「メタネーション」関連銘柄を紹介！ カーボンニュートラルなガス燃料「e-メタン」を製造し、都市ガスの脱炭素化を飛躍的に進める新ビジネスの成長に期待！

「2050年カーボンニュートラル」の実現に有効な
合成メタンを作り出す「メタネーション」に注目！

 「カーボンニュートラル」や「脱炭素化」と聞くと、石油や石炭など化石燃料を使った火力発電から太陽光発電や風力発電、原子力発電への置き換えや、ガソリン車のEV（電気自動車）への移行を思い浮かべる人は少なくないと思います。しかし、実は日本国内の消費エネルギーの約6割は工場や家庭などの「熱需要」です。日本が目標とする「2050年カーボンニュートラル」を実現するには、発電や自動車だけでなく、この熱需要に対していかにCO2の排出を減らしながら対応するのかが重要な課題となっています。

　その有力な解決方法として注目されているのが、水素とCO2から人工的にメタンを合成する「メタネーション」です。

　メタネーションでは、工場などから排出されたCO2を回収して原料として使うことも可能です。メタンは燃料として燃焼する際にCO2が発生しますが、メタネーションの原料として回収されたCO2を使うことで排出量と回収量が相殺され、実質的に大気中のCO2が増加しません。さらに、太陽光発電や風力発電などのクリーンエネルギーで作られた水素を原料とすれば、「e-メタン」と呼ばれる完全にカーボンニュートラルな燃料を製造できます。

都市ガスを「e-メタン」に置き換えることで、
コストを抑えながら飛躍的な脱炭素化が可能に！

　現在の都市ガスの主な原料は液化天然ガス（LNG）で、石油や石炭に比べれば3～4割少ないとはいえ、燃焼時にCO2を排出します。そのため、都市ガスの原料をLNGからe-メタンに置き換えることで、飛躍的にガスの脱炭素化が進むと期待されています。

　メタネーションで作られたe-メタンのメリットのひとつは、都市ガスからの置き換えがしやすいことです。都市ガスの主成分はメタンなので、都市ガス用の導管やガス消費機器などの既存のインフラ・設備は、そのままe-メタンを使用できます。供給される都市ガスに段階的にe-メタンを混ぜていくことで、コストを抑えながらスムーズに脱炭素化が推進することも可能です。

　そこで今回は「メタネーション」関連銘柄に注目したいと思います。

 「メタネーション」関連銘柄の中心的な銘柄は、まず東京ガス（9531）や大阪ガス（9532）などのガス会社です。大手ガス会社ではすでにメタネーションの実証実験が進められており、例えば、東京ガスは10月28日、横浜市と協力して「東京ガス横浜テクノステーション メタネーション実証設備」で製造したe-メタンを、横浜市・山下公園通りに設置されているガス灯に活用することを発表しました。

　また、大阪ガスは6月5日、「SOECメタネーション」と呼ばれる新方式でメタンを合成する試験装置を稼働させたことを発表。2028年度には、一般家庭1万戸分の都市ガス使用量に相当するメタンの製造を目指しているとのことです。

　ただ、今回はそうした「メタネーション」関連銘柄の中核となるガス株はあえて避け、それ以外のメタネーションに関する装置や試験装置などを手掛けている企業をピックアップしました。

【IHI（7013）】
東邦ガスにe-メタンの製造施設を納入

　IHI（7013）は5月19日、東邦ガス（9533）の「知多e-メタン製造実証施設」向けに、e-メタンの製造施設「メタネーション標準機」を納入したことを発表。IHIのメタネーション設備としては商用第1号としての納入であり、また、製造されたe-メタンが都市ガスの原料として利用されるのは国内初とのことです。なお、施設の運用には、IHIが提供する運転・保守支援システム「MEDICUS NAVI」が採用されています。株価は、11月11日につけた高値9479円をピークに調整を見せていましたが、11月末以降、上向きで推移する75日移動平均線が下値支持線として機能する形でリバウンドしています。このまま25日移動平均線を明確に上抜けてくると、高値突破からのさらなる上昇が意識されます。

⇒IHI（7013）の最新の株価はこちら！

【伊藤忠商事（8001）】
子会社が低コスト・高転化率などを実現するメタネーション触媒を開発

　伊藤忠商事（8001）は、子会社の伊藤忠セラテックが9月6日、低温・低コスト、かつ高転化率でメタン生成を実現できるメタネーション触媒を開発したと発表しました。開発したメタネーション触媒は、バイモーダル型と呼ばれる担体構造で、表面には従来品と比較して、より大きな気孔が無数に存在していることが特徴。通常、大きな気孔を無数に配置すると触媒担体の強度が下がる傾向にありますが、新しく開発された触媒は高い耐久性と長寿命を実現しています。株価は、11月末からのリバウンドで、25日・75日・200日移動平均線を突破。11月14日の戻り高値8118円や、7月11日の高値8245円が射程に入ってきそうです。

⇒伊藤忠商事（8001）の最新の株価はこちら！

【日本製鉄（5401）】
「2050年までにカーボンニュートラルの実現」を目標に掲げる

　日本製鉄（5401）は2021年3月、気候変動問題に対する新たな取り組みとして「カーボンニュートラルビジョン2050」を発表。2030年までにCO2排出量を2013年比で30％減、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しています。また、2021年7月には、メタネーション技術によって製造されたカーボンリサイクルメタンが、船舶のゼロエミッション燃料となりうるとの技術論文を発表しました。株価は下落が続いていますが、直近では3050円を挟んでの底堅さが見られるため、3000円近辺での押し目買いがおすすめです。

⇒日本製鉄（5401）の最新の株価はこちら！

【デンソー（6902）】
工場で排出されたCO2を回収する「CO2回収システム」を開発

　デンソー（6902）は、工場の脱炭素化に有効な手段として、工場で排出されたCO2を回収する「CO2回収システム」を開発。同じくデンソーが開発した「水素製造装置」と組み合わせてメタンを合成することで、CO2回収率99％以上、CO2からメタンへの転化率99％以上の「CO2循環システム」を構築できます。株価は、11月12日につけた2384円を戻り高値に調整が続いていましたが、12月に入ってのリバウンドで75日移動平均線を上回ってきました。このまま25日移動平均線も超えてくるだと、本格的な上昇トレンドが期待できます。

⇒デンソー（6902）の最新の株価はこちら！

【カナデビア（7004）】
オマーンでメタネーションの実験プラントを建設

　カナデビア（旧：日立造船、7004）は、ゴミ焼却発電施設やバイオガスプラントなどの環境事業を主力とするメーカーで、その一環としてメタネーション装置を開発。独自の高性能触媒を用いた試験用の小型メタネーション試験装置を、企業のメタン化試験など向けに販売しています。また、3月12日に、オマーンのエネルギー企業であるオマーンLNGと「メタネーションの事業化に向けた協力覚書」を締結。海水を淡水化し、メタネーションでメタンを製造する実証プラントを、2025年にオマーンで着工する計画を明らかにしています。株価は11月8日に急落しましたが、その後は930円辺りでの底堅さを見せており、押し目を狙いたいところでしょう。

⇒カナデビア（7004）の最新の株価はこちら！

【三菱マテリアル（5711）】
子会社のUBE三菱セメントがe-メタン製造の取り組みを強化

　三菱マテリアル（5711）は、株式の50％を保有する三菱セメントが3月28日、大阪ガス（9532）と共同で、セメント製造プロセスで排出されるCO2の回収・貯留・再利用に関する検討を開始することを発表。また、4月2日には、マレーシア国営石油会社などと開発を進めるCO2貯留サイトでのCO2回収・貯留に関する検討を、三井物産（8031）などと共同で開始すると発表しました。バリューチェーンの構築には他社とのアライアンスが必要不可欠として、今後も他産業や自治体との連携を通じてカーボンニュートラルの実現に貢献していく方針とのことです。株価は、25日・75日移動平均線に上値を抑えられる形での下落が続いており、押し目を狙いながら両線の突破を待ちたいところです。

⇒三菱マテリアル（5711）の最新の株価はこちら！

　以上、今回は「メタネーション」関連銘柄を発掘しました。

　政府は、2021年6月に策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で、国内で消費する都市ガスに関して2030年には1％、2050年には90％をe-メタンに置き換え、大幅にカーボンニュートラル化を進める目標を掲げています。なお、日本ガス協会は、都市ガスの90％をe-メタンに置き換えた場合、日本全体のCO2排出量の1割弱に相当する年間約8000万トンのCO2削減効果があると試算しています。

　メタネーションによるe-メタンの製造は日本のカーボンニュートラルの実現に向けて大きな効果が期待されることから、関連銘柄は要チェックです。
【※関連記事はこちら！】
⇒【新NISA】主な証券会社の新NISA口座の特徴を詳しく解説！ SBI証券、楽天証券、マネックス証券などの新NISA口座の取扱商品やポイント還元率などを比較！

【※今週のピックアップ記事はこちら！】
⇒【日本株】高配当＆売上が高成長の｢5万円株｣2銘柄！ふるさと納税サイト「ふるなび」を運営する｢アイモバイル｣、4期連続の増収を見込む「アクモス」に注目！

⇒HKT48の元メンバーで俳優の兒玉遥さんが保有銘柄や投資スタイルを公開！ テスタさんとの対談で個別株投資に目覚め、好業績な連続増配株や低PBR株を保有中