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2025年4月から施行される「建築物省エネ法」の改正により、
原則すべての建築物が「省エネ基準」の適合義務の対象に!
日本政府は、2030年度までに温室効果ガス排出量の46%削減(2013年度比)、さらには2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指していますが、そのためには日本のエネルギー消費量の約3割を占めている建築物分野での省エネが重要となります。その実現に向けて決まったのが、建築物の省エネ性能の一層の向上を目的とした「建築物省エネ法」の改正です。
これまで、省エネ基準への適合義務は「大規模・中規模の非住宅」のみが対象でした。しかし「建築物省エネ法」の改正により、「規模」や「住宅・非住宅」に関わらず、2025年4月以降に着工する原則すべての新築・増改築に省エネ基準の適合が義務化され、審査が実施されることになりました。つまり、これまでは対象外だった「小規模の非住宅」や「住宅」も、省エネ基準への適合が義務化されるのです。
省エネ基準の適合義務の対象が大幅に拡大されることで、2025年4月からは建築確認の申請側・審査側ともに負担が重くなることが予想され、手続きや審査の簡素・合理化が求められています。
また、近年、複雑な設計・施工を要する建物が増えているなか、工期が短いなどの理由で設計・施工のミスが発生するケースが出てきています。着工後に相当期間が経過した後や竣工後にミスが発覚すると大損害が発生してしまうため、発注者や設計者、施工者にとって着工前に計画を細部までチェックし、ミスなく建築を進めることが何よりも重要となります。
こうした課題を解決するうえで重要な役割を果たすと期待されているのが、「BIM」です。
「BIM」は、建築物の3Dモデルに仕上げや管理情報などの情報を
組み込むことで、設計から施工、竣工後の維持管理までを劇的に効率化
「BIM」は「Building Information Modeling」の略で、コンピューター上に建物の3Dモデル(BIMモデル)をつくり、設計や施工、竣工後の維持管理に活用する仕組みのことです。
従来の「3D CAD(コンピューターを使った3D設計)」との違いは、3D CADが建物の形(図面)だけを作成するのに対し、「BIM」は図面に材料や仕上げ、コスト、管理情報などの属性情報を組み込むことができる点です。ひとつのBIMモデルで、図面だけでなく属性情報まで統合管理できるため、建物に対する理解度を飛躍的に向上させ、発注者・設計者・施工者間のコミュニケーションを円滑にすることができます。
BIMモデルは、1カ所の設計や情報を変更すると自動的に関連情報まで更新されるため、修正漏れや計算ミスを防ぐことができる点も優れています。これにより設計や施工の効率を向上させるとともに、建築確認申請時の不整合による修正作業を減らすことで審査期間の短縮まで期待されます。
また、完成後のメンテナンスや大規模修繕など、建物のライフサイクルにおけるさまざまなフェーズでBIMモデルの情報を活用できるため、長期間にわたって建物の品質や性能を維持・向上させることにもつながります。
さらに、こうしたBIMによる生産性の向上は、建設業界が抱える慢性的な人手不足や時間外労働の規制などの課題を解決し、建築業界に変革をもたらすと言われています。
そこで今回は「BIM」関連銘柄に注目。具体的なる銘柄として、「BIM」を用いた事業を展開している企業をピックアップしました。
【エヌ・シー・エヌ(7057)】
子会社が「BIM」を活用した木造建築のIT化と効率化を推進
エヌ・シー・エヌ(7057)は、断熱・設備仕様のコンサルティングや省エネ計算を提供し、新築時の省エネ性能向上の対策や、ZEH・ZEB(エネルギー消費量を再生可能エネルギーの活用などで実質的にゼロにした建築物)および東京ゼロエミ住宅の認証取得の支援などを行っています。子会社のMAKE HOUSEでは2015年の設立以来、BIMを用いた木造建築のIT化と効率化を推進しています。株価は、2024年12月13日につけた高値1475円をピークに調整を見せていますが、上向きで推移している25日移動平均線が下値支持線として機能しています。12月の高値を突破してくるようだと、2021年3月につけた高値1668円が射程に入ってくるでしょう。
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【横河ブリッジホールディングス(5911)】
自社開発の設計システム「MeBiCLink」を活用してBIMモデルを作成
横河ブリッジホールディングス(5911)は、橋梁の建設・保全事業や、工場・倉庫などのシステム建築を中心としたエンジニアリング関連事業などを展開。傘下の横河システム建築と横河技術情報が、自社開発の設計システム「MeBiCLink」を活用してBIMモデルの作成を行っています。株価は、11月25日と12月10日につけた高値でダブルトップ(二重天井)を形成した後、緩やかに調整し、足元で25日移動平均線を割り込んできました。今後、下値支持線として意識される75日・200日移動平均線で反発し、ダブルトップの高値を突破してくるようだと、2024年3月につけた高値2995円が意識されそうです。
⇒横河ブリッジホールディングス(5911)の最新の株価はこちら!
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【鹿島建設(1812)】
「BIMモデリング」や「BIMコンサルティング」などのサービスを提供
大手総合建設会社の鹿島建設(1812)は、2017年4月にBIM業務を専業とする新会社・グローバルBIMを設立。施工段階におけるBIM活用のノウハウと豊富な実績をベースとして、建設会社や施主、設計事務所を対象にBIMモデリングやBIMコンサルティングなどのサービスを提供しています。株価は、足元で25日移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドが続いており、2024年7月の戻り高値2961円、さらには3月につけた年初来高値3213円までの上昇が期待できます。
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【船場(6540)】
「BIM」を積極的に活用して「BIMの内装先駆企業」を目指す
船場(6540)は、空間づくりにおける調査・分析、コンセプトメイキング、企画・コンサルティング、デザイン・設計などを提供。「BIMの先駆企業」を目指し、BIMを活用した新しいワークフローの構築に挑戦しています。株価は、2024年12月6日につけた高値1460円をピークに調整を見せていますが、上向きで推移する52週移動平均線が下値支持線として意識されており、押し目を狙いたいところです。
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【トランス・コスモス(9715)】
応用技術(4356)と共同でBIMに関するサービスを提供
トランス・コスモス(9715)は、関連会社である応用技術(4356)とともにBIMに関するサービスを提供。顧客ごとのBIM活用を成功に導くため、システム開発、導入サービス、活用サービス、BPOサービス、システム提供の5つのサービスを組み合わせ、トータルでの支援を行っています。株価は、2024年9月27日につけた高値3650円をピークに下落が続いているため、押し目狙いのスタンスで臨みましょう。
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【リコー(7752)】
統合BIM/CIMツールやBIM用ソフトウェア「Revit」などを提供
リコー(7752)は、製造業・建設業などの業種に関わらず、詳細図面や設計図書の作成を支援する「Autodeskソリューション」を提供。建設業向けソリューションとしては、建築設計・土木インフラ・建設施工向けの統合BIM/CIMツールや、BIM用ソフトウェア「Revit」などを手掛けています。また、2024年3月には、BIPROGY(8056)がリコーのシステムなどを活用し、既存建物の3D/BIMデータ作成の実証実験を実施しています。株価は、2024年8月の暴落以降、上向きで推移する13週移動平均線を下値支持線とした上昇トレンドを形成。同線に接近する場面は押し目買いのチャンスと言えるでしょう。
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以上、今回は「BIM」関連銘柄を発掘しました。
なお、国土交通省は「BIM」を活用して建築確認手続き・審査の効率化を図るべく、2026年春にはBIMで作製した図面データで建築確認を受け付ける「BIM図面審査」を、2029年春にはBIMデータで建築確認を審査する「BIMデータ審査」を開始する予定です。また、建設業界のデジタル化による生産性の向上を目的に、2023年度からは「建築BIM加速化事業」を推進しています。
こうした政府の強力な後押しもあり、「BIM」は今後まずます普及・拡大していくことが間違いない“国策テーマ株”として要注目です。
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