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金や銅、原油などのコモディティ価格の上昇は、
インフレにつながるものの株式市場にはポジティブに作用
米国とイギリスの両政府が4月12日に国内取引所でロシア産の銅とアルミニウム、ニッケルの取引を禁じたことや、中国の景気回復期待の高まりを背景に、貴金属・資源価格が上昇基調です。これは世界的なインフレ圧力となります。
インフレは個人消費の押し下げ要因ではあるものの、「原材料価格の上昇⇒企業サイドからの値上げ⇒名目上の企業収益の増加」という流れで、世界の株式市場にはポジティブに作用すると見ています。
まず「金」ですが、5月20日のNY金先物相場は続伸し、6月物は一時2454.2ドルまで上昇して4月中旬につけた中心限月としての最高値を更新。最終的に前週末比21.1ドル(0.9%)高の1トロイオンス2438.5ドルで取引を終えました。
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「銅」については、5月20日に日本経済新聞(電子版)が速報で「電気自動車(EV)や再生可能エネルギー施設、人工知能(AI)など銅を大量に使う新産業が膨張し、銅は『新しい石油』になるとの見方も浮上。世界各国による戦略資源を巡る争奪戦になる可能性もあり、銅の先高観は強まっている」「LME(ロンドン金属取引所)の銅在庫でロシア産が占める割合は大きく、3月時点でLMEのオン・ワラント在庫(払い出し予定のない在庫)に占める割合は約6割だった。LMEの在庫減少への警戒が相場を押し上げた」などと報じました。
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次にEVの電池材料に使われる「ニッケル」は、世界3位の生産量となるフランス領ニューカレドニアで暴動が発生して供給不安が広がっていることが主因となり、取引価格が上昇しています。LMEのニッケルの3カ月先物価格は5月20日、終値ベースで2023年8月以来の高値をつけました。
そして「原油」については、5月20日のNY原油先物相場が4営業日ぶりに反落し、WTI期近の6月物は前週末比0.26ドル(0.3%)安の1バレル79.80ドルで取引を終えました。ですが、2023年末の終値は71.65ドルであり、原油先物価格も高止まりしています。
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日本ではこれから多くの商品の値上げラッシュが予想されるが、
株式市場にとって「インフレ」は「デフレ」よりも好ましい材料に
資源輸入国の日本では、この貴金属・資源価格の上昇に加えて円安の影響も重なり、電気・ガス料金や物流コストの上昇が主な要因となって、今後、さまざまな商品の値上げラッシュが見込まれます。
このような状況下、5月20日の国内債券市場では、新発10年もの国債の利回りが一時0.975%と11年ぶりの高水準をつけました。
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ただし、国内の金利上昇の要因としては、日銀の政策修正(日銀が国債買い入れを減らすとの思惑)を見込んだ債券への売り圧力の高まりも挙げられます。現時点では「コストプッシュインフレ(生産コストの上昇が物価を押し上げる現象)」の色彩が強いものの、今後の日本経済の「インフレ化」は継続する見通しです。
株式市場にとっては「ディマンドプル・インフレ(需要サイドに起因する物価上昇)」が最も望ましいのですが、「インフレ」は「デフレ」よりも大幅に好ましい材料であると、私は認識しています。
5月22日発表のエヌビディアの決算内容次第では、
半導体関連株が買われて日米の相場全体を押し上げる展開も!
ところで、5月20日のNYダウは反落し、前週末比196.82ドル(0.49%)安の3万9806.77ドルでした。前週末17日の終値は4万3.59ドルと、終値で史上初めて4万ドルの大台に達しましたが、週明け20日はこの反動で利益確定の売りが出たようです。
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一方、5月20日のナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反発し、前週末比108.91ポイント(0.65%)高の1万6794.87ポイントと、15日以来となる過去最高値を更新しました。
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このように、足元の米国株式市場は非常に強い動きを続けています。強い動きとなっている主因は、米国のインフレが鎮静化して、FRBが年後半には利下げを開始し、米国経済が「ソフトランディング(穏やかな景気減速)」もしくは「ノーランディング(経済成長の持続)」できるとの観測が強まっているからです。
その米国では、エヌビディア(NVDA)が5月22日に2024年2〜4月期の決算を発表します。市場では、売上高が前年同期比3.4倍に膨らみ、1株利益(EPS)も大幅に伸びると予想されているようです。
生成AI関連株の主役であるエヌビディアの堅調な業績が確認できれば、周辺の半導体関連株に買いが波及し、最高値圏にある日米株式の相場全体を押し上げる可能性が高いと見ている投資家は多いことでしょう。
しかしながら、新製品の投入前であるため、5〜7月期の見通しについて前四半期比での伸び鈍化を示す可能性も指摘されています。この場合は、エヌビディアのみならず、周辺の半導体関連株にも売りが波及する見通しです。だからこそ、市場は固唾を飲んでエヌビディアの決算を見守っています。
日経平均株価は依然として調整が継続中なので、
年初来高や上場来高値を更新中の銘柄の押し目を狙う戦略で!
一方、日本株ついては、5月20日の日経平均株価が前週末比282.30円(0.73%)高の3万9069.68円と、終値で3万9000円台を回復し、4月15日以来約1カ月ぶりの高値をつけました。前週末17日のNYダウが終値ベースで史上初めて4万ドル台をつけたこともあり、海外投資家の買いが日本株にも入ったと見られています。
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ただし、5月20日の日経平均株価の高値は午前10時49分の3万9437.16円でした。つまり、良好な外部要因を好感した買いが一巡した後は、利益確定売りが優勢となり、結局、伸び悩んで取引を終えたことになります。
5月20日の日経平均株価が伸び悩んだ理由は、国内債券市場で新発10年もの国債利回りが一時0.975%と11年ぶり高水準をつけたことと見ています。市場は、日銀による量的引き締め(QT)の日本経済への影響を警戒しているのでしょう。
そして、翌5月21日の日経平均株価は、午前9時26分に3万9346,15円まで上昇したものの、すぐに売りが優勢となり、最終的に再び3万9000円を割り込んで前日比122.75円(0.31%)安の3万8946.93円で終えました。
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現在の日経平均株価については「調整が継続中」との認識ですが、今後「日経平均株価が25日移動平均線を上回り、かつ25日移動平均線自体が上向きに転じる」ケースでは「調整は終了し、上昇トレンドに回帰」に見方を変更します。
ただし、5月10日時点の信用買い残は4兆6979億円と高水準で、信用倍率も6.44倍と高いため、信用需給の悪い(信用買い残が多い+信用倍率が高い)銘柄のうち、チャートが悪化(例えば、株価が25日移動平均線を下回っている+25日移動平均線自体が下向き)しているものはアンタッチャブルだと思います。
最後に、現時点で注目しているテーマ・セクターは「石油・石炭製品」「非鉄金属」「インフレ(金利上昇)メリット」、そして(エヌビディアの決算次第では)「生成AI・データセンター」です。
いずれにせよ、個別株物色では、年初来高や上場来高値を更新中の「強い銘柄」の押し目を狙う戦略を強くおすすめします。
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