翌28日は続落し、前日比39.28円(0.12%)安の3万3408.39円で終えました。
ちなみに、最近の日経平均株価のザラ場の高値は11月20日が3万3853.46円、24日が3万3817.86円、そして、27日が3万3811.41円です。以上のことから、3万3800円オーバーでは売り圧力が強いようです。
日経平均株価の今後に関しては、終値で3万3800円を明確に上回るようなら、売り方の損失覚悟の買戻しによる「踏み上げ相場」が期待できると見ています。一方で、上抜けることができないようだと「高値圏での調整相場」が続く見通しです。
11月に入ってからの日経平均株価の上昇トレンドは、
短期的には終了したものの中期的には継続中!
テクニカル的に見ると、日経平均株価は現時点で「高値圏での調整相場」が続く可能性が高いと認識しています。
というのは、11月28日の終値が3万3408.39円と、5日移動平均線(28日時点で3万3457.51円)をわずかながら下回り、短期的に上昇トレンドは終了したと見ているからです。その一方で、25日移動平均線(同3万2355.20円)、75日移動平均線(同3万2245.69円)の両方を上回っており、中期の上昇トレンドは継続中との認識です。このため、目先は25日移動平均線を押し目限界にした「高値圏での調整相場」の継続がメインシナリオです。
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ただし「日経平均株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下向きに転じる」まで、私は日経平均株価に関しては「(短期的ではなく、中期的な)強気」を維持する方針です。
「日米金利差縮小による円安一服」と「中国景気の悪化」、
さらには「中国の呼吸器疾患の増加」が足元のマイナス要因に!
日経平均株価が調整している主因は、外国為替市場での「円安一服」と「中国景気の悪化」と考えています。
まず「円安一服」に関しては、米国の長期金利が低下しているため、日米金利差の縮小を材料に、足元で1米ドル=148円台と円が対ドルで堅調に推移しています。この円高が、我が国の外需企業全般の収益悪化要因として意識されています。
ただし、日銀の植田和男総裁は11月27日、参議院予算委員会に出席して「(2%物価目標の持続的・安定的な実現を)十分な確度をもって見通せる状況には、なお至っていない」との認識を示しています。このため、金利面から円が対ドルでドンドン買われていくことにはならないとも見ています。
次に「中国景気の悪化」については、10月の中国工業部門企業利益が前年比2.7%増加と、3カ月連続でプラスを記録したものの伸びは鈍化しています。これに関して統計局は、製造業の抱える課題を踏まえて、当局が内需拡大と企業支援に注力すべきだと指摘したそうです。つまり、政策当局のテコ入れを必要とするくらい中国の景気は低迷中なのです。これが、工作機械や海運などの中国関連銘柄にネガティブに作用していると見ています。
さらに追い打ちをかけるように、中国で呼吸器疾患の患者が急増しており、中国からの訪日観光客の回復が遅れるとの見方が強まっています。これはホテル、鉄道などインバウンド関連銘柄への逆風となっているはずです。
今年は年末ラリーが発生する可能性は低いので、
小型株を避けて大型株に投資資金を集めよう!
一方、11月28日の東証グロース株指数の終値は904.68ポイントと、25日移動平均線(28日時点で867.93ポイント)は上回っていますが、5日移動平均線(同909.30ポイント)と75日移動平均線(同909.83ポイント)は下回っています。また、残念ながら75日移動平均線は下向きが継続中です。このため、年末ラリー(年末にかけての株価上昇)の発生期待が急速に萎んできたと考えています。
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12月に入ると、値動きの鈍い小型グロース株への節税売り圧力が一段と強まることが危惧されます。よって当面は、小型株(特に値動きの鈍い銘柄)は避け、投資資金を(節税売りが出づらい)大型株に避難させておくことを強く推奨します。
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