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米国経済が「ノーランディング」に成功するとの期待から、
NYダウ、ナスダック指数ともに強い値動きが継続!
日米の株式市場がともに強い動きを続けています。
2月12日のNYダウは反発し、前週末比125.69ドル(0.32%)高の3万8797.38ドルと最高値で終えました。一方、ナスダック総合株価指数は、一時1万6080.07ポイントと2021年11月につけた最高値を上回る場面がありましたが、その後は利益確定の売りが出て下げに転じ、結局、同48.12ポイント(0.30%)安の1万5942.55ポイントで取引を終えました。ただ小幅に下落したとはいえ、非常に強い動きが続いていると評価するべきでしょう。
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米国株が堅調な主因は、多くの投資家が、今後の米国経済について「ハードランディング(景気の急速な失速)」でも「ソフトランディング(景気の緩やかな減速)」でもなく「ノーランディング(景気が減速をすることなく経済成長が続く)」に成功すると信じているからだと見ています。
実際、米国の調査会社コンファレンス・ボードが、2月8日発表した2024年1〜3月期の最高経営責任者(CEO)信頼感指数は「53」でした。経済の先行きに対する楽観と悲観の境目である「50」を上回るのは2022年1〜3月期以来2年ぶりのことだそうです。このように、多くの米国企業トップも先行き経済に対して楽観に傾いているのです。
わずか3営業日で株価を約2.2倍に上昇させた
アームの急騰劇が「AI・半導体関連株」の買い材料に
主力のハイテク企業の決算がおおむね良好だったことも、米国の株式相場の水準を力強く押し上げました。とりわけ、英国の半導体設計のアーム・ホールディングス(ARM)の急騰劇が、投資家心理を強気にさせています。
アーム・ホールディングスは、2月7日発表の四半期決算(2023年10〜12月期)が市場予想を上回ったことが買い材料となり、8日には前日比36.99ドル(48.06%)高の113.95ドルと上昇。翌9日は同1.16ドル(1.02%)高の115.11ドルと上げ幅を縮小させて高値圏でのもみあいとなったものの、週明け12日は一時164.00ドルまで買われ、終値でも同33.76ドル(29.30%)高の148.97ドルと再び急騰しました。
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アーム・ホールディングスの2月7日の取引時間中の安値は72.26ドルなので、決算発表後わずか3営業日で91.74ドル(126.96%)の急騰劇を演じたことになります。このアーム・ホールディングスの急騰劇が、ここ最近の「AI・半導体関連株」の買い材料になったと見ています。
2月12日には、アマゾン・ドット・コム(AMZN)が、取引時間中にエヌビディア(NVDA)に時価総額で逆転される場面があったことも話題になりました。エヌビディアは12日に一時746.11ドルまで上昇し、上場来高値を更新する場面がありました。
エヌビディアは2月21日に決算を発表します。この決算発表をきっかけに、当面の“材料出尽くし”と見なされ、株価上昇が一段落するか否かが最大の注目材料です。投資家のエヌビディアの決算への期待は相当高まっているはずなので、ポジティブサプライズとならなければ、材料出尽くしとなる見通しです。ですが、一体どんな内容となるのかまったく予測できません。つまり、事前に売買の判断を決めつけず、発表後のエヌビディアの値動きを見てその流れに乗るしかないと思います。
「海外投資家の日本株買い」や「アームの株価上昇」などを背景に、
日経平均株価は一時3万8000円を突破、史上最高値が目前に!
このように、米国株が強いため、連れ高する形で日経平均株価も堅調に推移しています。2月13日の日経平均株価は3日続伸し、終値は前日比1066.55円(2.89%)高の3万7963.97円を記録。3日連続の昨年来高値更新となり、一時は3万8000円の大台も突破しました。
日経平均株価の史上最高値は1989年12月29日の大納会でつけた3万8915.87円です。たしかに足元の過熱感は気にはなるものの、2月13日に3万8000円台を一時的にせよ回復したことで、近い将来において史上最高値を更新する確度が一段と高まったように感じています。
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2月8〜10日に関しては、ソフトバンクグループ(9984)の急騰と、日経平均株価への寄与度(押し上げ効果)が話題になりました。ソフトバンクグループの終値は8日が前日比732円(11.06%)高の7350円、翌9日が同641円(8.72%)高の7991円、翌10日が同501円(6.27%)高の8492円でした。9日に関しては、1銘柄だけで日経平均株価を128.07円も押し上げた計算になります。この株価上昇の理由は、ソフトバンクグループが株価急騰中のアーム・ホールディングス株の約9割を保有する大株主だからです。
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日本株上昇の牽引役は、やはり海外投資家です。1月の投資部門別売買動向によると、海外投資家は1月に現物株を2兆693億円買い越しました。月間の買い越し額としては、記録のある1982年以降で7番目の大きさとのことです。
また、1月第5週(1月29日〜2月2日)の投資部門別株式売買動向(東証と名証の合計)によると、海外投資家は5週連続で買い越し、買い越し額は1783億円でした。一方、1月第5週の先物の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家は2週連続で売り越し、売り越し額は4482億円でした。現物では中長期スタンスの年金などの買い越しが続く一方で、先物を積極的に活用する短期スタンスの海外勢が先物の利食いを優勢させた結果と考えています。
なお、基本的には、現物に関して海外勢が売り越しに転じるまで、私は日本株は強い動きを続けると見ています。
「値がさ株」や「半導体・AI関連株」が好調なのに対して、
個人投資家が好む「小型グロース株」は冴えない動きが続く
それはさておき、日経平均株価が非常に強い動きを続けるなか、実は私の周りで“爆益”なのはごく一部に人たちだけで、多くの友人・知人に関しては「日経平均株価の急騰の恩恵はまったくなしの状態」です。
というのは、足元の日経平均株価の急騰は、東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)、ソフトバンクグループ(9984)、トヨタ(7203)、ファーストリテイリング(9983)などといった、指数寄与度の大きい値がさ株や半導体・AI関連株などの一部の銘柄群だけで実現しているからです。指数寄与度の小さい銘柄群や、半導体・AI関連以外の銘柄群は「物色の蚊帳の外」ですし、短期売買を好む個人投資家の関与率の高い小型グロース株も冴えない動きを続けています。
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つまり、極端な言い方をすれば、今の相場に上手く乗れている投資家は「指数寄与度の高い値がさ株を買っている」、または「半導体・AI関連株などの人気テーマ株を買っている」方々だけなのです。逆に「指数寄与度の高い銘柄を買っていない」、または「半導体・AI関連株を買っていない」方々は「指数上がれど、我が株上がらず」の状態に陥っており、フラストレーションを大いに溜めていることでしょう。
有名な相場格言に「買いにくい相場は高い」というものがあります。これは「株価が高いというだけの理由で買わない投資家がいます。しかし、高い株価には先行きの業績や人気、好需給などの背景があることが多いのです。よって、ただ単に株価が高いというだけで買いを見送ってばかりいては、せっかくの上昇相場に乗れない」という意味です。
ただし、ここまで相場が上がってしまった現時点において、株価指数先物や高人気株の買いを見送っていた投資家が、ここから目をつぶって“飛びつき買い”することは流石に危険だと思います。今回の上昇相場に乗れなかった方々には「今回の上昇がどこで一服するかを見極めて、慌てず冷静に、押し目買いのチャンスを待つこと」をおすすめします。
どんな相場も「上げ下げ」を繰り返すものです。よって、じっくり押し目を待ち、買い場が来たら、今度こそ「買いにくい相場は高い」との格言を想起して、上手に相場に乗ってください。ぜひとも、次のチャンスはものにしてください。心より応援しています。
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