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米国では、雇用統計やISM非製造業総合指数などの結果から、
今後も景気が減速をすることなく経済成長が続く可能性も
米国経済は非常に強い状況が続いています。
まず、2月2日に発表された1月の米・雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比35万3000人増と市場予想の18万5000人増を大幅に上回り、2023年11〜12月分も大きく上方修正されました。また、失業率は12月と同じ3.7%で、市場予想の3.8%を下回りました。そして平均時給は前月比の上昇率が0.6%と、市場予想の0.3%より伸びただけではなく、前月の0.4%からも加速して2022年3月以来の大幅な伸びとなりました。このように、米国の労働市場は非常に堅調に推移しています。
また、米国のISMが2月5日発表した1月の非製造業総合指数は、53.4と4カ月ぶりの高水準に。前月の50.5から上昇し、市場予想の52.0も上回りました。新規受注指数は、輸出受注の急増で3カ月ぶり高水準の55.0。雇用指数は、前月の43.8からから6.7ポイント上昇の50.5と活動の「拡大」と「縮小」の境目の50を上回り、「拡大圏」に持ち直しました。このように、米国の非製造業の事業活動は拡大傾向で、非常に良好な状態です。
このような状況を受け、市場では、FRBが早期の利下げに着手する可能性が一段と低下したとの見方が強まっています。実際、パウエルFRB議長は、2月4日に放送されたCBSのインタビューで「幾分時間をかけ、インフレ率が持続的に2%に低下していることをデータで確認するのが賢明であり、この問題に慎重にアプローチしたい」との趣旨の発言をしました。
現時点において、金融の引き締め状態(政策金利の高止まり)が長期化しているにもかかわらず、米国経済に鈍化の兆しは見られません。このため市場は、今後の米国経済について、ハードランディング(景気の急速な失速)でもソフトランディング(景気の緩やかな減速)でもなく、ノーランディング(景気が減速をすることなく経済成長が続く)を織り込んでいるように感じます。
ちなみに、経済協力開発機構(OECD)は2月5日発表した経済見通しで、米国経済について、2025年の成長率を1.7%に据え置きましたが、2024年の成長率は2023年11月の前回見通しの1.5%より0.6ポイント高い2.1%と予測。そして、利下げは2024年4~6月までに始まると予測しています。前回予測では、利下げの開始時期を2024年下期としていたので、前倒しされたことになります。
また、米国の成長率を上方修正したことを主因に、OECDは2024年の世界経済の成長率を前回見通しから0.2ポイントの引き上げ、2.9%と予測しています。この予測が実現するならば、「世界経済敏感株」の色彩の強い日本株には追い風になることでしょう。
堅調に推移する米国株式市場では、
長期金利の上昇が「利食い売りの口実」に
ただし、米国経済が想定以上に強く、早期利下げ期待が後退したため、米国の長期金利が上昇気味です。実際、2月5日のNY債券市場で長期債相場が続落し、米国10年債利回りは前週末比0.14%高い4.16%で取引を終えました。
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この影響もあり、2月5日のNYダウは3営業日ぶりに反落し、前週末比274.30ドル(0.70%)安の3万8380.12ドルでした。また、ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、同31.28ポイント(0.20%)安の1万5597.68ポイントで取引を終えました。
ですが、2月5日の米国株式市場の下落は前週までの上昇の反動であり、主力株を中心に利益確定売りが出たことも大きく影響したと考えています。というのは、前週末2月2日のNYダウは続伸し、前日比134.58ドル(0.34%)高の3万8654.42ドルと最高値で取引を終えたからです。また、ナスダック総合株価指数も続伸し、同267.31ポイント(1.74%)高の1万5628.95ポイントと、2022年1月以来の高値で終了。そしてS&P500種株価指数も続伸し、同52.42(1.06%)高の4958.61ポイントと最高値で終えています。
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米国株式市場では、長期金利が上昇する日には、2月5日のように「利食い売りの口実」にされることが今後もあるとは思います。しかしながら、米国の長期金利に関しては、足元は上昇基調だったとしても、長期金利の急騰は考えにくいと考えています。なぜならば、政策金利が高水準で維持され、景気に対して下押し圧力が掛かり続けており、インフレが加速する状況ではないからです。
その一方で、米国経済が堅調なため、先行きの景気悪化懸念が強まり、米国株式市場が大崩れすることもないと見ています。さらに、早期利下げが見込めなくなったため、外国為替市場では日米金利差の縮小観測が後退し、ドル高・円安になりやすくなったと考えています。
つまり「堅調な米国経済・良好な世界経済・円安」の「トリプルメリット」を背景に、日本株は今後も堅調に推移する見通しです。
米国市場でのメタやエヌビディアの人気化が波及し、
日本でも「AI&半導体」が物色される流れに!
現在の物色テーマとしては、日米ともに「AI&半導体」を中心としたハイテク株に注目しています。実際、ここ最近の米国では、メタ・プラットフォームズ(META)とエヌビディア(NVDA)が市場で話題です。
まず、メタ・プラットフォームズについては、2月1日発表した2023年10〜12月期の決算で売上高が25%増、純利益が3倍となり、2024年1〜3月期も2〜3割の増収が続くとの見通しが示されました。AI機能の活用がメタ・プラットフォームズの広告需要を押し上げました。さらに、メタ・プラットフォームズ初となる配当実施も発表しています。
これを受けてメタ・プラットフォームズの株価は急伸し、2月2日の終値が前日比20.32%高の474.99ドルと上場来高値で終えました。ちなみに、この日のメタ・プラットフォームズの時価総額は約1970億ドル拡大し、アップル(AAPL)とアマゾン・ドット・コム(AMZN)が2022年に記録した1900億ドルを抜いて、1営業日における時価総額の拡大規模で過去最大を達成しました。
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一方、エヌビディアについては、AI開発向け半導体の需要が強く、GPU(画像処理半導体)の供給状況が改善していることを主因に、ゴールドマン・サックスが2月5日付で目標株価を従来の625ドルから800ドルに引き上げました。これを受け、2月5日、エヌビディアの株価は一時694.97ドルまで上昇し、最高値を更新しました。
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米国市場での「AI&半導体」関連銘柄を物色する流れが日本にも波及し、米国同様に「AI&半導体」関連銘柄が人気化すると見ています。
ただし日本では、これから決算発表が本格化します。このため「AI&半導体」関連銘柄だからと安易に飛びつき買いするのではなく、決算内容を見極めたうえで慎重に売買の判断をすることをおすすめします。
また、今週末の2月9日は、株価指数オプションとミニ日経平均先物2月限のSQ算出日です。SQを控えた週は、先物・オプション絡みの思惑的な売買が活発化する傾向が顕著です。よって、今週は特殊な需給で株価指数が乱高下しやすくなることを踏まえたうえで、相場に臨んでください。
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