「お宝銘柄」発掘術!

「太陽光パネルのリサイクル」の関連銘柄を紹介! 太陽光発電設備の増加に伴って重要度が高まる“廃棄される太陽光パネルのリサイクル”で業績が成長する銘柄は?

2024年11月28日公開(2024年11月28日更新)
村瀬 智一
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太陽光発電の普及に伴い需要が増加するレアメタルの確保には、
都市鉱山を活用したリサイクルシステムの確立が必須!

 2030年までにCO2(二酸化炭素)を50%削減する「カーボンハーフ」の実現に向けて、東京都では2025年4月から、新築住宅などに太陽光発電設備の設置や断熱・省エネ性能の確保などが義務づけられます。その他、多くの自治体においても、東京都に追随する形で太陽光発電設備の設置の義務化が進んでおり、太陽光発電設備の普及は今後さらに加速していくと見込まれます。

 太陽光発電に使われる太陽光パネルには、インジウムやネオジム、ジスプロシウムなどのレアメタルが不可欠なため、太陽光発電の需要が拡大すればするだけレアメタルの需要も増加していきます。

 レアメタルの鉱床は僻地にあることがほとんどで、採掘には高いコストが必要なうえ、環境への影響も小さくありません。そのため、近年はレアメタルを新たに採掘する代わりとして「都市鉱山」の活用が注目されています

 「都市鉱山」とは、これまで捨てられていた使用済みの太陽光パネルや蓄電池などの廃棄物のことで、そこからレアメタルを回収し、リサイクルすることが可能です。都市鉱山を活用した効率的なリサイクルシステムやサプライチェーンを確立することができれば、レアメタルの供給や価格を安定化させることにもつながります。

2030年代後半から太陽光パネルの廃棄が急増すると予想されるなか、
「太陽光パネルのリサイクル」を手掛ける企業の将来性に期待

 太陽光パネルの法定耐用年数は17年と決まっていますが、実際にはその年数を超えても使用できるケースが多く、大体20〜30年間は発電可能とされています。つまり「太陽光パネルの実際の耐用年数は20年〜30年」と考えられます。

 太陽光発電は2012年の「固定価格買取制度」の開始以降、急速に普及が進みました。そのため、20〜30年の耐用年数が過ぎる2030年代後半には、廃棄される太陽光パネルが急増し、その量は最大で年間およそ50万トンに上ると想定されているようです。

 そうした状況に対応するため、経済産業省と環境省は9月13日に、太陽光パネルのリサイクルの制度化に向けたはじめての会議を開催。現在は義務づけがされていない太陽光パネルのリサイクルについて、今後どうやって進めていくかなどが話し合われました。

 そこで、今回は「太陽光パネルのリサイクル」を手掛ける企業に注目しました。具体的な銘柄としては、ある程度の値動きが期待できる中小型株を中心に、使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクルを手掛けている企業を紹介します。なお、足元で株価が振るわない銘柄が目立ちますが、それらの銘柄は基本的にボトム圏で押し目を狙うスタンスとなります。

【三井化学(4183)】
新たな再生エネルギー導入スキームに向けた実証実験を実施

 三井化学(4183)は総合化学メーカーの大手です。2022年から、カーボンニュートラルを実現するためのソリューションを提供するSustechと、太陽光発電関連事業に関する協業を実施。2024年11月6日には、使用済み太陽光パネルのリユースによる新たな再生可能エネルギー導入スキームの実現に向けた実証実験を実施することを発表しました。株価は、5月の高値4836円をピークに調整が続いており、下向きで推移する13週移動平均線に上値を抑えられています。ただし、11月中旬以降、3400円付近での底固めが意識されており、13週移動平均線の突破を想定した押し目狙いのスタンスがおすすめです。

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三井化学(4183)チャート/週足・1年三井化学(4183)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【エヌ・ピー・シー(6255)】
太陽光パネルに関する総合的な製品・サービスを提供

 エヌ・ピー・シー(6255)は、国内外の太陽光発電装置のメーカーに向け、結晶系や薄膜系などさまざまな種類の太陽光発電装置に対応した製造装置を提供しています。また、太陽光パネルの検査サービスや、使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル、太陽光パネルの解体装置などを展開。さらに、リユースの太陽光パネルを使用した植物工場ビジネスも手掛けています。株価は、7月の高値1497円をピークに調整が続いていましたが、52週移動平均線付近での底堅さが意識されるなか、直近のリバウンドで上値抵抗線として機能していた13週移動平均線を突破。本格的な上昇トレンドへの転換を想定した押し目狙いがおすすめです。

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エヌ・ピー・シー(6255)チャート/週足・1年エヌ・ピー・シー(6255)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【ウエストホールディングス(1407)】
太陽光パネルのリサイクルを手掛ける近畿電電輸送と提携

 ウエストホールディングス(1407)は太陽光発電を主力事業としており、メガソーラーから家庭用の太陽光発電所まで6万9000カ所もの施工実績を有しています。将来的な太陽電池モジュールの大量破棄に備え、8月26日に太陽光パネルのリサイクルを手掛ける近畿電電輸送と業務委託契約を締結しました。株価は、10月半ばに決算を受けて急落すると、その後も下落が続いており、直近で8月の急落局面でつけた安値1923円を割り込みました。ただ、現在の下落は決算内容に対する過剰反応と見られるため、底入れを見極めつつ、リバウンドを狙いたいところです。

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ウエストホールディングス(1407)チャート/週足・1年ウエストホールディングス(1407)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【JESCOホールディングス(1434)】
太陽光発電所の建設からリサイクルまでワンストップで対応

 JESCOホールディングス(1434)は、電気設備や通信・無線工事、再生可能エネルギーの設備工事などを手掛けています。2023年2月に、廃棄パネルの効率的な収集や適正処理、再資源化の技術を有するJ&T環境株式会社と、太陽光パネルのリユース・リサイクルを推進するため、業務提携契約を締結。これにより、太陽光発電所の建設から運用・保守、更新・解体、太陽光パネルのリユース・リサイクルまで、ワンストップでサービスを提供します。株価は10月15日の決算が評価されて急伸し、上値抵抗線として意識されていた13週・26週・52週移動平均線を一気に上放れました。4月の高値1187円が射程に入るなか、高値更新からのさらなる上昇が期待されます。

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JESCOホールディングス(1434)チャート/週足・1年JESCOホールディングス(1434)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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【ダイセキ環境ソリューション(1712)】
太陽光パネルの処理について総合的にサポート

 ダイセキ環境ソリューション(1712)は、土壌汚染対策を主力事業として、コンサル・調査・分析・工事・処理を行っています。太陽光パネルの処理については、調査・分析からリユース・リサイクル、最終処分まで総合的にサポートします。株価は上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いています。目先的には2023年7月の高値1445円が意識されており、そこを突破してくると、長期的には2021年10月の高値2040円がターゲットになりそうです。

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【ミダックホールディングス(6564)】
エヌ・ピー・シーの製品を導入し、太陽光パネルのリサイクルを推進

 ミダックホールディングス(6564)は、産業廃棄物の中間処理や最終処分などを手掛けています。2024年の5月、資源循環型ビジネスモデルに取り組んでいるテラレムグループと共同で、使用済み太陽光パネルの適切なリユース・リサイクルを含む資源循環の事業化を行うとして提携を発表。また、子会社のミダックこなんは、エヌ・ピー・シー(6255)製の太陽光パネル解体装置「アルミフレーム・J-Box分離装置」を導入し、太陽光パネルのリサイクルを手掛けています。株価は、上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線としたリバウンドが続いていましたが、10月半ばからの下落で同線を割り込み、直近では26週・52週移動平均線近くでの攻防を見せています。26週・52週移動平均線辺りで下値の堅さを見極めたうえで、リバウンドを狙っていくスタンスがおすすめです。

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ミダックホールディングス(6564)チャート/週足・1年ミダックホールディングス(6564)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)
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 以上、今回は「太陽光パネルのリサイクル」の関連銘柄を発掘しました。

 なお、大手の「太陽光パネルのリサイクル」の関連銘柄としては、東京電力ホールディングス(9501)の子会社である東京パワーテクノロジーが、火力産業プラント、原子力、再生可能エネルギー環境事業などを手掛けており、2021年4月からは太陽光パネルリサイクル事業も開始しています。

 また、住友商事(8053)は、三井住友ファイナンス&リース、SMFLみらいパートナーズ、アビヅ、SMARTの5社で、使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル事業の実現に向けた実証実験を進めています。さらにAGC(5201)は3月25日、太陽光パネルの重量全体の約6割を占めているカバーガラスのリサイクル実証試験に成功したことを発表しました。

 太陽光発電の寿命による太陽光パネルの処理問題は、この先大きな社会問題となる可能性もあることから、今後もリサイクル関連企業の動向には目を光らせておきたいところです。
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